退職後資金 ― いざ、貯めん(2)

お金のドクター、中村芳子がお金にまつわるさまざまな悩みに、専門家としてアドバイスします。(現在は更新しておりません)

退職後資金 ― いざ、貯めん(2)

まわりを気にせずに、今はコツコツと時間をかけて元手をためようというのが前回の話。デフレが長引いているので、MMFや預貯金など利率が低くても元本割れの心配のない(低い)ものを柱にすることをすすめた。

では、退職後にむけるお金を、預貯金だけでためていいのだろうか。
答えは、Yes&No である。

●今までの投資理論はこれからも通用する?
みなが実感しているように、今は、これまでの「投資理論」が通用しなくなっている。日本の株は10年以上も下がりっぱなしで、株価は「20年前のお値段」。テロや戦争が世界経済を震撼させるとは、数年前にはだれも予想できなかった。多くの人たちが支持してきた「株価右上がりを前提とした、長期の分散投資」がこれからも通用するかどうかは、意見のわかれるところだろう。
そんな今、大切なのは、自分の相場観を持つことだ。「株価はあと20年は上昇しない」と思う人もいるだろう。そういう人は、もちろん株式に投資するべきではない。仮にそれで損をしても、自分の確信をつらぬけば、それなりに納得できるはずだ。「当分だめでも、資本主義経済はまた息を吹きかえす」と確信するなら、いろいろな雑音が聞こえても、株式投資を続けることができる。 
問題は、相場観をもてない人たち。次から次へと登場する「今はこうするべき」「あれはだめ」「今はこれが有利」という説に左右されていたら、帆柱を失ったヨットのように漂って、どこにもたどりつけなくなってしまう。話題の商品から商品へとのりかえることで、たくさんの手数料をはらい、いつも「これでいいんだろうか」という不安の中で、眠れなくなってしまう。

この時代、株式や外貨を少しでも取り入れようと思うなら、自分の相場観と運用の方針とを打ち立てることが先決。それができないなら、預貯金だけでためることをおすすめする。

●投資は健康法と同じ
ちまたには「この食べ物がこれに効く」という情報があふれている。でも、テレビで毎週紹介される新しい健康法を、ぜんぶ実行するのは不可能。流行りの健康法をおいかけても、つづけなければ何もおこらない。自分にあった方法を、長く続けてこそ効果があらわれる。そして結果がでるのは10年後20年後だ。投資もそれによく似ている。健康情報と同じで、投資情報もさまざまな、新しいものがあふれているが、大切なのは自分が納得でき、実行できる投資法を見つけることだ。そして、続けることである。ときどき、軌道修正をしながら。
●実践している人の話を聞こう
仕事がら、雑誌や新聞の記者からマネーの取材をよく受ける。「円への不信が高まっていますが、今は外貨に投資するのがいいんですか?」「金が上がっていますが、やはり『有事の金』を持つべきでしょうか?」「毎月分配型のファンドが人気ですが、買いですか?」

かなしいことに、彼らの関心はもっぱら「何が話題か」「何が新しい理論か」「何が読者をひきつけるか」。外貨を買ったことのない記者が、外貨への分散投資の重要性をとき、投資信託を買ったことのない記者が、投資信託の選び方を書くのもめずらしくない(マネー専門誌ではその例は少ないようだが)。
そういう情報をたよりにしては、危うい。その投資法を長年実践している人の声、理論、成果をきいてみるべきだ。それに共鳴できるかどうかが、自分にあった投資法をみつけるひとつのカギだ。それにはじっくりと時間をかけたい。
●自分の条件を冷静に見極める
もうひとつのカギは、実行できるかどうか、ということ。どんな投資理論も実行できなければ意味がないので、自分の条件や制約もしっかり見極めよう。資金の額、投資やその勉強にさける時間、これまでの経験、株や外貨の値下がりに精神的にたえられるかどうか、というようなことだ。これらは、前から大切とされてきたが、今は、その重要性が何倍にも高まっている。自分の相場観・投資方針を持つこと。

自分の条件や制約を知ること。この2つが、退職後のお金に投資型商品を取り入れるスタートラインだ。あなたはスタートラインに立てるだろうか。じっくり吟味してほしい。

(ファイナンシャル・プランナー 中村芳子)

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