卵はひとつのかごに盛るな(Don't put all your eggs in one basket)、という格言があります。卵を運ぶ際には、ひとつのかごに入れてしまうと、そのかごを落としてしまった場合にすべての卵が割れてしまうかもしれませんが、複数のかごに分けて入れておけば、かごをひとつ落とした場合にも被害は最小限にとどまるということです。
投資でも、同じように、ひとつの個別株式銘柄だけに集中して資産配分をしてしまうと、その株式の会社が上場廃止になってしまったり、倒産してしまったり、といったリスクを抱えてしまうことになります。長期的に安定した資産運用を行うためには、リスクをできるだけ分散することが大切です。リスクを分散するためには、異なる資産(株式、債券、REITなど)に投資を行う、異なる国や業種の資産を持つ、といったことが効果的です。また、それぞれの資産ごとの相関関係やリスクの大きさを把握することが大切です。
MONEX VISIONとは、長期分散投資を実践している方やこれからはじめようとしている方に向けて、その資産形成をアドバイスするためのツールです。
MONEX VISIONでは、株式や投資信託などの各銘柄を、投資先の資産や国、業種別に11種類に分解しており、その枠組みを資産クラスと呼んでいます。MONEX VISIONで分類する資産クラスは、国内株式、先進国株式、新興国株式、国内債券、先進国債券、ハイ・イールド債券、新興国債券、国内REIT、海外REIT、コモディティ、短期金融資産の11種類です。
アセットアロケーションとは資産配分のことであり、長期的にリターンを得るためには、各資産クラスを最適な配分に分散すること、すなわちアセットアロケーションが重要になります。
資産運用のリターンが何によってもたらされたか、という分析をしてみると、「アセットアロケーション」、「銘柄選択」、「投資タイミング」という大きく3つの要因に分類されます。
米国のバンガード社が、1962年から2001年の間の少なくとも5年以上のリターンの実績を持つ、420のアクティブ運用のバランス型ファンドのリターンを対象に、3つのうちどの要因によってもたらされているかを調べたところ、「アセットアロケーション」の違いが月次リターンの違いの約77%を占める、という結果になりました。この結果からは、資産運用では銘柄選択や投資タイミングよりも、アセットアロケーション(資産配分)が圧倒的に重要だということがわかります。
ポートフォリオとは、保有している株式や債券などの、単独ではなくひとつの集合としての「組合せ」を指します。ポートフォリオの中身は、株式や債券、外貨などさまざまですが、ポートフォリオを組むことで、投資先を分散し、リスクを抑えることができます。
リスクとは、資産価格の変動の大きさを示します。価格変動の平均値からのぶれ(標準偏差)がリスクの大きさをあらわし、リターンが同じでもリスクが高い資産クラスは価格の変動が大きくなります。リスクを抑え、リターンを高めることが長期分散投資においては重要となります。
為替ヘッジとは、外貨建て資産に投資する場合に、通貨の先物取引やオプション取引を利用して為替の変動リスクを避けることをいいます。ポートフォリオ分析に必要な資産クラスへの分解においては、各銘柄の為替ヘッジが考慮されます。一方、追加購入アドバイスでは、為替ヘッジなしの投資信託のみがアドバイスの対象となります。
年間リターン(収益率)はファンドの基準価額が期間中にどれだけ上昇(下落)したかを計測したものです。また、期間中に分配金が発生していれば、分配日の基準価額で再投資したものとして計算しています。
再投資ベースの年間リターン(収益率)は、投資家(受益者)が分配金を受け取る場合には差異が生じますが、分配日の前後でマーケット(市場)が大きく変動する場合、分配金支払いによる資金流出がファンドの運用成績に影響を与えるため、分配方針が異なるファンド間で運用成績を比較しやすくする目的から、一般に再投資ベースの収益率を用いています。
また、同様の理由から、売買手数料や税金の影響を考慮しておらず、再投資ベースの収益率は、投資家(受益者)の実際の投資収益率とは異なる数値となります。
年間リターンはあくまでも過去の実績に基づくものであり、将来の値動きを予想するものではなく、また運用成果等を保証するものではありません。
リバランスとは、アセットアロケーションに基づき運用した結果、本来目標としている資産配分の比率と実際の配分比率ギャップが発生したときに、そのギャップを修正することです。例えば、日本株式の配分比率を資産全体の30%と決めても、相場の変動によって比率が徐々に変わっていきます。その比率を本来の目標とする数値に戻す作業がリバランスです。
信託報酬とは、投資信託を買う際に払っている手数料のひとつのことです。信託報酬は販売会社、運用会社、信託銀行が投資信託ごとに決められた比率で受け取ります。信託報酬は日割りで計算され、投資信託の純資産から毎日直接差し引かれるので、販売手数料のように投資家が直接支払う必要はありません(気が付かないうちに投資信託から引き落とされているということです)
出典
[新版]内藤忍の資産設計塾
あなたとお金を結び人生の目標をかなえる法
著者:内藤忍 発行:自由国民社