グローバルな資産運用、リスク管理および投資顧問サービスを提供している資産運用会社、ブラックロックが、その運用手法をつまびらかにします。(現在は更新しておりません)
今回は、資産担保証券とそれに伴う期限前償還リスクについてお話します。広義の資産担保証券は、Asset-Backed Security(アセット・バックト・セキュリティー)と言い、略してABSと言います。そして、広義のABSの中で代表的なものは、Mortgage-Backed Security(モーゲージ抵当証券)と言い、略してMBSと言います。
日本では住宅ローンは銀行が保有し続けるケースが多いのですが、米国の金融機関はこうした住宅ローンを保有し続けることは少なく、MBSとして証券化されています。Mortgage Banker Associationによると、2006年に融資された住宅ローン約2.5兆ドルのうち、約76%が証券化されています。
そこで、MBSを理解していただくために、住宅ローンが証券化されるまでのメカニズムを詳しく説明します。
まず、住宅を購入する人は住宅ローンを取り扱っている銀行などにローンを申し込みます。お金を貸した銀行は、この住宅ローン債権(以下モーゲージと言う)を市場で売却し、主にファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)やフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)といわれる金融機関が買い取ります。
モーゲージを保有する銀行などにとって、このモーゲージを売却するメリットは二つあります。一つ目は、短期で調達した資金のコストと長期の住宅ローンの運用収益、いわゆる、短期と長期と言った具合に、期間が違うことによって生じる調達と運用のミスマッチを回避できることです。二つ目は、モーゲージを売却することによって、住宅ローン債務者に対する信用リスクを移転することができることです。
一方、モーゲージを買い取ったファニーメイやフレディマックは、これらのモーゲージを束ねて受益証券に組成し、投資家に売り出します。これがMBSといいます。これによって、ファニーメイなどは、受益証券の保有者に価格変動リスクや信用リスクを移転することが出来ます。ただ実際は、モーゲージがデフォルトした際の保証料を取っているので、信用リスクはファニーメイなどが負うことになります。
したがって、こうしたMBSは流動性や格付けが高く、しかもクーポンの原資となっているのが住宅ローンの金利ですので利回りが米国債と比べて高いと言ったメリットがあります。ただし、このMBSには期限前償還のリスクがあります。それは、住宅ローンを借りた人は金利が低下した場合、低い金利のローンに借り換える行動に出ます。そうすると、一旦MBSの担保となっているローンは全額一括返済されますので、投資家が投資した元本が償還されることになります。
投資家にとっては、金利が低下した状態の中で高いクーポンのものが償還されるので、再投資のリスクが生じます。また、価格が額面(100)以上の場合、つまりオーバーパーでは額面超過部分が償還損となります。こうした期限前償還のリスクがあることから、普通の債券とは金利動向に対する価格への感応度が異なり、通常はネガティブに作用します。
ブラックロックの「US・ユーロ債券ファンド」の米国債券の運用においては、19年8月末でこうしたMBSなどを71.4%組み入れています。その理由は、ファニーメイなどのMBSは流動性や格付けが高く、米国債と比較して利回りが高いからです。しかし、上述のような期限前償還リスクが存在することから、このリスクを管理するために運用チームがクーポンや価格に配慮した銘柄の選別を行っています。これが長年の運用で培われた運用ノウハウです。次回は、社債投資についてお話します。
「ブラックロック・US・ユーロ債券ファンド」はマネックス証券でお申込みいただけます。
http://www.monex.co.jp/FundGuide/00000000/syohin/tousin/kihon/guest?MeigCd=++0035070000
投資信託をお申込みの際には、「目論見書」にて詳細をご確認ください。
・・「ブラックロック・US・ユーロ債券ファンド」に関する重要事項・・・・
□リスク
・ファンドの基準価額は、組入れられている有価証券の値動きの他、為替変動 による影響を受けます。したがってファンドの投資目的が確実に達成される ものではなく、元金および元金からの収益の確保が保証されているものでは ありません。
・当ファンドの基準価額の変動要因としては、「固定利付債および変動利付債 投資のリスク」「為替変動リスク」「期限前償還リスク」「オプション、先 物、その他投資手法のリスク」「ファンド運営上のリスク」などがあります。・詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)本文の「投資リスク」に関する 項目をご覧ください。
□手数料等
・申込手数料(税込):1.05~0.525%
・解約手数料:0%
・信託財産留保額:ありません
・信託報酬(年率・税込): 純資産総額に対して 1.0395%
・上記以外にも保有期間中に間接的にご負担いただく費用があります。詳しく は投資信託説明書(交付目論見書)本文の「手数料(費用)」に関する項目 をご覧ください。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・債券取引に関する重要事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
□リスク
【価格変動リスク】
・途中売却の場合、市場金利の上昇等による債券価格の下落など売却時の債券 市況の変動により、購入価格に比べ売却価格が下落し、投資元本を割り込み、 損失(元本欠損)が生じるおそれがあります。また、購入価格が額面を超え ている場合、償還時に償還差損が発生し、投資元本を割り込み、損失(元本 欠損)が生じるおそれがあります。
【信用リスク】
・発行者の経営、財務状況の変化およびそれらに対する外部評価の変化などに より、元本や利息の支払い能力(信用度)が変化し、投資元本を割り込み、 損失(元本欠損)が生じるおそれがあります。
【為替リスク】
・外貨建て外国債券は、外国為替相場の変動などによりお受取金額が変動し、 外貨建てでは投資元本を割り込んでいなくても、円換算での投資元本を割り 込み、損失(元本欠損)が生じるおそれがあります。また、主要通貨以外の 通貨では、大幅に為替レートが変動する場合があるため、急激な円高により 外貨建てでは投資元本を割り込んでいなくても、円換算での債券価値が元本 を大きく割り込み、損失(元本欠損)が生じるおそれがあります。
□手数料等
・債券をお取引される場合には、購入対価がかかりますが、取引手数料はかか りません。
・外貨建て外国債券をお取引される場合、所定の為替手数料がかかります(外 貨建てMMFから直接ご購入される場合には、必要ありません)。
□その他
・目論見書が発行される債券につきましては、お申込み/ご購入の際に「目論見 書」で内容をご確認ください。
・金融商品取引法第37条の6の規定の適用はなく、クーリング・オフの対象と はなりません。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・-----
EXTENDED BODY:
マネックスからのご留意事項
「ブラックロックが語る、資産運用の全貌」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。
商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。