リーマンショック直前から投資してナゼ利益が出るのか?

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

リーマンショック直前から投資してナゼ利益が出るのか?

 最初にお知らせです。本コラムのテーマでもある、長期でゆっくりとお金を殖やしたい人のための本「内藤忍式10万円から始めるお金の育て方講座」が来週発売になります。プレゼントもありますので、ご応募ください。
 
新刊書籍のプレゼント
http://www.monexuniv.co.jp/new/2009/103.html

■ ドルコスト平均法は知っていても計算したことがある人は少ない
 8月のコラムでマネックス資産設計ファンドを積立していたら損益がプラスになっていたという話題を取り上げました。

積立の威力は相場が回復してからジワっと実感できる(バックナンバー)http://lounge.monex.co.jp/column/shisan/

 これは、ご存知の通り、ドルコスト平均法を使った投資ということになるのですが、ドルコスト平均法は知っていても、実際に計算してみたことのある人はあまりいないのではないでしょうか?

 過去1年間のデータを使って実際に計算してみるとどんな結果になるのか、説明してみたいと思います。

■ 定額積立で買える口数は毎回変化する
 昨年の8月末から今年の7月末までの12ヶ月の間毎月1万円投資をしていたらどうなっているか?まず過去の基準価額の推移を時系列データから拾ってみます。
マネックス資産設計ファンド(育成型)(時系列基準価額 月次)
http://www.monex.co.jp/FundGuide/00000000/syohin/tousin/kijunlist/guest?MeigCd=++0035020000&monthly=1

 これは1万口当たりの基準価額です。基準価額というのは、ファンドの設定時に通常1万口当たり10,000円ではじまり、その後は基準価額の変動に伴い、下がると多くの口数が、上がると少ない口数を購入することになります。1万円で購入できる口数は次の計算式で算出できます。

 購入口数(1万円購入時)=10,000÷基準価額*10,000

 これで計算したのが下記の購入口数の推移になります。

     基準価額   購入口数
2008年8月 8,560円   11,682口
2008年9月 7,816円   12,794口
2008年10月 6,666円   15,002口
2008年11月 6,502円   15,380口
2008年12月 6,605円   15,140口
2009年1月 6,278円   15,929口
2009年2月 6,247円   16,008口
2009年3月 6,397円   15,632口
2009年4月 6,674円   14,984口
2009年5月 6,849円   14,601口
2009年6月 7,003円   14,280口
2009年7月 7,126円   14,033口

 1年間毎月1万円を積み立てしたとすると、投資金額は合計で12万円になりますから、12ヶ月合計の口数(175,463口)で割れば、1万口当たりの平均購入基準価額が計算できます。

175,463÷12=6,839円

 つまり175,463口を平均6,839円で購入できたことになります。今年の7月末には基準価額が7,126円になっていますから、積立で投資した12万円は、

175,463口×7,126円÷10,000=125,035円

と5000円程度の利益になっていることがわかります。ちなみにこの平均購入単価は単純に12ヶ月の基準価額を平均した数字よりも低くなります。基準価額が下がっている今年の前半に多くの口数を買付けることができたからです。

 マーケットが大混乱の1年間で結果的にプラスのリターンになっているのが不思議かもしれませんが、これこそ時間分散の効果なのです。

 これが積立投資をおススメしている理由なのです。

マネックス投信つみたてクラブ
http://www.monex.co.jp/AboutUs/00000000/guest/G800/new2009/news906c.htm
■ 新興国株式投信でも同じ結果にはなるが・・・
 今回のようなマーケットの急落から回復の局面では、バランス型ファンドでなくても、積立によって同じような効果を享受することができます。計算してみるとわかりますが、中国株やインド株のような新興国株式のファンドでも同じ期間に積立投資すれば利益が出ることがわかります。

 しかし、このような新興国のファンドの中には半年足らずの間に基準価額が半分以下まで急落したものもあり、積立をしている個人投資家の中にもあまりに急激な変動に耐えられず、途中で積立を中止してしまったケースが多いのです。
 せっかく時間の分散をしていても、下落局面で損失が大きくなると続けられなくなってしまうのでは意味がありません。これは、明らかにリスクの取り過ぎです。このような失敗を避けるために、投資対象の分散が必要になるのです。
■ リバランスも自動的に
 バランス型ファンドがもう1つ便利なところは、資産配分比率の見直し(リバランス)も自動的にファンド内で調整してくれることです。自分でいくつかの商品を組み合わせて投資する場合、価格変動によって歪んだ比率を定期的に調整する必要がありますが、その手間がかからないのです。

 資産配分の比率はファンドによって決まっていますから勝手に変えられないというデメリットはありますが、バランス型ファンドを積立していく、という方法は手間のかからない究極の投資法だと思います。

 リーマンショックから一年が経過し、マーケット環境は変わりつつありますが相場の急落はこれからもまた繰り返されると思います。今年の前半のような悲観的なマーケットの中、冷静に底値で投資できるという自信が無い人は、積立投資を早速はじめてみてください。

※文中の計算数値は概算値であり、実際の数値と端数処理によって異なる場合があります。ご了承ください。

今回の話のまとめ---------

■ 金融危機でも積立によってプラスのリターンを実現できた

■ 時間を分散しても投資対象が分散されていないと途中でやめる可能性がある
■ バランス型ファンドには自動リバランスというメリットもある

では、また来週・・・。

(本コラムは筆者の個人的意見をまとめたものであり、筆者の所属する組織の意見ではありません。)

内藤 忍
株式会社マネックス・ユニバーシティ 代表取締役社長
http://www.monexuniv.co.jp/

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