第59回 株高・景気拡大での金利上昇は当然の動き【ズバリ!江守哲の米国市場の"いま"】

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第59回 株高・景気拡大での金利上昇は当然の動き【ズバリ!江守哲の米国市場の"いま"】

米国株はやや不安定な動きになっています。昨年第4四半期の企業業績は想定以上に堅調ですが、これまでの上昇スピードの速さがやや警戒されているようです。長期的な上昇基調が続くためには、一本調子での上昇よりも、むしろ押し目を作りながら上げていくのがよいでしょう。その意味では、当面は上値が重くなる一方、一時的な調整はむしろ歓迎です。ちなみに、1950年以降の67年間の中で、S&P500で1月がプラスのパフォーマンスとなったのは41回あり、その場合に年間のパフォーマンスがマイナスだったのはわずか4回しかありません。また、年初から5日連続で上昇したケースは43回あり、年間のパフォーマンスがマイナスになった年は7回しかありません。今年の1月の株価変動はかなり強いパターンだったこともあり、年末までの上昇は大いに期待できそうです。ただし、2月のパフォーマンスは、過去データではあまりよくありません。上昇率のランキングは、ダウ平均が12カ月中で8位、S&P500は9位、ナスダック指数は7位です。また、平均上昇率はそれぞれ0.3%、0.1%、0.7%と小幅です。ただし、今年のような中間選挙の年に限ると、それぞれ1.0%、0.7%、1.0%の上昇に跳ね上がりますので、ポジティブに見ておいてよさそうです。

さて、市場では金利上昇への懸念が高まっているようです。1月30日・31日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利は据え置かれましたが、将来的なインフレ見通しについて強気な見方が示されました。労働市場が引き続き強まり、経済活動はしっかりとしたペースで拡大しているとしました。また、雇用者数と家計支出、企業の設備投資は着実に伸びており、失業率は低水準にとどまっているとしています。さらに、前年同月比のインフレは今年上昇し、中期的には目標の2%近辺に落ち着くとし、経済情勢はさらなる緩やかなFF金利引き上げを正当化する形で進展するとしました。これらから、利上げペースが加速し、これが株価を押し下げるとの懸念が高まっているわけです。

しかし、今は米国を中心に、世界的に景気拡大が続いています。景気が拡大し、株価が上昇する際に金利が上昇するのは当然といえます。1980年に第二次オイルショックを契機としてインフレがピークアウトしてからは、米10年債利回りは35年以上にわたり低下傾向が続きました。しかし、2016年半ばに底打ちしてからは徐々に上昇に転じています。米連邦準備制度理事会(FRB)は量的緩和策を解除し、金融政策の正常化に向けて動いています。すでに金利が低下の方向に行く時代は終わっており、今後は金利が徐々に上昇することになります。金融政策によるインフレへの転換の限界が示され、金融政策の役割は終わっているように思われます。そうなると、財政政策への関心が高まります。特に米国ではトランプ大統領が一般教書演説で、インフラ投資の方針を示しています。財政赤字の拡大が金利上昇をもたらす可能性はあるでしょう。金利の上昇ペースが速いものでなければ、株式市場はインフラ投資や法人減税を好感し、上昇基調は維持されるでしょう。結果的に、米国株高と米長期金利の上昇が併存する形での株高基調が続くと考えています。米10年債の利回りは、金融危機前には5%台でした。この水準は高いとしても、3.5%から4%程度まで上昇したとしても慌てる必要はないでしょう。むしろ、金利上昇を嫌気して株価が短期的に下落した場合には、格好の押し目買いの好機になると考えます。

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江守 哲
エモリキャピタルマネジメント株式会社・代表取締役
大手商社、外資系企業、投資顧問会社等を経て独立。コモディティ市場経験は25年超。現在は運用業務に加え、為替・株式・コモディティ市場に関する情報提供・講演などを行っている。
著書に「1ドル65円、日経平均9000円時代の到来」(ビジネス社)
「LME(ロンドン金属取引所)入門」(総合法令出版)など
共著に「コモディティ市場と投資戦略」(勁草書房)

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