2017年10月27日(金)、マネックス証券は日経平均が3万円へと上昇する見通しを発表しました。あわせて、2017年11月にマネックス証券社員と外部有識者の、日経平均3万円の到達予想時期とコメントを掲載しました。

日経平均3万円への道。達成時期はいつ?(2017年11月9日掲載)

今回、2018年5月の日本市場の株安を受けて、日経平均の見通しを一部変更いたしました。各人のコメントをご覧ください。

マネックス証券 代表取締役会長 松本 大

3万円到達予想時期

2019年12月末

コメント

3月14日に見通しのアップデートをしてから約2ヶ月が経った。当時は2月初頭のマーケットの変動の心理的ショックがまだあったが、今はもうない。そしてこの2ヶ月間に出てきた材料としては、朝鮮半島情勢の安定化、引き続き強い米国の経済指標であり、政治的には米国も日本も、大統領・首相を取り巻くゴタゴタが以前と変わらず続いているといった感じである。

前回は、我が国において金融緩和政策が維持されていること、企業収益がバブル期の4倍であるにも関わらず時価総額はバブル期と変わらないこと、日本企業の性能はかなり良くなってきていること、などを理由に、日本株は波を伴いながらも、米国株などと同様に、長期的には上がっていく株になったという前提は変わらず、然しながら2月初頭の変動で株価が一旦大きく下げ、またその変動を契機にボラティリティが上昇し、その結果円高になりやすくなったので、日経平均3万円到達時は当初予想より遅れ、2019年12月末になるだろうと予想した。

しかし、最近の地政学リスク状況、経済状況、マーケット状況を見ると、少なくとも2月、3月の時に比べて センチメントも含め、好転していることは明らかである。予想時期は2019年12月末から変更しないが、気持ち的には前倒ししたくなって来ていると述べておきたい。

マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆

3万円到達予想時期

後ズレシナリオ(2020/3月末)となる見込み

コメント

前回(2018年3月)のアップデートで、は、日経平均が3万円に到達するという従来の基本観を維持したうえで、ただし3万円到達時期が1年後ろ倒しの2019年度末(2020/3月)というシナリオをもうひとつ提示した。

市場センチメントが極端に悪化した結果、後ずれする可能性が高まったとしたものである。

その後2ヶ月の動きは想定通りで、市場センチメントの極端な悪化は修正され、日経平均株価も3月の彼岸過ぎに底打ちしており、早晩高値に戻るだろうと見ている。

一方、前回以降のアップデートで「グローバル経済や企業業績などファンダメンタルズは良好」としていたが、日本・海外ともに景況感の悪化が見られるようになってきている。リセッションとまでは言えないが、「ソフトパッチ(ぬかるみ)」もしくは「踊り場」というような状況といえよう。

そうしたソフトパッチが、株式相場にとって好都合となる場合もあるが、3万円到達時期は後ズレシナリオの可能性が高まったと考えられる。

詳細はストラテジーレポート「「日経平均3万円への道」アップデート 2018年5月」をご覧ください

マネックス証券 チーフ・アナリスト 大槻 奈那

コメント

企業のファンダメンタルズは引き続き強く、金融危機のリスクも見られないことから、日経平均株価が2019年度末頃までに3万円に達するという見方には変わりはない。

2月以降、米金利の上昇や為替変動により、投資家のセンチメントが悪化したことを指摘してきた。しかしその後、北朝鮮が融和路線へと大転換を見せたことで、市場は落ち着きを見せている。現在の109円台のドル円レートは従来の企業の想定為替レートとほぼ合致するとみられ、企業収益予想に対する不安感は後退した。これに伴い、個人のセンチメントもやや回復傾向にある。

一方新たなリスク要因として、一部の新興市場の為替の下落や金利の上昇が浮上している。4月末以降トルコリラやアルゼンチンペソの下落が著しく、5月初頭に、トルコリラは対ドル、対円で史上最安値を記録している。

依然として、金融危機を警戒しなければならないレベルではないものの、米金利引き上げの副作用が、世界経済の脆弱な部分で表面化し始めたことは意識せざるをえない。

足元のセンチメントの改善と新たなリスク要因の双方を検討し、日経平均3万円達成の時期は19年度末に据え置く。当面注視したい点としては、新興国リスクの広がり、地政学リスクの再燃などが挙げられる。