「月刊スイングトレーダー!」では、スイングトレードをされているお客様向けに、様々な情報を提供してまいります。ぜひ最後までおつきあいください。 |
執筆者:トレード・サイエンス株式会社 高井 克実 氏 野村證券やBNPパリバでディーラーとして活躍。 現在はマネックスシグナルの開発・運用を担当。 |
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ECBとFOMCは、円安要因にならず。為替が円高に反転で軟調 |
12月の日本株マーケットは、月初に為替が円高に反転したことで下落しました。中旬以降はレンジ相場でした。 日経平均株価は、約710円下落して、11月の上昇分を帳消しにしました。原因は12月3日のECBの追加緩和が期待外れだったことで、それまで下落傾向だったユーロ/米ドルが反発したことです。このユーロの買い戻しとドル売りの動きは、米ドル/円にドル売りとして波及して、米ドル/円は123円台から120円台に下落しました。日本株は、米ドル/円に連動して下落する動きでした。その後は、12月16日の米国FOMCでの利上げで、反発する場面もあったのですが、10月からの大きな反発の流れは断ち切られ、月の終わりにかけては、日経平均株価で19,000円近辺のレンジ相場になりました。米ドル/円の為替が、日本株に与える影響の大きさを実感させられた月でした。 前月号の11月末の時点でのビューでは、12月はECBとFOMCでほぼ決まると書きましたが、ECBの追加緩和は期待外れで、FOMCの利上げは織り込み済みという結果でした。この2つの材料で進行してきた相場は終了し、2016年の新しい相場が始まります。 ボラティリティに関しては、11月と似たような動きでした、米国のVIX指数は一時20を超えましたが、総じて15~20の警戒水準の動きとなりました。 8月に40という高値をつけているので、なかなか15以下の安定水準には戻らない状況が続いています。 (トレード・サイエンス株式会社 高井 克実) |
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続いて、個別銘柄では12月にどのようなスイングトレードのチャンスがあったのかをふり返ってみたいと思います。 マネックス証券では、アルゴリズムに基づいて銘柄や売買のタイミングを提案するサービス「マネックスシグナル」を提供しています。 マネックスシグナル(アウトライト戦略)では、順張りや逆張り等のアルゴリズムに基づいて取引を提案するロボットを用意しており、多様なトレーディングアイデアが詰まっています。12月にマネックスシグナルが提案した取引を参考に、先月の個別銘柄のトレーディングにおけるアイデアやポイントをふり返ってみたいと思います。 ■マネックスシグナルとは テクニカル分析等に基づくアルゴリズムに従って、ロボットが毎日、大型株を中心とした売買のタイミングをメールで提案する、マネックス証券のオリジナルサービスです。 |
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12月に提案した取引 |
※ | マネックスシグナルは、寄付での成行注文を想定しているため、グラフの株価は始値を使用しています。 |
12月に利益確定をした取引例 |
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(トレード・サイエンス株式会社のデータを元にマネックス証券作成) |
Long152は、強い動きをしている銘柄の比較的小さな下落に対して逆張りの買いを仕掛けるロボットです。 ダイキンは、11月に強い動きを見せた銘柄でした。11月5日に発表された好決算とECBの追加緩和期待による円安の流れに乗って8月11日の高値を更新する勢いでした。その強い動きからの小さな押し目が11月末日にあり、翌日の12月1日の寄付で買いで仕掛けたシグナルです。12月1日からの三連騰で利食いのシグナルが出て、翌日の12月4日の寄付で利益確定となりました。12月4日の寄付が下がってしまったので、利益が削られましたが、ロボットの狙い通りの動きで利益を得ることができたシグナルでした。 |
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(トレード・サイエンス株式会社のデータを元にマネックス証券作成) |
Long153は、弱い動きをしている銘柄の比較的大きな下落に対して逆張りの買いを仕掛けるロボットです。 12月3日のECBの追加緩和が不発に終わり、為替がドル高円安から、円高ドル安の基調に変化すると、日本株全体も下落の流れになります。11月は堅調だった東海旅客鉄道も、その下落の流れに巻き込まれて、12月11日の引け後に買いのシグナルが発生します。翌日の14日の寄付で買いで仕掛けたあとは、米国FOMCの利上げ後の日本株全体の反発をきっかけに、それまで売られ過ぎを取り戻す形で堅調な動きとなり、12月28日に利益確定となりました。売られすぎの銘柄の短期的な反発を取る狙いが実現されたシグナルでした。 |
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(トレード・サイエンス株式会社のデータを元にマネックス証券作成) |
Short151は、株価が落ち始めた銘柄に順張りで空売りを仕掛けるロボットです。 このロボットは、複数のボラテリティを監視しており、マーケットが大きく動いているときにシグナルを出すロボットです。また、今回のシグナルは、米国株の下落でVIX指数が上昇した一瞬の隙を狙って売りを仕掛けましたが、VIX指数の反落で、即座に撤退したシグナルでした。下落中の富士通に空売りを仕掛けて、反発する一歩手前で、利益を確定することができました。 |
12月に損切りをした取引例 |
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(トレード・サイエンス株式会社のデータを元にマネックス証券作成) |
Long151は、株価が上がり始めた銘柄に順張りで買いを仕掛けるロボットです。 このロボットは、複数のボラテリティを監視しており、マーケットが落ち着いているときにシグナルを出すロボットです。 村田製作所は、11月上旬から狭い範囲のもみ合いの状態でした。12月4日に安値をつけた後、12月11日の反発で、買いのシグナルとなりました。しかし、その後は、iPhoneの販売についての弱気な見通しによる米国のアップル株の下落に巻き込まれる形で大幅に下落してしまいました。12月21日に損失確定となり、12月の成績を大きくダウンさせたシグナルの1つになりました。 |
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(トレード・サイエンス株式会社のデータを元にマネックス証券作成) |
前述の東海旅客鉄道と同じLong153からのシグナルです。 期待外れだった12月3日のECBの追加緩和から下落基調になっていた三菱重工業に対しての逆張りのシグナルです。12月24日に買いで仕掛けましたが、当日の引け後に、国産ジェット旅客機「MRJ」の納入時期を1年程度延期する、というネガティブなニュースが出てしまいました。翌日は大幅安になり、損失確定のシグナルになっています。結果的には、安値で損切りを行ってしまったのですが、突発的な悪いニュースに巻き込まれたときは、ロボットに設定された損切りのルールを守って撤退します。 |
12月の全シグナルおよびパフォーマンスはこちらをご覧ください。 |
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先行して発表される米国企業の決算と米ドル/円の為替の動きに注目 |
1月のマーケットは、日本企業に先行して発表される米国企業の決算発表が大きな材料になります。米国企業の多くは、12月決算なので、今回発表される数字は本決算になります。同業種の日本企業は、米国株の影響を大きく受ける傾向があるので、要注目です。特に世界最大の時価総額のアップル株の決算の内容は、影響を受ける企業が多いので、チェックしておきましょう。 世界的に中国を初めとする製造業の減速は明らかで、それを支えているのが、米国の内需という構図になっています。世界的な製造業の減速を米国の内需でカバーできているかを見極める月になるでしょう。米国の内需が支えきれる場合は、米ドル/円は底堅く、日本株のサポートになるでしょう。支えきれない場合は、米ドル/円の下落に連動する形で、日本株には調整圧力がかかるでしょう。 見ておくべきマーケットとしては、米国S&P500株価指数、VIX指数、米国2年債利回り、上海総合株価指数などが考えられます。為替では、ユーロ/米ドル、米ドル/円、米ドル/ブラジルレアル、米ドル/インドネシアルピアなどが考えられます。エネルギー関連が悪いのは、誰もがわかっているので、あまり材料にならないでしょう。 |
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元ディーラーに学ぶ、スイングトレードセミナー!(毎月開催) <口座をお持ちの方限定> |
2016年1月20日(水)開催 講師:トレード・サイエンス株式会社 高井 克実 氏 マネックスシグナルの提案した具体的な銘柄を例にして、楽しくスイングトレードの勉強をしていきたいと考えています。テクニカル分析からみたマーケットの状況やトピック、パフォーマンスの評価の仕方などを、より実践的な視点で話していきます。 |
本セミナーは終了しました。 後日、オンデマンドを公開する予定です。 |
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ここからは、先ほど紹介したマネックスシグナル(アウトライト戦略)の12月のパフォーマンスをふり返ります。マネックスシグナルに興味を持たれたお客様や、ご利用中のお客様はぜひご覧ください。 |
12月の全シグナルはこちら |
(トレード・サイエンス株式会社のデータを元にマネックス証券作成) |
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12月中に返済が行われたシグナルについて集計しています。 |
12月は、シグナルの多い月でした。ECB以前の堅調だったマーケットではLong152からのシグナルが目立ち、それ以降の下落局面で、Long153からのシグナルが目立ちました。新規約定日で12月1日から12月9日まで間隔がありますが、この間に円安傾向だった為替が円高に反転して日本株が下落に転じたことが、登場してくるロボットの変化によってわかります。 12月のパフォーマンスは、前述のLong152とLong153のシグナルの多くが損失となったため、良いものではありませんでした。マーケットが大きな上昇から下落に転じるときは、負ける傾向があります。それを防ぐために、複数のボラティリティを監視しているのですが、あまりボラティリティが上昇しないなかで、上旬の下落を迎えたのが敗因と考えています。 |
12月のパフォーマンス |
(集計期間 2015年12月1日~2015年12月30日 返済シグナルの実績値) |
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(トレード・サイエンス株式会社のデータを元にマネックス証券作成) |
12月は、11月からシグナルの持ち越しが8個、新規のシグナルが35個、返済シグナルが26個、1月へのシグナルの持ち越しが17個、というシグナル数になりました。期待外れだったECBで為替と日本株の方向が切り替わったので、シグナル数がとても多い月となりました。 統計としてのサンプル数が少ないので、勝率や平均損益率はあまり意味がありませんが、今月は、はっきりと負けの月でした。サンプル数の多い過去の各月の成績は、スペシャルサイトをご参考ください。 |
マネックスシグナル(アウトライト戦略)、過去2年間のパフォーマンス |
(トレード・サイエンス株式会社のデータを元にマネックス証券作成) |
* 累積月次損益率は、各月の月次損益率を、加算したものです。 * 月次損益率は、個別のシグナルの決済後の成績を月毎に通算したものです。 * 灰色の数値は、バックテストで計算されたシミュレーション上の数値になります。 |
過去の詳細な成績や、ペアトレード戦略の成績は、スペシャルサイトで公開しています |
過去2年間のパフォーマンスを評価するグラフを2つ用意しました。 上のグラフは資産曲線と呼ぶグラフで、右肩上がりが理想とされています。右肩上がりにするためには、損失をいかに早く取り返す事が重要になります。 下のグラフは、当月の成績が過去の月と比較してどれくらいのものだったのかを判断するために使います。具体的には、決定的な勝ちだったのか、かなり大きな負けだったのか、想定される範囲内だったのか、という3パターンで判断します。 12月の損益については、はっきりとした負けの月です。過去の統計からは、年間に1回か2回ある想定内の損失で、堅調な相場から下落に転じるときに起こる傾向があります。 負けた場合は、どれだけ短い時間で取り戻せるかが、重要です。ピーク更新からは、まだ1ヶ月なのでなるべく早い回復を目指したいところです。 |
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以上、今月の「月刊スイングトレーダー!」をお送りいたしました。 来月もぜひご覧ください。 |
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