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ハワード ・ マークス (著)、貫井 佳子(翻訳) |
長期間に渡って驚異的な投資成績を収め続け、莫大な資産を築きあげた人物がいます。そして彼はその投資で築き上げた莫大な資産のほとんどを寄付すると発表し、聡明で謙虚な人柄から「賢人」とまで称されています。それが、あのウォーレン・バフェットです。 そのバフェットが、投資家に読ませたいと推薦している書籍がある。そう聞いたら読んでみたいと思われないでしょうか?その書籍こそ、「投資で一番大切な20の教え(ハワード・マークス著・貫井 佳子 翻訳)」です。本ページでは同書のエッセンスをご紹介し、投資をするうえでとても大切な考え方をお伝えいたします。 |
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「すぐれた投資家としての技量をもともと持っている者など、ほとんどいない。中には習得できる者もいるが、誰もがそうなのではない。そして、習得できる者も万能にはなれない。」
(出典)「投資で一番大切な20の教え」P16より
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これは、「投資で一番大切な20の教え」の第1章「二次的思考をめぐらす」に出てくる最初の一文です。本書で繰り返し出てくる重要なメッセージが、「投資は決して簡単ではない」というものです。 といっても、投資で平均的なリターンをあげることは簡単です。それは例えば日経平均やTOPIX、米国のS&P500といったいわゆる「インデックス」に連動する投資信託を購入すれば良いのです。著者のハワード・マークス(以下ハワード)が簡単ではないと言っているのは、「平均を上回るリターンを長期間にわたってあげ続けること」です。 → 申込手数料無料!インデックスに連動する投資信託をチェックする
市場には1円でも多く利益を稼ぎ出そうと、虎視眈々と機会を狙っている参加者が大勢います。その中で、平均を上回る成績をあげることは決して簡単ではないのは当然のことでしょう。さらに、短期間であれば運の要素が大きく、たまたま市場平均以上の成績をあげることはできるかもしれません。ただしそれが長期間になればなるほど、投資成績には実力が反映されるため、平均以上の成績を達成する困難さは増すでしょう。平均を上回る成績を長期に渡って実現する投資家になるのは決して簡単ではない、その覚悟をもつことが本当にそうなるために最初に必要なことなのかもしれません。 |
「何百万もの人が一ドルでも多く投資収益を手にしようと競っているのだ。競争に勝つのは、一歩先んじた者である。(中略)必要なのは、より鋭敏な思考である。私はこれを二次的思考と呼んでいる。」
(出典)「投資で一番大切な20の教え」P18より
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ハワードは、「投資で一番大切な20の教え」の中で「二次的思考」を行うよう強く勧めています。二次的思考とは「周りはこう言っているが、本当にそうなのだろうか?」と考え続けることを指しています。例えば、リーマン・ショックが起きた際、市場はまさに阿鼻叫喚となりました。下げ止まらない株価に恐怖を感じて資産を投げ売りした投資家が大勢いたはずです。ただ、株価がずっと下がり続けることはなくいつかは反転します。当然リーマン・ショックによる大幅な資産価格の下落は、冷静になって今から振り返ると投資のチャンスだったわけです。では下落のまっただなか、メディアが「100年に1度の金融危機が起きた」と報じて皆が恐怖を感じるなかで買い向かうことができたかというと、それは簡単とは程遠い行為でしょう。 市場参加者の多くが同じ方向に傾く中で、「人とは違う思考を巡らせて冷静に判断する。」というのはまさに「言うは易し行うは難し」です。それでもそれを実行せずに人と同じ思考ばかりしていては、投資成績はきっと平均かそれより下になってしまうでしょう。そして二次的思考をするためには、様々な角度から市場を分析するための知識やマーケットが混乱している時に冷静に対処するための心理的な訓練が必要で、やはり到底簡単とは思えません。 それでも二次的思考は「すぐれた投資家」になるために必要不可欠である、そうハワードは説いています。 |
日経平均の推移 (月足・2007年1月~) |
(出所)QUICKデータよりマネックス証券作成 |
日経平均の推移 (日足・2008年7月~) |
(出所)QUICKデータよりマネックス証券作成 |
「私にとっては、本質的価値を正確に推計することが、投資の出発点として欠かせないプロセスである。」
(出典)「投資で一番大切な20の教え」P41より引用
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資産の「本質的価値」を重視せよ。と、ハワードは教えています。投資の世界でよく知られている言葉として、「安く買って、高く売る。」というものがあります。当然それが実践できれば利益が出るわけですが、では何を基準に「安い」「高い」を判断できるのでしょうか。ハワード曰くその基準とするべきものが資産の持つ「本質的価値」だというわけです。 では資産の「本質的価値」とはなんでしょうか?それは大きな意味で言えば、その資産の持つ「将来のキャッシュフローを稼ぐ力」ということになるでしょう。もちろん例えば企業であれば、その企業の持つブランド力や経営者の能力など目には見えないたくさんの要素が本質的価値に入ってくると考えられますが、それらにしても結局は企業にキャッシュをもたらす力と言えます。 資産の持つ本質的価値を推計し、それと比べて資産の価格が高いのか安いのかを判断する。それが投資の本来の姿であるとハワードは主張しています。そして現在の資産価格と本質的価値の乖離を重視して割安であれば投資するのがいわゆる「バリュー投資」、現在の収益に対して資産価格が割高であっても、成長性を考えた本質的価値に対し割安であれば投資するのがいわゆる「グロース投資」と言われます。書籍の中でハワード自身はバリュー投資を重視するとの姿勢を打ち出しています。あのウォーレン・バフェットも「本質的価値」を重視した投資を行うことはよく知られています。 → ウォーレン・バフェットのポートフォリオを見る |
「私は、①マクロ経済が将来どうなるのか知ることは難しい、②未来に関するすぐれた知見を持ち、それを継続的に投資する際の強みにできる者はほとんどいない、ということを強く確信している。」
(出典)「投資で一番大切な20の教え」P205より引用
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ギリシャの偉大な哲学者ソクラテスが「自分は知らないということを知っている」いわゆる「無知の知」を自覚している、と語ったことは有名です。本書では20のうちの14番目の教えとして「無知を知る」ことを薦めています。それは具体的には、「自分は未来を正確に予想できる」という思い込みを捨てることです。経済や市場全体の将来について予想を当て続けることはほぼ不可能と言っていいでしょう。 一方でハワードは、例外としてより狭い範囲に特化して熱心に研究すれば、ほかの人よりも多くの知見を得て投資に活かせると説きます。それは例えば個別の企業についてです。経済動向やマーケット全体についての予測は難しくても、個別の企業を徹底的に調べあげることは企業の「本質的価値」を知ることにつながるということなのかもしれません。 |
「困難だがスリルに富み、思考力を大いに刺激される旅へと出るがよい。」
(出典)「投資で一番大切な20の教え」P312より引用
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ここまでお読みいただいた方の中には、「投資とはこんなに難しいものだったのか」と尻込みされた方もいらっしゃるかもしれません。確かにハワードは「投資で一番大切な20の教え」の中で市場平均を上回るリターンをあげることの難しさを繰り返し説いています。ではだからといってそれに挑戦せずにあきらめよと言っているかというと、決してそうではありません。本書の結びの一文が「困難だがスリルに富み、思考力を大いに刺激される旅へと出るがよい。」となっているように、たくさんの学びを得ながら投資を実践することを勧めているのです。 今回は「投資で一番大切な20の教え」をご紹介しましたが、他にもぜひお読みいただきたいたくさんの投資に関する名著があります。既に投資に挑戦されている方も、これから挑戦される方もそれらの名著からたくさんのことを学んで、素晴らしい資産運用を実現していただきたいと思います。 |
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