「貯めるプロジェクト」の3ステップの最後のステップ、どうすれば「貯められる体質」に変身できるのかについてフィナンシャルプランナーの岩城みずほさんに解説いただきます。岩城さんは、この方法を使って「C(貯蓄)リーグ」という、「貯める」と「増やす」の車座の会を開催されているとのこと。

これまでこの会に参戦してくださったみなさんは、「貯蓄する習慣」と「マネーリテラシー」(お金とはどんなものかを知る理解力)を身につけながら、しっかりお金を貯めることができるようになったそうです。ここで実践している「貯められる体質」になる具体的な方法をご紹介いただきます。

お金を使う時に、頭の中で3つの仕分けをする

これまでの「大らかな生活」から、「貯められる身体」に体質改善をしていきます。早い人で1ヶ月、遅い人だと3ヶ月くらいの時間を要しますが、方法は意外に簡単です。

お金を使う時に、まず、頭の中で3つの仕分けをします。

3つの仕分けは、「支出の質を区別すること」が目的です。筆者は、「生活費の支出」「自己投資のための支出」「心を豊かにするための支出」に分けていますが、これは皆さんが自由に決めて頂いて結構です。そして、それぞれの予算を設定します。Aさんの場合、18万4000円を適切に配分することになります。

例えば、毎日のランチ代は、基本ルールは、「生活費」ですが、休日、恋人との贅沢ランチは「心を豊かにするための支出」になるかもしれませんし、ビジネス仲間とのランチミーティングは、「自己投資のための支出」かもしれません。仕分けはあなた次第なのです。

また、あなたがウイスキー好きだとすると、深夜のバーで注文した「3杯目」のそのラガブーリン(美味しいシングルモルトウイスキーです)。それは、ビジネスに繋がる投資なのか、リフレッシュの支出なのか、はたまた惰性のもう1杯なのか??あじけないようですが、もし「生活費」でもなく、「自己投資」でもなく、「心を豊かにする」ものでもないとすれば、それはムダな支出です。3杯目は我慢して家に帰りましょう。もちろん、3つの支出の予算内であるならば、その一杯のみならず、4杯目も、5杯目だってOKです。

要は、お金の使い方は、自分が納得し、満足できるように決めることです。ムダなお金は使わないこと。自分が使うべきところには、予算内で、しっかりお金を使いましょう。「あなたは、あなたの使ったお金でできている」のです。

食べるもの、身に付けるもの、お付き合いの仕方、生活の質にこだわるのは大切です。お金は適切に使ってこそ、価値を生み出すのです。どうぞ、自分のお金の使い道をしっかり意識してください。ポイントは、「3つの仕分けの中身をしっかり考えること」です。食費がいくら、光熱費がいくらなど細かく家計簿をつける必要はありません。要は、貯められればよいのです。

毎日5分、それを記録する時間をもうける

必ずレシートをもらう習慣を身につけ、毎日5分間、3つの支出の合計額を、表のようにノートにそれぞれ記入してください。

1ヶ月たったら集計してみましょう。「毎月自由に使ってよいお金」の予算内で収まっていますか?収まらなかった人は、どこを減らしていくべきか、次の月の消費行動の戦略を立てましょう。この記録は、予算内で支出を抑えられるように身体が覚えるまで続けます。

給料日になったら、貯蓄分は口座に移し、クレジット決算した金額分は口座に残したままにします。毎月少しずつでも貯蓄分が増やせて、必要貯蓄率相当分の貯蓄ができるようになることが当面の目標です。

1年間の集計をして予算立てを見直す

毎年、年始の恒例行事として、1年間の予算立てと必要貯蓄率の再計算をしてください。「人生設計の基本公式」に1年間の貯蓄額を算入し(運用損益は時価で算入します)、「必要貯蓄率」を出します。直ちに、必要貯蓄率が下がることはないでしょうが、貯蓄額が増えていることは、大いに励みになるはずです。

手取り収入—(年間必要貯蓄額+年間臨時支出予算)÷12ヶ月=毎月自由に使ってよいお金

を再計算して、1年間、貯蓄に励んでください。

貯めたお金は、DC(確定拠出型年金)やNISA(少額投資非課税制度)など、適切な置き場所に置き、お金も経済に参加して少しばかり稼いできてもらえるようにすることも大切です。正しいマネーリテラシーを身につけ、無意味なフラストレーションを生まない、堅実なお金の使い方を身につけ、主体的に貯蓄を増やしていきましょう。とにかく続けることが大切です。将来を見通してしっかり準備することで、やみくもな「不安」から解き放たれて満足のいく人生を送りましょう。