第410回 基礎の基礎!株式投資のメリット・デメリット

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第410回 基礎の基礎!株式投資のメリット・デメリット

<質問>

投資をこれから始めようと思っています。株式取引をすることのメリット、デメリットについて教えてください。

<回答>

株式で長期投資をするのか、短期の投機的な取引を繰り返すのか、によって異なってきますが、そもそもの株式自体の特徴や投資対象としてのメリット・デメリットについてまずお話をしたいと思います。

株式に投資するということは、株式を買い取って自分のものにするということです。株式会社は株式を持つ人がオーナーであり、株式を持つ人のものです。株式会社の株主には主に3つの権利があります。1つは、会社の大事なことを決める議決権で、会社の社長をはじめとする役員を決めたり、利益の中からどれくらいを配当にまわすか、あるいは会社を解散する決定まで様々な重要事項を決める権利です。2番目は利益の中から支払われる配当金を受け取る権利、3番目は会社を解散したときに残余財産(保有資産を全て処分して現金化し、そこから借金を返済した残り)を受け取る権利です。これらはすべて全株式数に対する保有株式数の割合に応じてその権利を持ちます。

会社がうまくいって、利益が大きく伸びるとどうなるでしょう。会社が稼ぐ利益は会社のオーナーである株主のものです。配当金として支払わせて自分のものにしてもいいですし、会社に貯めておけばその分だけ会社を解散する時に資産から借金を引いた残りの残余財産が増えるわけですから解散時に自分のものにすることができます。ですから、利益が増えれば株価がその分だけ株価が上昇するのは当然のメカニズムなのです。株価の割高・割安を表す指標のPERは株価÷1株当たり利益ですが、置き換えれば株価=1株当たり利益×PERです。更に置き換えれば、株価がどのくらい上がるか=(1+1株当たり利益がどのくらい増えるか)×(1+PERがどのくらい変化するか)-1です。PERが変化しないなら利益が増えた分だけ株価は上がります。債券投資のように利回り±リスク要因という限定的なリターンではなく、大きなリターンが期待できるのが株式投資の最大のメリットです。

一方、会社がつぶれる時は通常は借金のほうが資産よりも多い「債務超過」状態でつぶれます。すると資産を処分して借金を返した残りである残余財産は、ゼロです。それを受け取る権利を持つ株式の価値も当然のようにゼロになります。つぶれたらゼロ、これが株式投資の最大のデメリットです。もちろん、株式だけでなくREITなど他のエクイティ投資も同じです。

さて、短期間の取引を繰り返す場合、会社の利益が短期的に大きく変動していることは少なく、多くの場合はPERの変化、割安になったり割高になったりする株価変動を使ってお金を増やそうとするものです。配当金もあまり期待できません。一方、長期投資の場合は、中長期的な利益成長により、PERが変化しなくても株価が上昇することに期待ができます。年率5%の利益成長が10年続けば1.6倍、20年続けば2.7倍、30年続けば4.3倍ですし、年率10%の利益成長なら、10年で2.6倍、20年で6.7倍、30年で17.4倍です。更にインカムゲインである配当金も大きく積み上がります。

このように、投資をするか投機をするのか、によって差はあるものの、株式の特徴から考えるとメリットやデメリットをとらえやすくなりますし、どういう株式を選べばいいのか、も考えやすくなります。


コラム執筆:ジョン太郎

金融業界の様々な分野で経験を積んできた現役金融マン。投資・運用・金融・経済など、お金にまつわるトピックをわかりやすく解説しているブログ「ジョン太郎とヴィヴィ子のお金の話」は人気を博し、各種のサイトで紹介されている。著書に「外資系金融マンがわが子に教えたい「お金」と「投資」の本当の話」、「ど素人がはじめる投資信託の本」、「ど素人が読める決算書の本」がある。

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