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不朽の名著から学ぶ一生ものの投資法 | ||||
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バートン・マルキール (著), 井手 正介 (翻訳) |
40年以上に渡って世界中の投資家に読まれ続けている、まさに「不朽の名著」と呼ぶべき書籍があります。それが「ウォール街のランダム・ウォーカー」です。本書を執筆したのは世界最大級の資産運用会社であるバンガード・グループの元社外取締役であるバートン・マルキール氏です。 本書の主張は極めてシンプルで、個人投資家の多くは「インデックス・ファンド」を資産運用のコアに据えるべきというものです。ただ、それだけで40年以上も読まれる続ける名著になりうるのでしょうか? 本書の特徴は、その主張が膨大な量の実証分析に基づいて行われていることにあります。本ページでは約500ページある本書から5つのエッセンスをご紹介し、「一生ものの投資法」の一端をご紹介します。 |
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ランダム・ウォークというのは、「物事の過去の動きからは、将来の動きや方向性を予測することは不可能である」ということを意味する言葉である。これを株式市場に当てはめると、株価が短期的にどの方向に変化するかを予測するのは、難しいということだ。
(出典)「ウォール街のランダム・ウォーカー」<原著第11版>P19
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本書を通して一貫して発せられているメッセージは、「株価の短期的な値動きを予測することは極めて困難である」というものです。著者のバートン・マルキール氏は、短期的な株価予想は困難であるということを様々な実証実験を通じて明らかにしながら、そのうえでどのような投資行動を取ることが投資家にとって望ましいかを述べています。なお、ランダム・ウォーク(random walk)という言葉は、千鳥足の酔っぱらいが次の一歩をどのように踏み出すか予想することは困難ということに由来しています。 |
貪欲さが一世を風靡するというのが、歴史上の異常な投機ブームに共通する基本的要素である。お金欲しさのあまり、市場参加者は全員、ファンダメンタル価値理論をあっさりと投げ捨て、砂上の楼閣を築くことで巨万の富が得られるという、疑わしいがスリル満点の考えにとりつかれる。ほとんどどの国もこうした風潮が蔓延した経験を持っている。
(出典)「ウォール街のランダム・ウォーカー」<原著第11版>P35
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本書では、歴史的に繰り返されてきた異常な価格形成(バブル)について様々な事例が引き合いに出されます。古くはオランダで起こった「チューリップ・バブル」、イギリスの「南海バブル」、最近では1980年代後半の日本の「地価バブル」、1990年代末期の米国の「ITバブル」、2000年代の米国の「不動産バブル」など世界的に枚挙に暇がないほど数多くのバブルが発生してきました。 非常に重要なのは、バブルが起こっている最中はそこに参加している人の多くはそれがバブルだと思っていないということです。本書の中でマルキール氏は、後から振り返れば明らかなバブルでも、バブルの渦中にあっては「正当化する一定の理屈があるものだ」と指摘しています。 「歴史は繰り返す」の格言通り、きっとこれからもバブルは繰り返すのでしょう。いざ自分がその中にいる時に冷静さを保って行動するために、本書から過去の事例を学んでおくことはきっとプラスに働くでしょう。 |
<テクニカル分析について>
ご存知の通り、私はチャーチストに対して偏見を持っている。それは、個人的な好き嫌いという次元だけでなく、プロの立場に立った時の見解でもある。テクニカル分析は、学者の世界では異端の教義であり、それを非難するのはわれわれにとって喜びでさえある。
(出典)「ウォール街のランダム・ウォーカー」<原著第11版>P169
<ファンダメンタル分析について>
もっともらしさと科学的な外見にもかかわらず、この種の分析には以下のような三つの問題点がある。まず第一は、情報や分析が必ずしも正しいとは限らないという点である。第二に、アナリストが「価値」の推定を間違う可能性が指摘できる。そして第三に、市場も必ずしも自分の「間違い」を速やかに訂正するとは限らないこと、すなわち株価が必ずしも本来あるべき値段にサヤ寄せされないことがしばしばあることも、忘れてはなるまい。
(出典)「ウォール街のランダム・ウォーカー」<原著第11版>P159
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株価やその他の資産の分析手法には、大きく分けて「テクニカル分析」と「ファンダメンタル分析」があります。まず、マルキール氏は本書の中でテクニカル分析の有効性について非常に否定的な見解を示しています。短期的な株価の動きは「ランダム・ウォーク」であり、過去の株価を利用しても将来の株価予想の役には立たないというのがマルキール氏の論旨です。 一方、マルキール氏はファンダメンタル分析については一定の理解を示しています。株価収益率(PER)や配当などは合理的な株価を算出するうえで非常に有効であるとも述べています。ただし、ファンダメンタル分析も様々な理由から往々にしてうまくいかないことがあると指摘しています。そしてファンダメンタル分析の困難さと不確実さゆえに、個人投資家の多くはファンダメンタル分析を捨ててインデックス・ファンドをコアにした資産運用をすることが望ましいと主張しています。 |
実のところ誰もが納得するスマート・ベータ戦略の定義は存在しない。この言葉を用いる多くの関係者が念頭に置いているのは、低コストの市場インデックス・ファンド以上のリスクを取らずに、それを上回るリターンが得られるような、一種の「消極(パッシブ)運用」のことだ。
(出典)「ウォール街のランダム・ウォーカー」<原著第11版>P328
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この数年、スマート・ベータという言葉が広く浸透するようになりました。そのため本書の最新版である第11版で初めてスマートベータの定義や手法、その成果についての説明が追加されました。 マルキール氏はスマート・ベータに部分的な有効性を認めながらも、「スマート・ベータが市場平均を上回っているのは、リスクを多く取った結果にすぎない」と結論づけています。そして、個人投資家には結局は時価総額加重平均のインデックス・ファンドを資産運用のコアにすることがベストであると述べています。 |
ほとんどの投資家に対して、私は幅広く分散投資された市場インデックス・ファンドをお勧めする。その理由は二つある。第一に、ほとんどの個人投資家は十分に分散投資するに足るだけの資金力を持っていないからだ。第二に、ほとんどの若い人たちは現在十分な資金を持っているのではなくて、月々の積み立てによって徐々に増えていくのだから、この場合は投資信託が最適と言えよう。
(出典)「ウォール街のランダム・ウォーカー」<原著第11版>P451-452
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マルキール氏は、幅広い個人投資家に向けて「低コストのインデックス・ファンドを活用した国際分散投資」を強く勧めています。市場はかなり「効率的」であり、市場平均以上の超過リターンを狙うことは容易ではないというのがその理由です。 また、マルキール氏は年代別に応じたお勧めのポートフォリオ例を示しています。米国の個人投資家向けに記されていますが、日本の投資家にとっても十分参考にできるでしょう。 |
「ウォール街のランダム・ウォーカー<原著第11版>」
で提唱されている年代別ポートフォリオ
20代半ばの投資家向け | 30代後半から40代はじめの投資家向け |
50代半ばの投資家向け | 60代後半以降の投資家向け |
最後に「ウォール街のランダム・ウォーカー<原著第11版>」で取り上げられているバンガード社のETFをご紹介します。世界的にも稀有な低コストで知られる同社のETFは個人投資家の資産運用の強い味方となるでしょう。 |
ETF名 | カテゴリー | 経費率 |
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バンガード・トータル・ストック・マーケット(VTI) | 米国株 | 0.05% |
バンガード・FTSE先進国市場(除く北米)(VEA) | 先進国株 | 0.09% |
バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツ(VWO) | 新興国株 | 0.15% |
バンガード・FTSE・オールワールド(除く米国)(VEU) | 米国を除くグローバル株 | 0.13% |
バンガード・トータル・ワールド・ストック(VT) | グローバル株 | 0.14% |
バンガード・米国中期社債(VCIT) | 米国社債 | 0.10% |
口座開設にあたっては、「契約締結前交付書面」で内容をよくご確認ください。 |
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