ゲーム業界の最新情報をお届けするために、最先端のゲームや技術が体験できる東京ゲームショウ2019を取材しました!
5G時代到来に世の中が劇的に変わると期待されている中、実際にどの程度実現に向かって進んでいるのか?さらに、カプコン(9697)、スクウェア・エニックスHD(9684)、バンダイナムコHD(7832)など、各ゲーム企業の最新タイトルや商品をご紹介します!
この記事を読んで技術の進化を感じていただけると嬉しいです。
NTTドコモらキープレーヤーが語る「5Gの現在と将来」
近頃「5G」という言葉をよく耳にしませんか?
「5G」とは、移動通信の次世代規格です。現行規格の「4G」と比較するとその通信速度は理論値は10倍、体感値では100倍の性能と言われており、この技術が浸透すると、単純にインターネット回線が早くなるだけではなく、自動運転技術やAI技術の向上など、IoT(Internet of Things)の発展に必要なデータ処理が早くなり、私たちの生活がより豊かになる可能性を秘めています。
東京ゲームショウ初日の2019年9月12日、5G技術を巡る現状と将来の展望を概説する基調講演が開催されました。登壇したパネリストには、NTTドコモ(9437)、ガンホー・オンライン・エンターテイメント(3765)、シャープ(6753)、スクウェア・エニックス(9684)、ネットイース(網易、ティッカーシンボル:NTES)という、国内外で5Gに関わる企業の専門家が勢ぞろい。
様々な視点から、5Gを多面的に語る意見が活発に交わされました。
基調講演「5Gインパクト~5Gによって"ゲームチェンジ"は起こるか?」の様子(2019年9月12日)
5G導入は一次産業や労働者不足問題など、様々な問題解決に貢献すると期待されている一方で、導入過程における誤解があるとNTTドコモの中村氏は指摘します。
5Gサービスは2019年9月20日から開催されるラグビーワールドカップ2019で試験的に導入する所まで進んでいます。しかし、「5Gサービス開始」=「全地域展開」にはならず、一部の地域から徐々にサービス提供が開始され、数年かけて展開する見通しです。
実際に5G通信を市販の携帯電話やスマートフォン、タブレットで体感するのはまだまだ先となりそうですが、ゲームメーカー・AV機器メーカー各社による5G対応製品の開発は着々と進んでいます。
シャープの小林氏は、この講演で5G対応に向けたAQUOSシリーズ新作「AQUOS zero」を初公表しました。通信性能向上に伴う発熱の問題など、5G特有の端末開発の課題を挙げ、表面温度5度を維持する放熱対策や、風船で浮かせられるほどの軽量化など、同社の5G対応スマートフォンの性能向上をアピールしていました。
AQUOS新シリーズ「AQUOS zero」と5Gに向けた対策について(2019年9月12日)
白熱するeスポーツ大会に会場は一致団結
東京ゲームショウで開催されるイベントの中でも特に注目を集めるeスポーツ大会。
2019年のゲーム市場価格は1,521億米ドル(参考:Newzoo「2019 Global Games Market Report」)と言われ、今年も多くの観客がeスポーツ大会の会場に詰めかけました。
今回取材を行ったストリートファイターV アーケードエディション「CAPCOM ProTour 2019アジアプレミア」の決勝トーナメントでは、参加したeスポーツ選手は年齢に関わらず20代という若さでも十分に活躍でき、さらにグローバルに展開される競技であることを強く実感しました。大会のオープニングでも、半導体大手インテルが「Intel World Open」と題した、新たなeスポーツ世界大会の開催を発表するなど、様々な業界の大手企業たちがeスポーツ市場の拡大に注目していることがうかがわれました。
今大会で、21歳という若き有望選手が、前大会チャンピオンに勝った瞬間の会場の熱気は忘れられません。
そして、素晴らしいプレイヤー大逆転劇に、スタンディング・オベーションを送る会場の熱狂ぶりも忘れられません。
そこには、野球やサッカーの観客に匹敵するほど、成熟した観客の姿がありました。海外に比べ発展が遅れていると言われるわが国のeスポーツが、かつてサッカーや野球が新たな娯楽として受け入れられてきたような過程のとば口に立っていることが実感できた、選手・観客ともに素晴らしい大会でした。
© CAPCOM U.S.A., INC.2016, 2018 ALL RIGHTS RESERVED.
カプコンはバイオハザードシリーズ未公開情報を発表
バイオハザードシリーズ新タイトル「PROJECT RESISTANCE」のスペシャルステージ(2019年9月12日)
バイオハザードの世界観で行われるオンライン対戦サバイバルホラー「PROJECT RESISTANCE」のスペシャルステージでは、多くの人が「バイオハザード」シリーズのテイストを持ちながらも、シリーズとは異なるゲームシステムが導入された新作に盛り上がっていました。
本作では、「マスターマインド」という追跡者、そして「サバイバー」と呼ばれる逃亡者を、それぞれプレイヤー(人)が操作します。対戦相手がNPC(ノンプレイヤーキャラクター)だと体験できない、頭脳戦も必要となるゲームだと非常に面白く感じました。
近年、PUBGやフォートナイトなど、多数のプレイヤー同士で対戦するオンライン対戦ゲームが人気を博しており、それらのゲームにカプコンが「バイオハザード」シリーズで長年培ってきたホラー表現を加えたのが本作の強みで、国内外で注目を集めそうです。
バンダイナムコホールディングスは新作タイトルが目白押し
バンダイナムコブースの新作タイトル(2019年9月12日)
バンダイナムコホールディングスのブースでは、昨年同様数多くの新作タイトルが紹介されていました。強力なIP(知的財産)を複数保持している同社の中でも、特に過去数年好調なのが「ドラゴンボール」と「機動戦士ガンダム」。
ブースの中でも当然ながら2シリーズの存在感は大きく、特にガンダムはNintendo Switch/PlayStation4/PC向けの「SDガンダム ジージェネレーション クロスレイズ」に加え、スマホアプリ2タイトルが紹介されており、試遊コーナーも盛況。
引き続き同社の業績好調を維持するけん引役となりそうです。また、「ドラゴンボール」「機動戦士ガンダム」に次ぐIPとなった「ONE PIECE」関連の新作もNintendo Switch/PlayStation4/Xbox One向けの「ONE PIECE 海賊無双4」、スマホアプリ「ONE PIECE バウンティラッシュ」と2タイトル紹介されており、特に「ONE PIECE 海賊無双4」のコーナーには人だかりが目立っており、2020年の発売後のセールスが楽しみな一作です。
ハピネットブースでは家族向けソフトを試遊体験可能
ハピネットの新作タイトル「オバケイドロ」の試遊体験(2019年9月12日)
バンダイナムコグループ傘下のハピネット(7552)は、2019年8月1日に配信開始した「オバケイドロ!」を試遊体験を提供していました。
ハピネット(7552)の株価は、ハピネットの子会社であるマックスゲームズがNintendo Switch Liteの関連商品を、2019年9月20日に発売することが好材料と見られ、2019年9月5日(木)から7連騰しています。
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スクウェア・エニックスで注目したい話題のタイトル3点
スクウェア・エニックスブースの注目タイトル(2019年9月12日)
スクウェア・エニックスのブースは、今期発売の「ドラゴンクエスト11」(Nintendo Switch版)と「ファイナルファンタジー7 リメイク」(PlayStation4版)という同社の屋台骨シリーズ新作発表という話題性もあり、ひときわ活況なブースでした。Switch版「ドラゴンクエスト11」を試遊した印象としては、先行しているPlayStation4版と比べてもグラフィックや動きに細かな改善が見られ、従来のファンからの期待に十分応える作品、という印象を受けました。
唯一残念だったのは、取材陣2人の腕前が悪すぎて試遊時間中に中ボス戦まで行けなかったことです...。
その他、注目作品として挙げたいのが、同社が2020年5月に発売予定の「Marvel's Avengers(アベンジャーズ)」。
原作は、日本でも大ヒットを記録した人気アメコミ映画シリーズで、欧米向けタイトルとして、同社の収益の柱となっている「トゥームレイダー」シリーズに次ぐ存在となることが期待されます。また、東京ゲームショウ初日にリリースされたスマートフォンアプリ「ドラゴンクエスト ウォーク」はさっそくApp Store無料ランキングで首位と滑り出し好調で、業績への好影響も期待されます。
AKRacingは新作コラボゲーミングチェアを発表
AKRacingブースにて展示されているコラボチェア(2019年9月12日)
AKRacingは、eスポーツ大会において多くのプレーヤーに利用されているゲーミングチェアブランドです。
実際に座ってみると、頭部と腰をしっかり支え、さらに肘かけの高さが調節できます。AKRacingのチェアはeスポーツプレイヤー向けに開発された製品ですが、長時間デスク作業をする仕事場にぜひ導入してほしいと感じるほど快適でした。
ブースでは、「FINAL FANTASY XIV」とAKRacingがコラボした新作ゲーミングチェアが展示され、実際に座ることが出来ました。
eスポーツ市場が拡大する程、ゲーム周辺機器・用具も需要が高まることが期待されます。AKRacingは未上場企業ですが、同社あるいは類似企業が今後IPO(新規公開株式)する際には注目したいと思います。
マネックス証券担当者からのコメント
6年連続25万人以上の来場者を迎え、東京ゲームショウ2019は大盛況のまま幕を閉じました。
なぜ証券会社が東京ゲームショウ2019の取材をするのか?ちょっと不思議に感じた方もいらっしゃるかもしれません。
一つには、ゲーム業界が低成長と言われる日本の中でも、5G、クラウドなどの最新技術と結びついてさらなる成長を遂げる可能性が高い業界であること。二つ目は、かつて日本のビデオゲーム市場黎明期を支えた子どもたちが大人として社会の中心世代となる中、今までの「子どもの遊び」という立場にとどまらず、大人も楽しめる娯楽としての幅を得たこと。三つ目は、eスポーツの台頭によってゲームがプレイする楽しみだけでなく、観戦するエンターテインメントとしても成熟するなど、その役割が変化してきていること。こうしたゲームにまつわる状況の変化を皆様にお伝えしたいと考えたからです。
この記事が皆様の一助となれば幸いです。