ヴィジョンから目標へ

お金のドクター、中村芳子がお金にまつわるさまざまな悩みに、専門家としてアドバイスします。(現在は更新しておりません)

ヴィジョンから目標へ

1月9日のマネックスメールで投資の成功、ライフプランの成功に先立って、自分のヴィジョンを見つけることが大切だという話をしました。安易に目先の目標を設定しても、本当に自分が求めていることと食い違っていては、空しいだけだからです。

●ヴィジョンと目標、手段がちぐはぐなケース

新婚の夫婦が「マンションを買いたい」という夢を持つのは自然なこと。しかし、これは目標であって本来の目的ではありません。それによって実現したいヴィジョンは、「安定した生活」「家族との楽しい時間」「老後への備え」などでしょう。ところが買い方を間違うと、自分が本当に求めていることと逆の結果を生むことになりかねません。

実際によくあるケースですが、結婚と同時に頭金ほぼゼロでマンションを購入。共働きを続けるつもりだったが、妻が妊娠したので退職。妻は働きたいが、近くに保育園がないので働けない。コストのかさむ自家用車を手放したいが、駅から遠いのでそれも不可能。その結果、年収の3割を超えるローン返済で生活はキュウキュウ。これでは貯蓄もできないので安定した生活や老後への備えは望めない、ということになってしまいます。

● ヴィジョンを目標、手段に落とし込む

というわけで、具体的な目標を考える前に、ちょっと遠回りをして自分のヴィジョンを思い巡らせていただきたいわけです。「老後の安定した生活」で練習してみましょう。実現するために、たとえば「住まい」「退職時のまとまった資産」「保障」「家族とのいい関係」「退職までの安定した収入」などが、具体的な目標として挙げられます。

どれかひとつが欠けても「老後の安定した生活」は実現できません。そこで、それぞれに具体的な目標を設定し、達成するための手段を考えていくわけです。住まいを例にとってみると、予算は年収の5倍くらいまで、住宅ローンは年収の4倍くらいまでで、退職年齢+5年以内にローン返済終了などが、健全なプランだとされています。ここで無理をすると、ほかの資金繰りを大きく圧迫してしまいますから、くれぐれも慎重に。

退職後のまとまった資産づくりには、いくつもの方法がありますが、まずは「いくら貯めたいか」の現実的な目標を、現実的な条件から割り出すことが大切。この辺の具体的な方法については、後日にお話したいと思います。

独身女性によくあるのが「老後の安定した生活」のための目標をマンション購入、年金保険加入としているケース。でも、実はいちばん大切なのは、退職までの安定した収入です。60歳まで仕事を続けることは女性にとって、男性以上に難しいからです。とすれば、その実現の手段として、転職や独立企業、資格をとるなどが出てくるかも。頭金を貯めるより、こちらを優先すべきかもしれません。

● ヴィジョンをみつけよう。

「老後の安定した生活」なら、誰でも思いつきますが、それだけではつまりません。もっと、積極的な自分らしいヴィジョンも見つけたいものです。自分の中でもやもやしているヴィジョンを、具体的に描き出すためにいくつかの手段があります。そのひとつは、医者からあと半年の命と宣告されたと想像してみること。残された半年で、何をしたいですか。実現する具体的手段を考えてみようではありませんか。

● 中期、長期の目標も。

キーワードが見つかったら、それを生活の中で実現するための目標を、さっきの「安定した老後の生活」のときの要領で3つから5つ考えてみましょう。難しいなら、友人や家族の助けを借りてみて下さい。

価値観を実現するための目標は、とかく目先のやり方になりがちですから、5年後、10年後、20年後の目標を考えてみることも大切。今5歳の子は、10年後には15歳の高校生、20年後には25歳の社会人になっているので「家族が命」を実現する方法は変わっていきます。一生をかけたライフワークでも、時間と共にやり方が変わってくるはず。イマジネーションを働かせて横の時間軸に合わせた目標を見つけるのです。

ビジョン、目的、手段を見つけたら、これらを全部、ノートに(パソコンでもOK)書きとめます。これによって、もやもやは目に見える形になり、自分を励まし、定期的に見直し、家族と分かち合うことが可能になるのです。
(ファイナンシャル・プランナー 中村芳子、隔週連載予定)

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