第57回 「18年の米国株は好調なスタート」

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第57回 「18年の米国株は好調なスタート」

あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

今年最初のコラムになります。米国株は年初から飛ばしていますね。ダウ平均は史上初めて25,000ドルの大台を突破しました。世界経済の順調な拡大が見込まれる中、投資家のリスク選好意欲が高まっているといえます。堅調な経済への安心感に加え、法人税減税を柱とした税制改革やインフラ投資など、トランプ政権の政策への期待感が高まっていることも支援材料になっているといえそうです。米国株には高値警戒感はありますが、売る材料が見当たらないともいえます。ダウ平均は11月30日に初めて24,000ドル台に乗せてから、わずか1カ月強で1,000ドル上昇したことになります。この間はボーイングとキャタピラーがそれぞれ100ドル超も押し上げに寄与するなど、上昇のけん引役を担ってきました。また、ダウ平均はわずか1年で20,000ドルから25,000ドルに到達したことになりますが、これは指数の算出が始まった1896年5月以降で最も速いペースで約5,000ドルの上昇となっています。とにかく「強い」の一言です。振り返ると、2017年の上昇率はダウ平均が25.2%、S&P500が19.5%、ナスダック指数が28.2%となりました。北朝鮮を巡る緊張やトランプ政権への不安が市場で懸念されながらも、株価は堅調に推移しました。S&P500が1%強下げた日は昨年1年間でわずか4日にとどまるなど、本当に強い一年だったといえます。

このような株価の動きになると、売り材料を探す市場関係者が増える傾向にあります。高値が続くことに対して、「いつまで続くのだろうか」と不安感が強まるようです。昨年末に米国内では約30年ぶりとなる抜本的な税制改革を実現させたにも関わらず、トランプ政権への不信感は根強く、北朝鮮問題は進展がありません。中東情勢への不安感も根強いといえます。トランプ大統領のイスラエル政策で中東情勢は混乱に陥るリスクが高まったと指摘する専門家は少なくありません。さらにトランプ政権が掲げる「3%超の成長」が達成できるのかという問題もあります。また、海外では環太平洋連携協定(TPP)など多国間の枠組みを反故にし、国際社会から大きな批判を受けています。保護主義的な姿勢は変わっておらず、2018年も国際社会においてその言動は混乱のもとになるかもしれません。またトランプ大統領は10年間で1兆5,000億ドルの減税により、米国でのものづくりが増えるとしていますが、財政悪化が進むだけであり、経済への影響は限定的との声も少なくありません。米研究機関の試算では、減税による成長押し上げ効果は年0.1ポイント前後にとどまるとしています。このように、不透明材料を取り上げればいくらでも出てくるでしょう。

一方、トランプ政権の次のターゲットは「1兆ドル規模のインフラ投資」です。減税により財政出動の余地は乏しいとの厳しい見方もあり、実現へのハードルは高いとみられています。トランプ政権に対してはいまだに批判的な声が大きいのですが、冷静に考えれば、税制改革を実現したことで、「有言実行政権」になりつつあります。政権運営のやり方に疑問があることは否めませんが、行動力や実行力を考慮すれば、専門家の政権への評価は必ずしも正しくないでしょう。正しいのは市場の動きであり、株価の動きです。政権批判は投資判断の誤りにつながる可能性があります。やはり冷静に事実やデータを客観的に評価することが肝要です。短期金利の上昇によるイールドカーブのフラット化の動きに注意しながらも、2019年半ばまでの景気拡大を視野に入れながら、市場動向を見ていきたいところです。

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江守 哲
エモリキャピタルマネジメント株式会社・代表取締役
大手商社、外資系企業、投資顧問会社等を経て独立。コモディティ市場経験は25年超。現在は運用業務に加え、為替・株式・コモディティ市場に関する情報提供・講演などを行っている。
著書に「1ドル65円、日経平均9000円時代の到来」(ビジネス社)
「LME(ロンドン金属取引所)入門」(総合法令出版)など
共著に「コモディティ市場と投資戦略」(勁草書房)

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