FPは個人投資家を救えるか? ★☆☆☆☆

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

FPは個人投資家を救えるか? ★☆☆☆☆

 最近FP(ファイナンシャルプランナー)の方とお仕事でご一緒する機会が何回か続きました。名古屋のFPの勉強会で講師をさせていただいたり、先週末にはマネー検定のイベントでパネルディスカッションでご一緒させていただいたりしました。

 いつも思っていることですが、個人投資家には資産運用について信頼して相談できるメンターのような存在が必要です。運用の手法や情報提供だけではなく、メンタルなケアも含めたお金のホームドクターのような存在です。

 しかし病気になると医者に行くのに、運用で悩んでもFPに相談する人はほとんどいないのが現実です。その理由は、資産運用が今までは限られた人だけの特別なことであって、お金の相談にお金を払うことが一般化していなかったことがあると思います。しかし理由はそれだけでもないと思うのです。

■「お金持ちFP」
 不健康な医者に病気を治してもらおうとはあまり思いません。同じように自分のお金の管理ができないFPに資産運用の相談をしようとは思わないものです。逆にお金持ちFP(単に資産が多いという意味ではなく、自分に必要な資産をしっかり手に入れている人)がいれば、相談してみたいと思うのではないでしょうか。

 自分が相談する方の立場だとすれば、説得力のあるコンサルティングはFPの方自身の資産運用に裏打ちされた実績のあるものであって欲しいと思います。成功しているFPであればお金を払ってでも相談したいと思う人は多いと思います。そんな「お金持ちFP」の出現を個人的には期待しています。

■健全な競争原理の導入
 セミナーでお会いするFPの方は高い志を持った方がほとんどです。セミナーが終わってからも、メンバーが一緒になって真剣に学ぶ姿には頭が下がります。しかし仲が良いのは良いことですが、競争も忘れてしまってはいけません。お互いに切磋琢磨しながら、高いレベルを目指すような方向にならないと、単なる「仲良しクラブ」に終わってしまう危険性があると思います。

 ある著名FPの方から聞いて驚いたのは、日本に10万人以上いるFPのうち、資産運用業務のコンサルティングを一定のクオリティ以上でできる人は数百人位しかいないのではないか、という話です。資格を持っていても付加価値のあるサービスを提供できる人が少なければ、相談する価値がある人にほとんど出会えないことになってしまいます。

■FPの情報はどこで知ることができるのか
 また個人投資家がFPに相談しようとした時、誰に相談するかを調べようとしても、情報収集できないのが現状です。結局、雑誌に出ている著名FPや知り合いの紹介でということになってしまいます。

 投資信託や書籍、あるいはオークションの出品者でもネット上で利用者からランキングがつけられています。FPについてもそのようなサイトがあれば、その情報を参考にして相談してみたいという人は増えるのではないかと思っています。利用者の声であれば、完全とはいえませんが、評価にもある程度の客観性が出てくると思うからです。

 健全な競争によって質の高いコンサルティングができるFPが増え、ツテの無い人でも誰に相談すれば良いか情報収集できる仕組みができれば、資産運用に悩んでいる個人投資家をもっとサポートできると思うのです。そんなFPからの救いの手を待っている個人投資家は意外に多いのではないでしょうか。

 私自身はFPではありませんので、業界事情に疎いところも正直あると思います。個人投資家の皆様のご意見だけではなくFPの方のご意見も聞いてみたいと思っています。

今回の話のまとめ---------
■ 相談したいFPは自分自身のライフプランに成功している人
■ 健全な競争によってサービスのクオリティ上昇が期待できる
■ FPに関する情報提供が増えれば個人投資家の資産運用にメリット

ではまた来週・・・。

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