シブサワ・アンド・カンパニー渋澤健が綴る「オルタナティブ投資」の世界。「オルタナティブ投資」が目指す絶対的収益の根源とは?(現在は更新しておりません)
オルタナティブ投資のひとつの特徴は、運用で収益をあげた場合にはファンドはマネジャーに、その収益の一部を成功報酬として支払うことです。ヘッジファンドの場合は「インセンティブ・フィー」、プライベート・エクイティの場合は「キャリー」と言います。
成功報酬は(ファンド残高に加算される)年間管理費「マネジメント・フィー」と二本立てになっていることが基本です。マネジメント・フィーはファンド運営の固定費に当てるためで、成功報酬はボーナスと考えても良いでしょう。マネジメント・フィーを稼ぐために独立してファンドを立ち上げるようなマネジャーは少なく、いたとしたら、そのようなマネジャーに投資することは避けるべきです。運用の結果より、ファンドの規模を拡大することが動機になっているからです。やはり、ボーナスを稼ぐことがマネジャーの動機付けになるべきです。
投資家にとってはマネジャーががんばって収益をあげてくれたのであれば、それに見合うボーナスを支払うが、マネジャーが損をしたら、支払わなくても良いという仕組みです。つまり、投資家とマネジャーの利害関係をなるべく一致させるということが成功報酬制度の狙いであります。
大体、成功報酬は収益の20%が相場ですが、25〜30%を支払ケースも最近それほど珍しくなくなってきました。成功報酬50%を要求する傲慢なヘッジファンドもあります。でも、このような条件でも納得し、出資する投資家がいるから、このようなファンドが存在する訳です。
しかも、運用を失敗した場合にマネジャーは投資家に「罰金」を支払う必要がありません。したがって、ファンド運用のリスクを高めたほうが、より高い成功報酬を得られる動機付けになるのではないかという批判もあります。
このように万全ではありませんが、成功報酬制度の運用であるからこそ面白いことにも展開できます。
例えば、数年前に米国西海岸の私のビジネス・パートナーに成功報酬の一部を日本の「社会起業家」を育成する資本として寄付してくれないかと提案したところ、一声で快く賛同してくれました。運用委託された日本のお金で生じた経済的リターンの一部を、日本へお返しする社会的リターンへと融合させたプログラムです。(SEEDCap http://www.jcie.or.jp/japan/cn/seedcap/ )
このように経済的価値創造と社会的価値創造が一致したのは、成功報酬という動機付けがあったからこそ実現できたことであります。
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