「説明責任」

シブサワ・アンド・カンパニー渋澤健が綴る「オルタナティブ投資」の世界。「オルタナティブ投資」が目指す絶対的収益の根源とは?(現在は更新しておりません)

「説明責任」

年金基金など第三者の大切なお金を運用する投資家には、「受託者責任」というものが生じます。将来の年金者の大事なお金の運用を任せられている立場なので資産運用がどのような基準やプロセスによって実施されて、どのような成果を出すことができたかを説明できることは、もちろん、大変重要なことです。

 ただ、「説明」ということは、いくら口で言ってもわからない人が多いことが現実であります。人の数が多いほど、尚更です。

 ところが、説明を数字や理論に落とすと、妙に納得してしまうという面白い現象があります。社内の上司や管轄するお役所への説明の場合は特にそうです。
 説明に使われた数字の理論の成り立ちを完全に理解していないかもしれません。その数字や理論の前提や限界も完全に理解していないかもしれません。ただ、金融工学を駆使した定量的なリスクマネジメントと言われ、同業者の間で広まっている基準ということであれば特に安心して、これで「説明責任」は果たせたと、うなずいてしまうわけです。

 つまり、説明をする手段であるはずのものが、仕事の目的そのものになってしまうことです。単純に言えば、基準化されたものをだけを扱っていて、用意された枠にはまらないものを省いてしまえば、仕事が進めやすくなるということです。ただ、これは運用する資金の性格と運用関係者らの利害が、実は、必ずしも一致していないとうい恐ろしい状態であります。

 年金資金は、いうまでもなく一般個人の長期的資金です。将来に年金をもらいたいと思っている一般個人は四半期や年度という短期的な収益性ではなくて、何十年という長期的な収益性を求めています。ただ、資金の性格はそうであっても、年金運用の担当者や専門家を縛る呪縛は違います。彼らの「成果」は、短期的に評価されて説明する責任を負っています。そして、彼らの処遇や出世は、この短期的な責任を果たすことから生じるということは見逃すことができない事実です。

 ですから、「説明」できるということは彼らの最大な関心事であります。何事でも自分の行動を説明できることは大切です。ただ、本来、最大な「責任」は、やはり、将来の年金者のために長期的に収益を上げることではないでしょうか?

 このように「説明を求めるお金」が強力な勢力になってきたということが、現在のヘッジファンド業界の現状です。このような投資家から資金を集めることを運営の軸としているファンドの説明性を高める傾向と、まるで直接反映するかのように、このようなファンドの収益性が低下しているように見えるということは、ただの過言でしょうか。

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