子に伝えたいマネー術

お金のドクター、中村芳子がお金にまつわるさまざまな悩みに、専門家としてアドバイスします。(現在は更新しておりません)

子に伝えたいマネー術

■子に教えたい3つのポイント 

 金食い虫だった子どもが独立すると「さあこれから、自分のための資金準備だ」となるのは、自然なことだし大切なことだ。しかし、ここで忘れずに実行していただきたいのは、独立したばかりの子に、お金についての基本ルールを教えるということだ。

 最近は一部で「マネー教育」や「投資教育」に力を入れる学校や金融機関も出てきているが、やはり、子にもっとも影響力があるのは親である。ところが、実際に子に「お金のこと」をきちんと教える親は少ないようだ。常識として自分で身につけるべきだと考えているのかもしれないし、金融の変化のスピードが速すぎて、自分には教えられないと自信をなくしているのかもしれない。
 しかし変化が激しいからこそ、流されてしまわないように、基本をきちんと教え、伝えたい。ファイナンシャルプランナーの視点から、親から子に教えてほしいと思うのは次の3点だ。

・借金はしない
・欲しいものは貯めてから買う
・収入が多くても少なくても、貯蓄をする

 簡単そうに思えるだろうか?決してそうではない。今は学生でも簡単にクレジットカードを持てる。クレジットカードを持つと、分割払いやリボ払い、キャッ
シングができるが、これは立派な借金である。

 分割払いやリボ払いが当たり前になると「お金がなくても買ってから払う」がふつうになり、そのスタイルに疑問を持たなくなる。ところが毎月カードの支払いがあると、定期的な貯蓄ができなくなる。貯蓄ができないから次の買い物もカードで払うことになる。悪循環だ。
 世の中は、キャンペーンやポイント制など、クレジットカードを使わないと損と思わせる商法でいっぱいだ。素直な若者は簡単にひっかかってしまう。賢明に使えば便利なクレジットカードも、使い方を誤ると恐ろしい。その怖いワナから守ることができるのが、親であるあなたなのだ。

 就職してすぐは収入も少なく出費も多い。収入が増えて楽になったら貯蓄しようと考える人が多い。しかし、少ないときも少ないなりに貯めるのが肝だ。社会人の1年目から月1万円でも貯めることができ、収入アップに応じてそれを増やせば、5年目、10年目にはそれなりの額になる。親としても安心だ。
 お金のことを教えるのは、子が「ファイナンシャル・インディペンデンス」経済的な自立や自由を手に入れるためだ。これは収入や貯蓄の多寡ではなく、お金のコントロール法を身につけているかどうかにかかっている。そのコントロール力を子にぜひプレゼントしたい。

■寄付するということ

 もうひとつ、親が実行して、子に伝えていただきたいことがある。収入や利益の一部を寄付することだ。貯蓄と同じで「今は余裕がないが余裕ができたら」寄付しようと考える人は少なくない。しかし、少なくても少ないなりのことができる。お金以外の形の寄付もできる。

 額に汗して稼いだ収入も、投資で得た収益もとても大切なものだ。それを自分や家族以外のために使うのは簡単じゃない。だが、災害やさまざまな問題で苦しんでいる人たちを少しでも助けることができれば、そこから、お金では買えない喜びや満足を得られると思う。その喜び、満足をあなたの子どもたちにも体験させてあげてほしい。

 寄付の目安として「まず収入の1%を」と提案している。年収700万円なら年7万円。少なくはないが実行不可能ではない。1年ほど前にこの提案をしたところ「投資の収益を全部寄付しています」といううれしいメールをいただいた。利益を再投資すれば複利効果でどんどん膨らむのに、あえて寄付するというのは、勇気のいることだと思う。

 親は子にいろいろ大切なことを教えられる。お金のことも例外ではない。教えることで自分も学ぶことができる。家族で過ごす時間の多い年末年始、お金について親子で話し合う機会を持てるといいですね。

中村芳子
ファイナンシャル・プランナー/アルファ アンド アソシエイツ代表
http://www.al-pha.com/fp/

※本コラムは筆者の個人的意見をまとめたものであり、マネックス証券の意見 ではありません。

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