第240回 都市部の子供は習い事で大忙し 【北京駐在員事務所から】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第240回 都市部の子供は習い事で大忙し 【北京駐在員事務所から】

経済成長で所得が増え、生活水準が上がれば、次は子供に様々な形でお金をかけようという考えになるのは、恐らく世界共通でしょう。
中国は、全国統一大学入試「高考」に象徴される学歴社会で、大学進学率も年々上昇しており、受験競争はますます熾烈を極めています。
もちろん、多くの親は子に対し、「勉強を頑張ってほしい」と思っているのでしょうが、都市部で可処分所得の多い層では、様々な分野で子の才能を見出し、同世代のライバルとの差別化を図ろうということで、就学前の幼児に習い事をさせる親が増えているそうです。

人気が高いのは芸術分野(ピアノ、絵画など)やスポーツ(スケートなど)で、チェスなどの頭脳競技も人気だそうです。
おそらく英語の早期教育も盛んに行われているものと思います。
また、夏休みには子供の視野を広げようということで、高額の参加費を支払い、サマーキャンプ(国内あるいは東南アジア等で開催されるそうです)に子を参加させる親も増えています。

幼児教育に携わる企業の業界団体が上海で行った調査によると、6歳までの子を持つ親の60%が、子に幼稚園等以外の課外活動をさせていました。4歳から6歳の層では70%に達しています。
1回2時間の授業、活動を週2回というのが平均的な頻度で、平均の支出額は年間17,832元(30万円強)になっています。
一ヶ月に25,000円ですから、なかなかの出費のようにも思えますが、上海市民の所得水準であれば、賄える水準なのでしょう。

幼児を持つ親の世代は、多くが1980年代生まれで、親世代よりも可処分所得が多く、子供の教育にもお金をかけることができます。
また、自身が受験戦争を勝ち抜くための勉強に時間と労力を費やした経験から、子供にはより広い視野で、様々な分野に関心を持ってほしいと考えています。
一方で、いずれは自分たちが経験したものよりも遥かに熾烈な競争にさらされることも想定しており、「子供を自由放任にはできない」と考え、様々な機会を与えて能力を伸ばそうとしています。

中国では、1980年代生まれの層が、消費額で前後の世代を上回り、経済をけん引しています。
多くが既婚で子供を持っていますので、子の教育にも多額を消費しています。費用の高騰は親へのプレッシャーにもなっています。
幼児教育の専門家は、一部の親は、自身の子の差別化を図るため、闇雲に様々な習い事を子供に押し付ける、子に過大な負担を強いる、あるいはただ流行に乗って次から次へと新たな習い事に通わせる等、問題視される行動を取っていると警告しています。
全ては親の愛情ゆえのものとは言え、結果として親子が不幸になっては台無しです。習い事が何らかの形で子の将来の人生に役立つものとなるよう、願いたいと思います。

日本でも、高度成長期からバブル期にかけては、ピアノ、珠算や書道教室などの習い事が人気となりました。
その後は、水泳、体操、英語など多様化が進んだように思います。
私は珠算塾に数年間通いましたが、集中力や正確性を高める良い訓練になったように記憶しています。

中国の現状は、数十年前の日本の姿に重なって見えます。受験戦争がさらに激化してゆくのか、あるいは社会が成熟し、子供の進路も多様化が進むのか、今後長く見守ってみたいテーマのように思えます。
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コラム執筆:長野雅彦 マネックス証券株式会社 北京駐在員事務所長

マネックス証券入社後、引受審査、コンプライアンスなどを担当。2012年9月より北京駐在員事務所勤務。日本証券アナリスト協会検定会員 米国CFA協会認定証券アナリスト

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