お金のドクター、中村芳子がお金にまつわるさまざまな悩みに、専門家としてアドバイスします。(現在は更新しておりません)
そろそろ、わくわくのボーナスシーズンだ。何を買おうか、何に投資しようかと算段をしている人も多いだろう。
ボーナスの大部分が住宅ローンや車のローンに消えてしまう若い世代と違って、50代のボーナスの可処分所得は多い。子どもがまだ大学や高校に在学中という人は「教育費」の支出があるが、子がすでに独立している人、子どものない人は、生涯でもっとも高水準のボーナスをかなり自由に使ったり預けたりできるわけだ。
だから今、どう貯めるか、どう投資するかで退職時、あるいは10年後に大きな差が着くことにもなる。
ボーナスを預けるときに大切なポイントは、それが「何のお金か」をはっきりさせることだ。8月の夏休み旅行か、1年後の子の大学入学資金か、3年後の家の改修費用か、5年後の退職に備えるお金か。
■3年未満のお金は、投資にまわさない。
ここで、資産運用の基礎のおさらいだ。
1年未満に使うお金は、貯めるというより「取り分けておく」感覚だ。もちろんリスクのある投資にまわすのは論外。ただ、普通預金口座にそのまま残しておくと使い込んでしまう恐れがあるので、MMFや貯蓄預金など安全性も流動性も高い金融商品に預けよう。
1年以上3年未満のお金もリスクをとるべきではないと考える。過去1年をみると、日本株に投資していても、外国株でも外国債券でも、はたまた分散投資型でもだいたい10%以上の(うまくすると30%を超える)利回りをつけている。これが続くなら・・と3年未満のお金を投資に回したくなるが、ここはその「欲」をぐっと抑えよう。なぜか。ちょうど資金が入用なときに、投資した証券なりの価格が下がっている、場合によっては暴落しているという可能性があるからだ。
投資は自分の欲との戦いでもある。3年未満のお金を投資に回した時点で、すでに欲に負けたことになる。それ以外の(3年以上の)資金の勝算も薄くなるぞ。
■10年以上の資金なら積極的に投資を
投資していいのは3年以上先に使うお金だ。このお金は、自分の今の金融資産の状況、ポートフォリオを見て預け先を決めよう。
本来は、3年以上の資金も全額を投資型の商品に投入するのではなく、一部は安定型の商品と組み合わせるべき。しかし、ほかに持っている3年以上の資金の大半が安定型商品というなら、全額を投資型にすることもできる。
つまり、ボーナスの投資先を決めるには、ボーナスだけを考えるのではなく、それ以外の金融資産がどうなっているかを把握する必要があるということだ。 資産全体で考えたときに、10年以上預けられるお金なら投資型を50%、3年以上10年未満は30〜50%を投資型に、という割合を提唱している。
では、7年後に退職を迎える人が、退職に備えてボーナスからためるお金はどうだろうか。考えるポイントは2つ。
1つめは、退職が7年後でも運用期間が10年以上になることがあるということだ。退職後資金というのは、退職時点で使ってしまうお金ではなく、退職後20年、30年とかけて使うお金だ。退職金をもらう人なら、退職後数年〜10年程度はそこから使うことができるので、この夏のボーナスは、それ以降に使うことになる。つまり期間10年以上だ。
2つめは、退職金がもらえる人はその金額も今の金融資産に含めて考えるのがいいということ。退職金が2000万円で退職に備える貯蓄が今1000万円なら、計3000万円のうち3分の2は、安定型の商品で運用されていることになる。だったら、自分で貯める分は(夏のボーナスも)全額「投資型」でいいわけだ。
■商品の前に戦略を
最近、投資は新しい商品や手法が次々と登場して、情報に敏感な人ほど「これが儲かる」「いやこっちはもっとすごい」と振り回されてしまいがちだ。 しかし投資する商品を決める前に、今あるお金のどれだけを投資に回すか、戦略のいちばん基本の部分をしっかりと抑えておきたい。この土台を据えまちがえると、どんなにすごい投資商品を選んでもよい結果は期待できない。
夏のボーナス、基本のキに返りましょう。
マネックスからのご留意事項
「10年後に笑う!マネープラン入門」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。
商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。