第134回「マーケットニュートラル型のETFとは?」 ETF解体新書

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第134回「マーケットニュートラル型のETFとは?」 ETF解体新書

こんにちは。晋陽FPオフィス代表のカン・チュンドです。熟練の投資家であれば、買い持ち(ロング)する戦略だけでなく、売り建てる(ショート)手法もうまく取り入れるはずです。ただし、上記を実現するためには「両手」が必要です。たとえば、左手でシンプルな株式ETFを保有しながら、右手でインバース型のETFを保有するイメージ。あるいは、右手では、既存の株式ETFを売り建てることも可能です(信用取引を行います)。ただし、これらの手法は初心者にはハードルが高いかもしれません。そこでご紹介するのが、「MAXIS日本株高配当70マーケットニュートラル上場投信」(1499)です。
当該ETFは、ひとつのETFでロングとショートを組み合わせた戦略を実現させます(当ETFは12月13日に国内市場に上場しました)。1499は「野村日本株高配当70・配当総額加重型」(原指数)をロング(買い持ち)し、TOPIX先物をショート(売り建て)します。いわゆる「マーケットニュートラル戦略」を用いるのです。市場全体を売り建てながら、日本の高配当株を保有するため、株式市場の値動きに左右されにくい特徴を持ちます。また、日々の変動率(ボラティリティ)が小さくなる傾向にあります。景気や金利変動に影響を受けずに、文字通りニュートラル(中立的な)値動きを目指すETFと云えるでしょう。

実はこのようなタイプのETFはアメリカに先例があります。たとえばWisdomTree社が運用する「WisdomTree Dynamic Long/Short U.S. Equity Fund」(DYLS)です。当該ETFは米国の大型株、中型株約100社をロング(買い持ち)し、米国の大型株500社をショート(売り建て)します。当ETFは2015年にアメリカ市場に上場。また、「First Trust Long/Short Equity ETF」(FTLS)(当社非取扱い)という選択肢もあります。FTLSは2014年の上場で、マニアックなETFでありながら、純資産額は1億ドルを超え、日々の出来高も平均2万口を超えています。当該ETFは基本的に80~100%を米国株及び代表的な外国株でロング(買い持ち)し、0~50%を主にS&P500指数先物でショート(売り建て)しています。9月29日現在、FTLSのロングの資産割合は99.23%、ショートの資産割合は-25.32%となっています。
マーケットニュートラル型のETFはさまざまな応用が可能です。たとえば、日経平均株価をロングしながら、日本国債先物をショートするETF。S&P500をロングしながら、金先物をショートするETF(逆に、金をロングしながら、S&P500先物をショートすることも出来ます)。あるいはS&P500をロングしながら、米ドル先物をショートするETFも組成可能でしょう。米国株式市場のシラーPER(Shiller PE Ratio)は、12月19日現在で32.53倍となっており、過去40年では1999年12月の44.19倍に次ぐ高さです。株式市場の激変に備えるひとつの手段として、マーケットニュートラル型のETFが注目を集める日が来るかもしれません。

コラム執筆:カン・チュンド

晋陽FPオフィス代表
2000年にFP事務所を開業以来、資産運用に特化したセミナー、コンサルティング業務を手がける。

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