第56回 「18年は当初の上昇トレンドの最終コーナーへ」【ズバリ!江守哲の米国市場の"いま"】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第56回 「18年は当初の上昇トレンドの最終コーナーへ」【ズバリ!江守哲の米国市場の"いま"】

今年最後のメルマガになります。今年は米国株の上昇について取り上げることが多かったと思います。結果的に、読者の方々に的確な見通しを出すことができたことは、この上ない喜びです。しかし、「予測は当たらない」のです。所詮はそのようなものであると考えています。重要なことは、長期的なトレンドやサイクルに基づいて、その再現性を追求することが重要であると考えています。今後はどこかで大きく崩れるときが来るでしょう。しかし、そのタイミングや理由を予測することはほぼ不可能です。リスクを回避することはもちろん重要ですが、回避することだけを考えていては、資産を増やすことはできません。一定の調整や株価サイクルの中で見られる大幅安は必ず来ますので、その前提で運用を継続することが肝要です。幸い、米国株にはきわめて強い復元力があります。下げたとしても、数年間の単位で必ず戻しています。2000年のハイテクバブルの崩壊時には、「ナスダック指数は二度とあの高値を超えることはない」とまで言われました。時間はかかりましたが、いまその水準を上抜き、さらに高値を更新しています。これが米国株の強さです。この過去の実績を無視して投資判断を行うことはできません。むしろ、最も重視すべきといえます。材料面で不透明要因ばかりに目を向けるのではなく、良い面に目を向けることが、米国株投資では重要な要素であると考えています。

振り返ると、1月にトランプ大統領が就任した際には、きわめて厳しい評価がなされました。その後も、大領領就任時に掲げた公約がひとつも果たせないまま、政権の不安定さだけが目立つようになっていました。しかし、その間にも米国景気は拡大を続け、株価も高値を更新し続けました。政治不安は投資家心理を不安定にしますが、株価形成の本質である企業業績に影響がない中で政治リスクに過度に敏感になりすぎると、投資判断の誤りにつながることを今年は経験しました。18年には中間選挙を迎えます。その際に再び政治不安が取りざたされることになりそうですが、景気や企業業績が拡大し続ける限り、重視しすぎないことも重要かと思います。もっとも、年末にはトランプ政権の最大の公約である税制改革が成立しました。トランプ大統領は公約を実現し、まさに有言実行となったわけです。これは景気や企業業績に一定の恩恵がありそうですし、トランプ政権の実績は高く評価されるべきでしょう。またトランプ大統領は18年にインフラ投資を推し進める可能性を示唆しており、これは経済を支えることになりそうです。そうなれば、これまで否定的に捉えられてきた政策運営への評価はさらに高まり、政治不安が払しょくされることになりそうです。そうなれば、市場の不透明感は低減され、株価にも一定の押上げ効果があるものと思われます。

米国株の上昇基調はすでに9年間続いたため、下落リスクが高いとの見方があります。しかし、実際に2008年の金融危機時の水準を超えたのは12年であり、実質的には上昇基調はまだ6年目であるともいえます。米国株は上昇し始めると、その基調は17年間続くことはすでに本欄で何度も解説したとおりです。いまはその当初の上昇期間である8年間の後半あるいは最終コーナーに差し掛かるという認識です。その意味でも、2018年から2019年に掛けて、きわめて強い相場が見られるのだろうと考えています。そのころは、景気は明らかに過熱し、金利も上昇しながら株価の上昇幅が大きくなるでしょう。2018年は景気がさらに拡大する中で、株価上昇のサイクルが続くとみておくのが妥当であると考えています。あとは、市場関係者の全員が強気になるのを確認するまでは、上昇基調は続くでしょう。その意味でも、来年は主要な市場関係者の発言が強気に変わるかどうかに注目することになりそうです。ちなみに、2018年はダウ平均が強気パターンに入れば、28,000ドル超もあり得ると考えています。

本年も大変お世話になりました。
来年も皆様にとって良い年になりますように。

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江守 哲
エモリキャピタルマネジメント株式会社・代表取締役
大手商社、外資系企業、投資顧問会社等を経て独立。コモディティ市場経験は25年超。現在は運用業務に加え、為替・株式・コモディティ市場に関する情報提供・講演などを行っている。
著書に「1ドル65円、日経平均9000円時代の到来」(ビジネス社)
「LME(ロンドン金属取引所)入門」(総合法令出版)など
共著に「コモディティ市場と投資戦略」(勁草書房)

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