お金のドクター、中村芳子がお金にまつわるさまざまな悩みに、専門家としてアドバイスします。(現在は更新しておりません)
● 投資の成功と、ライフプランの成功はちがう
少し前に「株式投資で5年で1億円作る」というような本が話題になったことがあります。ちょうど株式相場が元気になりかけたときで、この本をきっかけに株式投資を始めた人も少なくなかったことでしょう。このタイトルどおりのことが実現できれば、それはほんとに素晴らしいことです。株式投資の大成功です。しかし1億円を作ることができても、それでライフプランも成功したとは言えません。
問題はその1億円をどうするか。ぱーっと増えたお金は、ぱーっと使ってしまう人が多いもの。20代、30代で1億円を手に入れ華やかな生活を楽しんでも、60歳で退職する時、手元にはすずめの涙の退職金と、公的年金しか残らなかったということも十分にありえます。
これは、投資や資産運用に「目的」を持っていないときに起こる悲劇です。
● 資産運用の「目的(ゴール)」は、時期と金額を決めること
お金を貯める、増やすという行為の先には、実は必ず「目的」があるはずです。「家を買う」とか、「事業を起こす」とか、「老後に悠悠自適の生活をする」とか、「子どもを大学まで進学させる」とか。
ライフプランを作ろうというセミナーや雑誌の特集では、このようないくつかのイベントを書き出して「では、これを実現するにはいくらのお金が必要でしょう?」「いつまでに必要ですか?」というふうに、時期と金額を決めさせます。そして、これを資産運用の目的(ゴール)として、それを達成するための必要な原資、積立金額、目標利回りなどを計算していくのです。
ゴールがきちんと見えていれば、投資で予想外に儲けても、使い込む危険は小さくなるし、途中で失敗しても長期的に挽回を狙えばいいわけで、短期的な投資の成功、失敗に一喜一憂することがなくなります。
● もっと大切なのは、人生のヴィジョンを持つこと
それはそれで間違いではありません。でも、まだ大切なことが欠けています。目がまず、現象やイベントに向いてしまい、「自分の人生」というものを深く考えないですましてしまうということです。人は1人1人違いますから、世の中の現象を追いかけて、人と同じイベントをこなしていっても、人生の満足や生きる喜びを味わうことはできません。
大切なのは、あなたが自分の人生で何を目指しているか、何を達成したいか、何を望んでいるか、ということをじっくりと考え、自分で納得できる答えを見つけることです。
ある人は「平穏で、落ち着いた人生」を望み、別の人は「刺激ある、常に前進する人生」を好むでしょう。「家族との生活を第一としたい」人もいれば、「仕事を通じた社会への貢献」の優先順位が高い人もいるでしょう。年を重ね、家族構成や職業上の役割が変わってくると、望むものも変わってきます。
これが人生のヴィジョンです。金額や期間では表せない、もっと立体的なものです。日々の生活や仕事に追われていると、自分のヴィジョンをゆっくり考え、形作るひまがなかなかありませんが、これこそがライフプランや、投資プランに先がけてなすべきことなのです。
といっても、とっかかりがないと自分のヴィジョンを見つけるは簡単ではありません。次回は、ヴィジョンの見つけ方の具体的な方法について考えていきます。(ファイナンシャル・プランナー中村芳子、隔週連載予定)
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