お金のドクター、中村芳子がお金にまつわるさまざまな悩みに、専門家としてアドバイスします。(現在は更新しておりません)
昨日、特別のはからいで(50代ではないけれど)マネックス・プレミアム・セミナーに参加させていただいた。その中で講師の1人、三木桂一さん(JPモルガン・アセット・マネジメント株式会社代表取締役)がご自身のポートフォリオを明かしてくださった。おおまかに国内株30%、海外株30%、海外債券20%、その他20%という。「今は国内債券を持つ魅力が薄く、収入でキャッシュフローを十分補えるので」保有していないとのことだった。
資産運用のさまざまなリスクに十分対応できる人は「株式が下がったときの下支え」をしてくれる「債券」をもつ必要性は小さくなるのかもしれない。
ただし私は、前回もお話したとおり長期資産の50%を国内債券(およびファンド)で持つことをお勧めしている。残り50%は、国内株式、海外株式、海外債券などに分散する。
経済に大きな(特にネガティブな)変化がなければ、あるいは10年、20年という長いレンジで見れば、国内債券の割合が小さいほうがポートフォリオ全体の利回りは大きくなるはず。国内債券の利回りがとても低いからだ。
ただ日本の多くの個人投資家は、投資を始めたのはここ5年以内という方が多く、それ以前から投資をしていても投資について体系的または理論的に学んで投資している方は少ない。つまり日本の個人投資家の多くはまだビギナー、初級レベルといえる。
初級者は、少しずつリスクをとってリスクに慣れる練習をすることが大切だ。三木さんのように、金融資産の8割以上をリスク資産(価格の変動する資産)で持って、株式相場の値下がりや円高による外貨資産の目減りに冷静に対処できるようになるには、時間をかけて経験を積むことがかかせない。
ここ数ヶ月のように国内も海外も株式相場が下落した上に円が高くなると、ポートフォリオの、国内株式、海外株式、海外債券の価値は減ってしまう。 次のようなケースを考えてみよう。
<ポートフォリオA>
国内株:30% 海外株:30% 海外債券:20% その他:20%
<ポートフォリオB>
国内株:25% 海外株:12.5% 海外債券:12.5% 国内債券:50%<値動き>
国内株 2割安
海外株 1割安+1割の円高 (合計で2割安)
海外債券 1割の円高(1割安)
国内債券&その他 変動なし
この場合、ポートフォリオAは全体で14%の値下がり、ポートフォリオBは8.75%の値下がりとなる(逆の値動きなら結果も逆に)。
この後株式相場が回復し円安に動く可能性は十分にあるので、この値下がりによる含み損は一時的なもの。ただし損がさらに膨らむ可能性もある(最悪のシナリオとしては、この2倍の値動きを考えてみるといいかもしれない)。 初級者にとって、投資した100万円が一時的でも86万円になるのは厳しいが、92万円ならなんとか耐え忍べるのではないかと思う。そういうわけで「長期資産の半分程度を国内債券で」とおすすめしているのだ。
日本の投資家は、債券よりも「預貯金」を好むようだが、5年10年以上運用 できる長期資金なら、一般に預貯金より利回りの高い「債券」での運用を考えたい。今なら、個人向け国債(7月発行)が5年ものも10年ものも1%を超えている。
「株価リスク」や「為替リスク」のない資産は、値上がり益を期待できない かわり利回りが約束されているので、0.1%でも利回りの高いものを選びたい。 通常の(固定金利、5万円単位、10年の)長期国債には金利が上がると債券価 格が下がる「金利リスク」があるが、個人向け国債は中途解約(一定期間、中 途解約できない制限がある)は国が額面価額で買い取るので、手数料はかかる が金利リスクはない。個人には使いやすい。(ただし短期で中途解約すると、投資元本を下回ることもあるので注意)
債券そのものの利回りが低いと「債券ファンド」の魅力はほとんどない。運用の手数料などを差し引くと、利回りは預貯金とほぼ同じか、場合によってはそれ以下になってしまう。ピーター・リンチは著書の中で「債券を買いたければ個別債券を買えばいい。どうして手数料を払って債券ファンドを買うのか自分には理解できない」と言っている。それも一理ある。
しかし債券ファンドには毎月買える、解約しやすい、(商品によっては)自由に満期を設定できる、積立できるなどのメリットがある。金利水準が日銀の思惑通りに上がれば、長期公社債投信など債券ファンドが復活する日があるのではと期待している。運用の選択肢が増えるのは喜ばしい。
ちょうど今、個人向け国債が募集中だ(郵便局では完売)。ポートフォリオに国内債券の割合が少ない人は検討してみよう。ぴったり5年預けたいなら「固定5年」でいいが、今後金利が上がると「変動10年」の方が利回りが高くなる可能性が高い。中途解約する可能性があるときもペナルティの小さい10年が有利だ。
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