お金のドクター、中村芳子がお金にまつわるさまざまな悩みに、専門家としてアドバイスします。(現在は更新しておりません)
■夏休みの間に減った資産
前回(8月8日)は「50代は勉強はするが投資はしない」「これまでは運用しなくてもよかったがこれからは違ってくる」「今すぐ運用を始めよう」とお話した。
しかしその後、世界的な株安と急激な円高が同時に起こった。投資信託も軒並み値下がりした。投資しない派の人たちは「そぉれ見たことか。投資してるヤツは今頃青くなってるぞ」と思ったかもしれない。
私はちょうどその頃夏休みをとっていた。休暇中はあえて新聞もテレビも見ないようにするが、日本にいる限り「平均株価が年初来安値」「米国株が大幅下落」「○円の円高」というニュースは、イヤでも耳や目に入ってくる。
それでどうしたかというと、何もしなかった。「ふ〜ん、困ったなあ。」とちょっとため息をついたが、すぐ忘れて家族との海あそび川遊びを楽しんだ。 休みが明けて自分のポートフォリオを見てみると、休み前より全体で1割強減っている。「やれやれ」とがっかりするがそんなには困らない。
■1〜2週間、価格をチェックしなくても
このコーナーで何度も書いているが、積極的に投資してもいいと私が考えるお金は、10年以上先に使うお金(=10年以上運用できるお金)の50%までだ。
一時的に1〜2割評価が落ちても、使うまで10年あるのでそのくらいの損はなんとか取り戻せると考える。金融資産全体の50%は預金や国債など値動きのない安全資産なので、今回のように日本株安、海外株安、円高という悪い要素が3つ重なっても資産全体をある程度下支えできる。投資型の部分(全体の50%)が仮に30%と大きく下がっても、全体では15%の評価減におさまる。
これくらいなら、多少悪いことが重なっても枕を高くして眠れる。
以前ある高名なファンドマネージャーの自伝を読んだが、彼は休暇を高級リゾートで家族と過ごしても、相場から片時も目を離すことができなかったそうだ。そして、そういう時に限って予想外の悪いことが起こったという。
もちろん顧客の資金をあずかるファンドマネージャーと、自分の資産だけを運用する個人投資家では、スケールも責任も全く違う。個人投資家にとって大切なのは「1%でも高い値上がりを狙う」ではなく「いつでも安心して眠れるポートフォリオ」を持つことだと思う。
50代は一生のうちでもっとも「働き盛り」で「責任の重い」年齢だ。
会議中や出張中に株式相場のことが心配で仕事に身が入らないのは大いに困る。せっかくの休暇に、為替相場の動きが気になって楽しめないのは情けない。 多少のことがあっても、1〜2週間は持株や投資信託の価格をチェックしなくて平気、旅先でもぐっすり眠れるというポートフォリオをつくりたい。
■自分の安心ラインを見つけよう
前回は、まず1万円で投資信託を買ってみようとお勧めした。1000万円の預金を持っている人が、そこから1万円だけ投資信託を買って今回の世界株安に直面しても、眠れなくなることはなかっただろう。評価損はおそらく1000〜2000円くらいのものだ。
1万円なら大丈夫。では5万円なら、10万円ならと少しずつ投資型金融商品の割合を増やしていく。
ある人は1000万円のうち50万円までなら大丈夫と感じるだろう。1000万円のうち100万円なら、200万円までならOKという人もいるだろう。
大切なのは、世界株安と円高が同時に起こっても、ぐっすり眠れる割合を自分で見つけることだ。最初は100万円だった人が、何年かしたら300万円までOKになることもあるだろうし、逆に300万円まで大丈夫だと思った人がやっぱり100万円にしておこうということになるかもしれない。
様々な人が、様々なポートフォリオを提案している。これらを参考にしつつ、自分の安心ラインを見つけよう。やがて手にする退職金を納得できる方法で運用するためにも「眠れるポートフォリオ」の割合を、自分の投資体験から見つけることが大切だ。
マネックスからのご留意事項
「10年後に笑う!マネープラン入門」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。
商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。