Vol.22 債券のポートフォリオ運用戦略

グローバルな資産運用、リスク管理および投資顧問サービスを提供している資産運用会社、ブラックロックが、その運用手法をつまびらかにします。(現在は更新しておりません)

Vol.22 債券のポートフォリオ運用戦略

今回は債券ポートフォリオ運用戦略についてお話します。

 前回、債券ポートフォリオには(1)ラダー(はしご)、(2)バーベル(ダンベル)、(3)ブレットの三つの代表的な組み合わせがあり、それぞれのポートフォリオの平均デュレーションが金利の変化に対する価格の感応度を表している、というお話をしました。ただし、ここでいう平均デュレーションが、それぞれのポートフォリオの金利リスクの正確な尺度となり得るのは、イールドカーブ(利回り曲線)が同じ方向に、同じ幅だけ変動した場合に限ります。イールドカーブが同じ方向に、同じ幅変動することを平行シフト(パラレル・シフト)と言います。
 以前にもお話しましたが、イールド・カーブ(利回り曲線)とは、横軸に債券の残存年数、縦軸に金利(利回り)をとって、債券の残存年数ごとの利回りを表示した点を結んだ曲線のことをいいます。

 通常は期間が長いほど金利が高いのでイールド・カーブの形は右上がりの曲線になります。それに対して、期間が短いほど金利が高い右下がりになる場合もあります。前者の右上がりのカーブを順イールドといい、後者の右下がりの状態を逆イールドといいます。このイールド・カーブは、経済情勢や市場動向など様々な要因によって形状が変化します。
 たとえば順イールドの右上がりの曲線の傾きが急になることをイールド・カーブがスティープ化するといい、曲線がなだらかになることをイールド・カーブがフラット化するといいます。
 また、金利が全体的に上昇する中で、イールド・カーブ勾配が急になることをベアスティープ化といい、イールドカーブがなだらかになることをベアフラット化といいます。
 一方、金利が全体的に低下する中でイールド・カーブ勾配が急になることをブルスティープ化といいイールドカーブがなだらかになることをブルフラット化といいます。

 具体的な例を挙げてお話しますと、現状の米国においてはサブプライム問題による景気後退懸念を背景にFRB(米連邦準備制度理事会)はFFレート(フェデラル・ファンド金利)を2008年4月30日に0.25%引き下げ2%まで引き下げました。
 こうした状況の中では例えば、今後の米国の金利が上昇すると予想した場合において、昨今の原油や穀物等の価格上昇に伴うインフレ懸念やFRBの利下げ打ち止め観測などの台頭から、短期金利よりも長期金利の上昇幅が大きいことによってベアスティープ化するケースと、逆に長期金利よりも短期金利の上昇幅が大きいことによってベアフラット化する2つが考えられます。
 一方、景気の低迷に伴うインフレ懸念の後退や景気後退による再利下げの観測などの台頭から、長期金利よりも短期金利の低下幅が大きいことによってブルスティープ化するケースと、短期金利よりも長期金利の低下幅が大きいことによってブルフラット化する2つが考えられます。

 このように米国経済の動向によって、イールドカーブが変化することが考えられます。したがって事前にその変化を予想して(1)ラダー(はしご)、(2)バーベル(ダンベル)、(3)ブレットなどのかたちに債券ポートフォリオを組み替えるとともに、一般的には金利が上昇すると予想した場合には平均デュレーションを短期化する一方、金利が低下すると予想した場合には長期化するなど、ポートフォリオの効率性を高め、超過収益を狙うことをポートフォリオ運用戦略といいます。

 ブラックロックの「US・ユーロ債券ファンド」では、こうした伝統的戦略に加え、イールドカーブ、セクター間、個別銘柄間の相対的な価格の歪みに注目し、これが収斂される過程を収益機会とするといったレラティブ・バリュー(相対的価値)戦略も採用しています。

 本コラムも残り2回となりましたので、次回はこれまでの債券運用のまとめ(その1)をお話します。

※「ブラックロック・US・ユーロ債券ファンド」はマネックス証券でお申込みいただけます。
http://www.monex.co.jp/FundGuide/00000000/syohin/tousin/kihon/guest?MeigCd=++0035070000
投資信託をお申込みの際には、「目論見書」にて詳細をご確認ください。
・・「ブラックロック・US・ユーロ債券ファンド」に関する重要事項・・・・
□リスク
ファンドは、米ドル建ておよびユーロ建ての公社債を実質的な投資対象としますので、組入債券の価格の下落や、組入債券の発行会社の倒産や財務状況の悪化等の影響により、基準価額が下落し、損失を被ることがあります。また外貨建資産に投資しますので、為替の変動により損失を被ることがあります。したがって、ご投資家の皆様の投資元金が保証されているものではなく、基準価額の下落により損失を被り、投資元金を割り込むことがあります。
ファンドの主な投資リスクとして、「固定利付債および変動利付債投資のリスク」、「為替変動リスク」、「期限前償還リスク」、「オプション、先物、その他投資手法のリスク」等があります。
※詳しくは投資信託説明書(交付目論見書)の「第二部 ファンド情報 第1  ファンドの状況 3 投資リスク」をご覧ください。

□手数料等
・申込手数料(税込):1.05~0.525%
・解約手数料:0%
・信託財産留保額:ありません
・信託報酬(年率・税込): 純資産総額に対して 1.0395%
・上記以外にも保有期間中に間接的にご負担いただく費用があります。詳しく は投資信託説明書(交付目論見書)本文の「手数料(費用)」に関する項目 をご覧ください。
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