30代前半の方向けに、貯めるプロジェクトの3ステップをフィナンシャルプランナーの岩城みずほさんに解説いただきました。

30代前半、貯めるプロジェクトスタート

「貯めるプロジェクト」を本気でスタートさせよう

30代前半と言えば、会社勤めも十年ほどになり、そこそこ貯蓄もできているはずと言いたいところですが、みなさんはいかがでしょうか。

厚生労働省のH28年賃金構造基本統計調査より試算しますと、30〜34歳平均年収は、大企業で男性が380.9万円、女性が318.5万円となっています。中企業では、男性が327.7万円、女性が286.8万円、小企業では、男性が314.4万円、女性が260.9万円です。通常、年収の賃金カーブは、年齢階級が高くなると賃金も上昇し、男女ともに50〜54歳でピークとなり、その後下降しています。男性に比べ、女性の賃金カーブは緩やかです。
仮に、20代から年収の1割程度を貯金できていたとして、30歳代前半での「現在資産額」が200万円前後とすると、まずまず貯蓄はできているということになるかと思います。

さて、皆さんの貯蓄状況はいかがでしょうか。趣味や娯楽、ファッションなどにお金を使うことも多く、なかなか貯められないという人が多いかもしれません。

今後の手取り平均年収を500万円として、Aさん(会社員・30歳)の「必要貯蓄率」を出してみましょう。 65歳まで働くと仮定して試算しています。「現在資産額」は200万円としました。退職一時金を800万円と想定して算入します。

Aさん(会社員・30歳)
今後の手取り年収(※) 500万円
老後生活比率 0.7倍
年金額150万円
現在資産額 1000万円
現役年数 35年
老後年数 30年
● 必要貯蓄率 17.86%

(※)今後の手取り年収については、業種にもよりますがだいたい43~5歳くらいの手取り年収を男女差の平均値を勘案して算出しています。

「必要貯蓄率」は、17.86%です。毎月約7万4000円の貯蓄をしていけば、老後は約24万円ほどで生活をしていくことができます。

今後、転職や昇進などで収入が増えれば、年金も増えますし、また、結婚して家計の収入が増えることで、老後生活費に余裕が生まれることもあります。しかし、ひとまずは、「厳しめに」、現実を受け止めましょう。

Aさんの現在の手取り年収は、約320万円です。必要貯蓄額が年間約89万円ですので、約28%を貯蓄しなければなりません。これは結構厳しい数字でしょう。
しかし、まず、皆さんに自覚していただきたいのは、まだまだ老後は先だからとか、シニア世代を見ているとどうにかなっているし、などと楽観的に考えていてはダメだということです。時代は変化しています。

高度成長期に働いてきたシニア世代は、いわゆる「昭和のすごろく世代」と言われ、十分な年金に支えられ、悠々自適に暮らしている方も多いでしょう。そんな世代をみて、どうにかなるのだろうなどとは思ってはいけないのです。

もちろん、終身で確実に受け取れる公的年金は頼りの綱ですが、年金財政が、少子高齢化の影響を受けることは免れないでしょうし、今、多くの企業年金は、終身から有期へと移行しています。

長い老後に困らないように、厳しめに、今、自分が必要な貯蓄額を算出し、それを達成していくことが大切です。そうすることで、あなたの老後は、とりあえずは、お金の心配をしないでも良いということです。

また、現役世代のほぼ全員が、確定拠出年金制度に加入できるようになった今、税制に大きな優遇措置のあるDC制度等を使い、国に頼るばかりではなく、「自分年金」を作ることも重要です。お金にも働いてもらいましょう。

「貯めるプロジェクト」の3ステップ

では、目標額を貯めるためには、いったいどうすればいいのでしょうか。
「貯めるプロジェクト」の3ステップをご紹介しましょう。

まずは、「スモールスタート」でも構いません。とにかくスタートを切ることです。「来月から始めよう」などと思わず、今すぐに、です。毎月、全くお金が残らない、つまり、全く貯蓄のできない人は、まず1万円でも構いません。今すぐ専用の「貯蓄口座」に移しましょう。絶対に生活費の口座とは別にしてください。これがファーストステップです。

セカンドステップは、自分が使っても良い金額を知ることです。貯蓄ができない人の多くは、「貯めては取り崩す」ことを繰り返しています。取り崩さなくても良い状態にすることが大切ですが、そもそもなぜ取り崩さなくてはならないのか。その理由の多くは、「今月臨時支出があって・・・」というものでしょう。
臨時支出とは「予期せぬ支出」という意味でしょうが、まず、その認識を変えるべきです。これまでの人生を振り返り、思わぬ支出というものがどのくらいあったでしょうか。実は、多くの支出は、概ね予測がついたはずなのです。
そのためには、貯蓄の他に、毎月ではないけれど、毎年必ずある支出を前もって予算化しておくことです。例えば、一括で支払っている年間保険料、帰省のための旅費などです。さらに、家計管理の上級テクニックとしては、衣服代、化粧品代、旅行などの娯楽費、冠婚葬祭費なども予算化しておきます。式にすると、下記のようになります。

手取り収入 — (年間必要貯蓄額 + 年間臨時支出予算) ÷ 12カ月=毎月自由に使ってよいお金

例えば、Aさんの、年間臨時支出を10万円として、上記の式にあてはめると、毎月自由に使ってよいお金は18万4000円ほどです。難しい場合は、貯められるように通信費などの大きな固定費を削るなどして支出を減らす必要があります。

そして、サードステップは、いわば、「貯められる身体」に体質改善をすることです。方法は意外に簡単です。具体的な方法は、「30代前半のあなたが今すべきこと(2)」で詳しく解説します。



岩城 みずほ 氏

岩城 みずほ(いわき みずほ)氏

ファイナンシャルプランナー CFP®認定者 オフィスベネフィット代表
東洋経済オンライン『今からでも必ず解決できる!おカネと人生の相談室』、毎日新聞経済プレミア、日本経済新聞『家計のギモン』、オールアバウト等で連載中。日本経済新聞社公認 日経新聞読み方講師。
愛媛出身。慶應義塾大学卒。NHK松山放送局を経て、フリーアナウンサーとして14年活動。その後セミナー講師に。生命保険会社を経て2009年に独立。個人相談、講演、執筆を行っている。貯めると増やすの車座の会「C(貯蓄)リーグ」良質なマネーの勉強会「サムライズ」主催。ボランティア活動「経済に強いママを増やす会」に参画。著書『人生にお金はいくら必要か』(山崎元氏と共著・東洋経済新報社)『そこ、ハッキリ答えてください!「お金」の考え方このままでいいのか心配です。』(山崎元氏と共著・日本経済新聞出版社)他。



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