お金のドクター、中村芳子がお金にまつわるさまざまな悩みに、専門家としてアドバイスします。(現在は更新しておりません)
10年以上先の退職をふまえた資産づくりなら、全体の1〜3割を外貨で、とはなしてきた。ひとつめの目的は、円の価値が下がってしまった時の「保険」として、ふたつめは高い利回りを実現するためだ。
通貨は、流通量が多く安定している「米ドル」を柱にする。利回りが高くても、高い成長性が期待できても、ボラティリティー(値動き)やカントリーリスクが大きい通貨、つまり流通量の少ない通貨は「資産づくり」にはむかない。資金が限られている人は、米ドルをとりいれるだけでも、分散投資の効果はある。よくばりすぎないこと。
2番目は、次に流通量が多い「ユーロ」だ。資金が十分ある人は米ドルにユーロを加えると分散の効果が高まる。高金利のオーストラリア、将来性の中国をポートフォリオに入れるなら、資産づくりの柱としてではなく、「半分以下になってもいいお金」で「大冒険」を覚悟しよう。もちろん大化けする可能性もあるけれどネ。
「外貨投資の入門はMMF」といわれていて、たしかに気軽にはじめられる。だが、期間の長い債券(債券型投資信託をふくむ)や、株式(株式投資信託)の方が、期待できる利回りは高くなる。その分リスクは高くなるが、それを受け入れられる人には、長期債券や株式をすすめたい。
為替は動きが大きいので、まとまった資金で一度に投資するのはご法度。MMFであれ、債券であれ、株式であれ、毎月少しずつ買うことが大切だ。できるなら「自動積み立て」を使おう。
投資信託には、外国の債券や株式で運用していても、価格が円で表示されるものもある。たいていは「為替ヘッジあり」「為替ヘッジなし」の2つのタイプがあるが、分散の効果があるのは「ヘッジなし」の方。こちらは円で表示されていても、外貨に投資したのと同じだ。つまりハイリスク・ハイリターンで、長期で投資すべきということだ。
いったんドルやユーロに替えたお金は、ずーっとドルのまま、ユーロのままで運用しよう。債券が満期になったとき、分配金や利息がはらわれたとき、株や投資信託を売ったときは、円にもどさず、ドルMMFやユーロMMFに直接いれて、またドル建てやユーロ建ての投資にまわしたい。
そうすることで、為替手数料を節約できるし、全体のポートフォリオの正しい割合(通貨分散の観点から)を維持することができる。
10年以上の長い間、外貨投資を続けるわけだから、1回1回の手数料をできるだけ安くおさえることは、大切なツボだ。外国証券の取引は、口座管理手数料が余分にかかったり、手数料が国内より高かったりすることも多いので、十分にチェックしたい。
日本では、フツーの人の外貨投資は始まったばかりで、金融機関の品揃えやサービスもまだまだ。これからに期待したい。ただ「通貨の分散」にがぎっては、アメリカの個人投資家は強い(はずの)ドルの上にあぐらをかいていて、意識が低いようだ。日本人の「通貨の分散投資術」に、アメリカ人が学ぶ日が来るのも遠くないかもしれない。
今回で退職後資金を終わり、次回からは生命保険を考えていく予定です。(ファイナンシャルプランナー 中村芳子)
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