チーフ・ストラテジスト 広木 隆が、米国のリサーチ会社DeepMacro社の通貨モデルに基づき、為替の見通しをお伝えします。
広木 隆が投資戦略の考え方となる礎を執筆しているコラム広木隆の「新潮流」はこちらでお読みいただけます。
広木 隆 プロフィール Twitter(@TakashiHiroki)
DeepMacro FX-1 長期にわたってロングしてきたユーロをショートに転換 ドルのネットポジションはロングに 非ドル通貨では円が最大のロング
DeepMacro
FX-1 STRATEGY Current Portfolio as of 09 Apr 2018
「+」の符号はその通貨のロング(買い持ち)を、「-」の符号はショート(売り持ち)を示す
現在のポートフォリオ (Apr 09) |
豪ドル AUD |
ユーロ EUR |
英ポンド GBP |
NZドル NZD |
カナダドル CAD |
スイスフラン CH |
日本円 JPY |
ノルウェークローネ NOK |
スェーデンクローナ SEK |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
成長要因 | +16.4 | +3.1 | -5.7 | -19.5 | -2.5 | +14.0 | +16.3 | +0.4 | -22.1 |
キャリー | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
バリュエーション | -4.7 | -12.6 | +8.7 | -10.4 | -2.1 | -18.5 | +10.3 | +18.5 | +14.4 |
グローバル・リスク | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
ポジション調整 | -5.7 | -6.3 | -8.5 | +16.3 | -4.4 | -5.7 | -0.2 | -12.1 | +1.0 |
最終ウェイト | +6.0 | -15.8 | -5.5 | -13.6 | -8.9 | -10.2 | +26.3 | +6.8 | -6.8 |
ネットUSD(米ドル)ウエイト:+21.8
前回のポートフォリオ (Apr 02) |
豪ドル AUD |
ユーロ EUR |
英ポンド GBP |
NZドル NZD |
カナダドル CAD |
スイスフラン CH |
日本円 JPY |
ノルウェークローネ NOK |
スェーデンクローナ SEK |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
成長要因 | +19.2 | +8.3 | +13.0 | -16.6 | -0.5 | -2.6 | -17.9 | +4.8 | -17.1 |
キャリー | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
バリュエーション | -7.9 | -7.6 | +14.4 | -10.4 | -2.1 | -18.5 | +6.2 | +18.5 | +14.4 |
グローバル・リスク | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
ポジション調整 | -13.3 | +19.4 | -2.8 | +11.3 | -7.1 | +16.5 | +22.2 | -15.5 | -2.3 |
最終ウェイト | -2.0 | +20.1 | +24.6 | -15.7 | -9.7 | -4.6 | +10.5 | +7.8 | -5.0 |
ネットUSD(米ドル)ウエイト:-26.1
表の見方について広木が動画(約12分)で解説しています。
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PORTFOLIO OVERVIEW(9 Apr 2018)
今週は大きな変更がある。ユーロとポンドについて前週までの大幅ロングから一転ショートに変更した。ユーロはグロースファクターの落ち込みによってバリュエーションの割高さを相殺できなくなった。ポンドは依然バリュエーションは割高ではないがグロースの落ち込みが大きく響いた。
円は依然として大幅なロングだ。短観は良くなかったがわれわれの評価では決して悪くない。豪ドルもロングに転換した。バリュエーションが改善したので成長性を評価できるようになった。
この結果、ドルのネットポジションがロングに転換した。ラフに言えば、円もロングだがドルもロングである。その他の主要通貨、ユーロ、ポンド、スイスフランなどをショートしている格好だ。
為替市場の大きなテーマが二つある。ひとつは「世界経済の非連動性」であり、もうひとつは「米中間の貿易摩擦(というより小競り合い)の悪化」である。
経済の非連動性については悪いものではなく、逆にそれが通貨選択によってリターンを得る源泉になる。貿易論争について我々(のモデル)はニュートラルであるが、これが続けばいずれ効率性が失われるなど経済の数字に悪影響が出てくる。それをモデルは拾って新たなポジションを構築していくであろう。
DeepMacro
DeepMacro社は、ビッグデータ技術を利用して、自動的かつリアルタイムにグローバルなマクロ経済を観察・分析し、これを基にマーケットの分析を行う米国のリサーチ会社です。詳しくは、こちらをご覧ください。
DeepMacro FX-1 Strategy 通貨モデルの説明
概要
DeepMacro FX-1 Strategy 通貨モデルは、DeepMacro 社のグローバル・マクロ・システムに基づき、G10通貨についてシステマティックなポートフォリオ戦略を提供するものです。通貨の変動を説明する様々な要因を捉え、DeepMacro 社のリサーチ・システムの膨大なデータを、流動性が高く割安なポートフォリオに変換します。
キーファクター:
成長要因:
強い景気サイクルにある通貨を買い、弱い景気サイクルにある通貨を売ります。この判断は別のモデル体系であるDeepMacro 社の「Growth Factor」に基づきます。「Growth Factor」は主要国のビッグデータを含む経済成長に関するリアルタイム・インディケーターです。
キャリー:
高いキャリーの通貨を買い、低いキャリーの通貨を売ります。しかし、高キャリーは高リスクでもあります。したがって、リスクに見合うだけのキャリーが得られる場合のみ、このファクターによる投資判断を行います。
バリュエーション:
割安な通貨を買い、割高な通貨を売ります。経済理論では、高い生産性の伸び、高い輸出価格、大きな経常黒字の通貨は高くなることが示されています。このモデルのバリュエーション・ファクターはこれらの要因にもとづき割高・割安の判断をおこないます。
グローバル・リスク:
投資家のリスク回避姿勢が強まった時には、いわゆる「セイフ・ヘイブン(安全な寄港地)」通貨を買います。DeepMacro社では金融市場の価格に基づいて市場のリスク選好度を見積もっており、「グローバル・リスク・インディケーター(GRI)」を算出しています。GRIが点灯した場合、モデルは日本円、スイスフラン、米ドルなどへの買いを指示します。
ポジション調整:
モデルは対米ドルで9通貨のポジションを表示します。モデルは各通貨への集中度制限などリスク管理のルールを適用し、最適化を行った結果としてポートフォリオを構築します。
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チーフ・ストラテジスト広木 隆の<今週の相場展望>とコラム「新潮流」とチーフ・アナリスト大槻 奈那が金融市場でのさまざまな出来事を女性目線で発信する「アナリスト夜話」などを毎週原則月曜日に配信します。メールマガジンのご登録はこちらから
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