第244回 大手ピアノメーカーの海外進出 【北京駐在員事務所から】

マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。

第244回 大手ピアノメーカーの海外進出 【北京駐在員事務所から】

11月22日付の 本コラム(第240回)にて、中国の都市部で子供の習い事がブームになっていることをご報告しました。
スポーツ、芸術や外国語など分野は様々ですが、人気の高いものの一つがピアノです。
17日(日)に最終回を迎えました今年のNHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」で、オープニングテーマを演奏したラン・ラン(郎朗)を筆頭格に、多くの中国人ピアニストが世界で活躍していることも、人気に拍車をかけています。

世界一の人口を擁する中国ですので、ピアノの製造台数、販売台数も既に世界一と言われています。
もちろん、経済水準を反映し、国内で製造、販売されるものの多くは低価格の品ですが、年々技術力を高め、品質が向上しているとの評判です。
このあたりは高度成長期の日本メーカーと重なるものがあります。

国内市場で一定の地位を築いた大手メーカーは、さらなる成長を目指し、海外市場の開拓を目指しています。
そのためには、中国製品につきまとう「安かろう悪かろう」のイメージを払拭することが必要で、各社は様々な戦略、施策を講じています。
最大手のメーカー「珠江」は、昨年、約30億円を投じ、ドイツのピアノメーカー「シンメル」の株式の90%を取得しました。
この買収成立後、シンメルは中国での売上を伸ばし、また珠江もシンメルの販売網を利用して海外での拡販を実現しているそうです。
珠江は、来年2018年に、海外でのピアノコンクールやイベントに積極的に参加し、知名度をさらに高める計画です。またシンメルも、売上増を追い風に、珠江の協力も得て、東欧のポーランドで新たな生産拠点の開設を計画しています。

珠江の経営幹部は、中国政府が推し進める「一帯一路構想」により、海外進出に弾みがつくと期待を示しています。
中国では人件費が上昇し、工業製品の価格競争力が低下しているのですが、ピアノのように製造に技術、ノウハウが必要なもの、あるいはスマホのように単価が高い製品では、巨大な国内市場を擁することによるスケールメリットが価格競争力の源泉になります。
ピアノの世界では、日本のヤマハやカワイが技術力を高め、歴史ある欧米メーカーの製品に匹敵する水準に達したと言われていますが、遠からず、珠江を初めとする中国メーカーが、勢力争いに割って入ることになりそうです。

ピアノに限らず、中国の製造業の発展過程を見ますと、日本が辿った道と見事に重なるように思えます。
かつて、日本メーカーが隆盛を誇った白物家電製品やテレビは、すっかり中国ほか海外勢に取って代わられてしまいました。
自動車はまだ中国メーカーの技術力が低いと言われますが、これも電気自動車の時代が来れば、一挙に形勢逆転となる可能性があります。
さまざまな分野での中国企業の台頭により、日本は、「将来何で食べてゆくのか?」という課題を突き付けられているように見えます。

中国のピアノメーカーの動きから、日本の行く末に思いを馳せることになりました。
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コラム執筆:長野雅彦 マネックス証券株式会社 北京駐在員事務所長

マネックス証券入社後、引受審査、コンプライアンスなどを担当。2012年9月より北京駐在員事務所勤務。日本証券アナリスト協会検定会員 米国CFA協会認定証券アナリスト

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