お金のドクター、中村芳子がお金にまつわるさまざまな悩みに、専門家としてアドバイスします。(現在は更新しておりません)
日本での投資信託の広まり方は、アメリカとはだいぶ様子が違う。
アメリカでは1980年代に「確定拠出型年金の普及」と「株高」が重なって、自国の株式で運用するファンドが人気となった。
日本では世界でもまれな「低金利」と「金融自由化」特に投信販売窓口が拡大したことで、海外の高利回り債券で運用する外国債券ファンドが売れた。定期預金の金利が0.1%程度のときに、基準価額に対する分配金が年換算で6%前後もあったのだからうなづける。
外国債券ファンドの特徴のひとつは「毎月分配型」。最近は隔月分配や年2〜4回分配型も登場しているが、毎月分配の人気は根強い。
■分配型より再投資型がいいといわれる理由
毎月分配型は、名前のとおり毎月分配金を受け取る。分配率が年6%(税引前)なら、投資金額100万円に対して毎月5000円(税引前)の分配金を受け取るわけだ。分配金は毎月MRF(証券会社で買ったとき)や普通預金口座(銀行で買ったとき)に入金される。
多くの専門家は「分配型の投信は、分配金を生活費の足しやこづかいとして使うならよいが、使う予定がない人や投資元本をじっくり殖やしたい人は分配型ではなく再投資型を選ぶべき」と指摘している。再投資型とは、分配金を受けとらずに、それで同じ投資信託に再投資する(買い増す)しくみのことだ。
はっきり記憶しているわけではないがあるアンケートでは、分配型の投信を買った人の多くが、受け取った分配金を何かに使うでもなく、そのまま口座に入れているという結果が出ていたようだ。もったいない。これなら、確かに再投資型を選んだほうがいい。
■月会費にあてるのにちょうどぴったり
分配率が6%でも、月1万円の分配金を受け取るには200万円の投資元本が必要。分配率が3%なら400万円の投資元本が必要。月1万円では、生活費の足しというほどではないし、小遣いにするにもさびしい。とすると、投資額が1000万円を超えるくらいでないと、分散型投信は使いようがない気がしてくる。
しかし、ちょっと考えてみると、月1万円や2万円のエクストラの収入があると、行動範囲が広がることはある。月謝1万円で英語学校に通う、料理教室に通う、スポーツクラブの会員になる、2〜3ヶ月に国内旅行に出かける。
あと数年で退職後資金を貯めなくてはいけない人、退職して年金収入だけになっている人は、意外に月1万円2万円を捻出するのが難しい。現実にはできるのだが、精神的に苦しいのだ。そんなとき、毎月や隔月で1万円〜数万円の分配金を受け取れるのはグッドニューズ!
定期預金や普通預金にお金が眠っている人は、これら低金利資産を数百万円分配型の投資信託に移すことで、月1〜2万円の会費を臆せず払えるようになる。ひとつ新しいアクションをすることで、世界がぐんと広がることになるかもしれない。
■リスクの種類と大きさを見極めて
分配型投資信託といっても投資対象はさまざまだ。外国債券型、国内株式型、外国株式型、リート(不動産投信)型、国債分散型などがある。過去の分配実績が同じくらいであっても、投資対象や運用方針によってリスクの種類や大きさは違う。このリスクを見極めるのが、買うときのポイント。
全体の金融資産配分から見て足りないもの、これを増やしたいという分野に投資する分配型を選ぶのが正解だ。リスクの大きさは、投信評価会社の評価を参考にしたり、他の投資信託と資産配分や過去の値動きを比べて調べよう。
お金はもちろん将来に向けて大きく殖やしたい。でも、分配金で今の生活をちょっとレベルアップするというのも、賢い投資信託の使い方だと思う。-----
EXTENDED BODY:
マネックスからのご留意事項
「10年後に笑う!マネープラン入門」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。
商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。