第243回 北京市政府が住宅等への立入検査(消防査察)を強化 【北京駐在員事務所から】

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第243回 北京市政府が住宅等への立入検査(消防査察)を強化 【北京駐在員事務所から】

11月18日(土)に、北京市南部の大興区の住宅(アパレル工場に併設された従業員寮とも言われています)で火災が発生し、死傷者27名を出す惨事となりました。犠牲者、被災者の多くは、地方からの出稼ぎ労働者やその家族だそうです。
北京では、11月の初めから最低気温が氷点下となるなど、本格的な冬が到来しており、暖房器具の不適切な使用が火災の原因と見られています。

「暖房器具の不適切な使用による火災」と言えば、いかにも冬場に起こりがちのように見えますが、北京ではいささか事情が異なります。
北京や中国北部の多くの都市では、市が各住宅に温水を供給する集中暖房システムが用いられており、厳寒の中でも快適に過ごすことができます。
以前は、システムの熱源として石炭が用いられていたのですが、これが大気汚染の元凶とされ、近年天然ガスへの切替が進められています。
地域によっては、温水の供給を取りやめ、ガスの供給に転換しているそうです。真偽のほどは定かでありませんが、報道によると、今回火災が発生した地域では、市のシステムが用いられておらず、各戸で電気ストーブ等が使用されていたそうです。石炭火力による温水供給があれば、避けられた火災なのかもしれません。

今回の火災を受け、市当局は先月末から、消防、交通管制など複数の部局が連携して、住宅、倉庫、工場、卸売市場などへの立入検査を強化しています。
可燃物や爆発物を有する建設現場、多くの人が集まる商業施設等については、特に厳格な検査が行われているほか、観光施設、ホテル、レストランや学校など、対象は広範にわたっています。

市政府は、工場等、特に危険度の高い施設について重点的に検査を行い、事故を未然に防ぐことで市の安全性を確保するとの声明を発表しています。
北京での火災から間もない11月26日(日)には、上海市に隣接する浙江省の寧波市で爆発事故が発生し、2名が死亡しました。北京では、2008年のオリンピック、パラリンピック夏季大会開催を機に工場の移転が進み、工場関係の危険度は相当程度低下していますが、ごみ処理施設や建設現場など、まだまだリスク要因は残っています。市の検査強化が、実効性を伴うものとなるよう、望みたいと思います。
また、一部では、古い住宅等で住民を強制的に立ち退かせるような事例も発生しているそうで、安全性の確保と市民の生活との両立も求められるところです。

2015年8月に発生した天津市での爆発事故は記憶に新しいところですが、中国では、各地で大規模な火災や爆発、労災事故が頻発しています。
経済発展に安全性の確保が追い付いていない状況で、日本の高度成長期に重なる光景です。
北京では、環境保護に関する政府や市民の理解が徐々に進んでいることが感じられ、今後労働安全、生活安全についても、同様に認識が高まることが期待されますが、広い中国ですので地域差も大きく、今後も事故の発生が避けられないように思います。
「高度成長期の日本、バブル期の日本と今の日本が同居するのが中国」とここでも改めて感じさせられました。

中国の経済発展と社会の成熟度を見る上で、事故や労働災害は重要なポイントと思われます。何とか発生の減少を見たいと願うのみです。
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コラム執筆:長野雅彦 マネックス証券株式会社 北京駐在員事務所長

マネックス証券入社後、引受審査、コンプライアンスなどを担当。2012年9月より北京駐在員事務所勤務。日本証券アナリスト協会検定会員 米国CFA協会認定証券アナリスト

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