お金のドクター、中村芳子がお金にまつわるさまざまな悩みに、専門家としてアドバイスします。(現在は更新しておりません)
退職後のお金の話は前回でおしまいのつもりだったが、これに触れてなかったので、ちょっと延長させてください。
10年ほど前までは、退職後の資金づくりというと生命保険の「個人年金保険」に加入するのがふつうだった。4〜5%の複利で確実に運用できたので、金利の低い預貯金で貯めるよりもダンゼン有利だった。予定利率が高いと、生きているかぎり年金をもらえる「終身年金」の保険料もそれほど高くなく、何人ものお客さんに「個人終身年金」を勧めたものだ。加入した保険会社がつぶれなかった人からは感謝されている。
当時は、投資信託はまだ一般の人が使える代物ではなかった。
その「年金保険」も、予定利率の度重なる引き下げで、高利回りの魅力がなくなり、新規で加入する人はほとんどいなくなったようだ。販売をとりやめた生命保険会社もある。
かわりに、生命保険会社だけでなく一部の銀行や、証券会社が販売に力を入れているのが「変額年金」だ。年金額が予定利率によって決まるのではなく、運用実績によって決まるのが大きな特徴だ。ひとつの「変額年金」につき、運用先は5〜9つくらいの投資信託から契約者が自由に選ぶようになっている。
投資信託の品ぞろえは、保険会社ごとに違うが、株式型、債券型、海外型、日本型、短期金融商品型など、ひとおとりの投資対象をカバーしている(中には投資メニューが1〜2個の会社もあるがこれは問題外)。
そのため、変額年金を「保険付」「年金型」の投資信託と言うこともある。変額年金が有利か、それとも自分で投資信託で貯めるのが有利かというのは、コスト面、税務面からいろんなところで分析されているので、ここでは別の点根本的な点に触れたい。
現在多くの保険会社が変額年金を発売しているが、たいていは保険料を一時払い(最低50万円)で加入するタイプで、積立てで加入できる商品は少ない。
しかし、株価リスクや金利リスク、為替リスクのある投資信託を買うものなので、まとまった金額を一度に投入するリスクはかなり大きい。課税が繰り延べられるなどのメリットを考えたとしても、この点は譲れない。
ふつうの人がリスク商品を資産形成に取り入れるなら、投資対象の分散と時間の分散は必須項目だからだ。
40歳くらいから始める「退職後資金」づくりは、月々やボーナスからの積み立てが柱であることを考えると、まだまだ「変額年金」は使えない。実際、販売のメインターゲットは裕福な高齢者層となっているようで、ペイオフ対策で定期預金などから、変額年金に資金を移動させるというケースが多いようだ。
変額年金先進国アメリカでは、変額年金も毎月積み立てで買える商品も多く、30〜40代で401Kなどの非課税枠を使いきった人がこのタイプを利用しているそうだ。日本でも、積み立て型の商品が増えれば、利用価値が高まり、もっと普及するのではないだろうか。
しかし、投資信託に一家言ある中級以上の投資家が、果たして変額年金の投資信託メニューに満足できるかどうかという問題は残りますね。
私は、今のところ「変額年金より投資信託積立て」派です。
(中村芳子 アルファ アンド アソシエイツ)
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