はじめてのテクニカル分析

用語集

ダイバージェンス
テクニカル指標の推移と価格の推移が逆行すること。価格が高値を更新しているにもかかわらず、指標が下落傾向となることをネガティブ・ダイバージェンスと呼んで反落の予兆とされ、逆に、価格が安値を更新しているにもかかわらず、指標が上昇傾向となることをポジティブ・ダイバージェンスまたはコンバージェンスと呼んで反騰の予兆とされている。価格が方向転換する前に現れることが多いが、出現したら必ず反転するとは限らない。
ダウ理論(だうりろん)
1890年頃、米国のチャールズ・ダウが、自身が創刊したウォールストリート・ジャーナル誌の中で発表した相場観測法のこと。市場全体を映す鏡としてダウ式平均株価を考案し、株価はすべての情報を織り込むこと、価格推移は波の動き似ていること、相場の栄枯盛衰には3段階があること、工業株と運輸株には連動性があることなど、市場の変化には特徴があることを示した。死後に後継者たちが発言をまとめて「ダウ理論」と呼んだ。
騙し(だまし)
テクニカル指標が売買シグナルを発伯したものの、その後、想定と異なる相場展開となること。価格推移が長期に亘って下落した後、しばらく見ないほどの値輻で上昇し、反発が期待されたにもかかわらず再び下落に転じたり、長期間上昇が続いた後、大きく下落して反落が示唆されたにもかかわらず再び上昇に転じるような場合に「騙し」のシグナルが発信されることが多い。一般的にオシレーターの方が「騙し」が多い傾向がある。
調整(ちょうせい)
株価などの価格が下落すること。証券業界では、株価が下がることを嫌って「下がる」と言わずに「調整する」という。短期間で株価が大幅に上げた時には、上昇ペースが速過ぎると投資家がついて来られないので、途中で株価が一休みして投資家が追いつくのを待っためのスピード調整が必要とされるが、上昇局面で現れた小幅な下落は、単なるスピード調整であって天井をつけて下落に転じたのではないという期待がこめられている。
抵抗線(ていこうせん)
下降局面の起点となる天井と、その後の下落過程で現れた節目となる高値を結んで右方へ延長した線のこと。あるいは、過去に大勢が転換した天井や底を起点として、右方へ引いた水平線のこと。前者は上値抵抗線ともいう。下降していた価格が上昇に転じた場合、単なる吹き値なのか、あるいは上昇に転じたのか判断し、投資行動の決断をしなければならないが、その目安として、これらの線と交差する水準に注目する。
テクニカル分析(てくにかるぶんせき)
過去の価格や売買高などの推移から、将来の価格推移を予想する分析手法のこと。価格変動の原因や、因果関係などの追求は行わない。価格は需要と供給の力関係で決まるという考えに基づいているが、実際には、上昇するから買われ、下落するから売られるという側面もある。最近、価格推移は時間相関するので統計学的に有効とする説が出た。一般に、売買のタイミングを計るのに向いており、投資対象の選択には向かないとされている。
デッドクロス
計算期間の短いテクニカル指標が、計算期間の長い同一指標を上から下へ突き抜けて、相場の下落入りが示唆されること。当協会元会長の吉見俊彦の造語といわれ、海外ではデスクロスという。元々は、株価の75日移動平均線が200日移動平均線を上から下へ突き抜けることだが、現在では日数の組み合わせに関係なく、また移動平均線以外でも使われる。これを売り信号とする場合は、実際の価格推移よりも大幅に遅行している点に注意。
デリバティブ
先物やオプションなど、現物から派生した金融商品のこと。一般的な商取引では、約定すると商品と現金が交換されるが、先物取引は将来の指定期日に商品を渡すことを約束する取引、オプション取引は将来の指定期日に指定金額で商品を売買する権利を渡すことを約束する取引で、期日までに反対売買を行えば商品の移動を伴わないこともある。資金効率や収益率、リスクなどをコントロールする目的で取引されることが多い。
同事足(どうじあし)
ローソク足において、寄引(よりひけ=始値と終値のこと)が同値となり、十字型になる足のこと。寄引から安値までの下影よりも、寄引から高値までの上影の方が長いものを上同事(うえどうじ)、下影が長いものを下同事(したどうじ)といい、始値、高値、安値、終値すべてが同値となって横棒となる場合を4本同事(よんほんどうじ)という。売りと買いが拮抗していることを示唆し、転換点に現れやすいとされている。
騰落レシオ(とうらくれしお)
市場全体の動きを知るための指標の1つ。上昇銘柄数を下落銘柄数で割ったもので、通常は%で表す。100を大きく超えていれば、上昇銘柄数の方が下落銘柄数よりも多く、市場全体が強気に傾いており、100を大きく下回っていれば、下落銘柄数の方が上昇銘柄数よりも多く、市場全体が弱気に傾いていると判断します。ただ、売買高や騰落幅などを考慮していないので、大雑把な方向感を示す指標と考えた方が良い。
ドテン(途転)
保有しているポジションを正反対にすること。買建玉をすべて売却した上で、さらに新規に売り建てたり、売建玉をすべて買い戻した上で、さらに新規に買い建てることを指す。売り手仕舞いのシグナルが同時に新規買い建てのシグナルとなり、買い手仕舞いのシグナルが同時に新規売り建てのシグナルとなるタイプの指標を使っている場合や、相場が思惑と反対方向に動いたためにポジションを修正する場合などに行われる。
トルー・レンジ(TrueRange、TR)
1978年に米国のJ.ウェルズ・ワイルダーJr.が発表した指標。①当日の高値と安値の差、②前日終値と当日高値の差、③前日終値と当日安値の差、のうちの最大値で、前日から当日にかけての価格変動の大きさを表している。TRは、ボラティリティの概念がなかった時代に考案された代理指標と見ることができるが、この変化を注意深く観察することで、トレンドの継続や転換、加速や減速を知ることができるとして、米国では非常に重視されている指標である。
トレンド
価格推移の傾向あるいは方向性のこと。価格が直線的な方向性をもって動く場面を指して「トレンドがある」という。トレンドには上昇トレンド、下降トレンド、横ばいトレンドの3種類があり、長さによって短期(数週間以下)、中期(数力月程度)、長期(数年程度)の3種類がある。このほか、主要トレンド、修正トレンドなど、トレンドの性格によって様々な種類に分類されている。
トレンドライン
トレンドの方向を明確にするためにチャートに付加する補助線のこと。上昇トレンドにおいて節目となる安値同士を結んで引かれる下値支持線、下降トレンドにおいて節目となる高値同士を結んで引かれる上値抵抗線、あるいはそれらと平行に引かれるチャネルラインは代表的なトレンドラインである。この他、移動平均線も価格推移の動きの趨勢を示していることから、トレンドラインの一種と考えることができる。
ドローダウン
運用モデルにおいて運用期間中に発生が想定される損失のこと。様々な指標と売買ルールを組み合わせて運用モデルを構築する際、発生頻度は低くても大きな損失が発生すると、リスク管理上ポジションの整理が必要となり、モデルに対する信頼性も揺らぐなどして運用を続けられなくなる可能性が高い。そこで、ドローダウンを小さくしつつ、十分な収益を上げられるような運用モデルを構築することが肝要となる。

※日本テクニカルアナリスト協会 「はじめの一歩 テクニカル分析 ハンドブック4(用語集)」より転載


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