投資をするなら、個別銘柄に投資をしたいと考える方も多いはず。
個別銘柄投資をするなら、知っておきたい、業種別アプローチの考え方を紹介します。業種別に見るべき視点や考え方などをご紹介します。
コラム執筆:『今どき、株で儲けるヤツは、「業種別投資法」を使っている』の著者 長谷部 翔太郎氏(現在は更新しておりません)
みなさん、こんにちは。『今どき、株で儲けるヤツは、「業種別投資法」を使っている』の著者の長谷部翔太郎です。本年2月から始めたこのコラムも、第17回目の今回で最終回となりました。この間、東日本大震災などもあり、結果的に日経平均は約20%下落する展開となりました。投資家にとっては非常に厳しい時期であったように思います。そこで、最終回となる今回は「これまでの投資常識のウソ」を取り上げてみます。今一度、原点に戻って、投資の参考にしていただければ幸いです。
一般に、株式投資は、長期投資と分散投資、が重要だと言われています。しかし、実践となると果たしてそれでよいのか、甚だ疑問が残ります。例えば、日経平均はここ20数年、長期下落基調にあります。つまり、20年の長期投資をしてもリターンはなかったというのが現実なのです。また、分散投資も期待値の議論が欠けています。そもそもリスクを低減させるということは、リターンも低減させるということを忘れてはいけません。機関投資家のように資産運用規模が大きければ話は別ですが、個人で株式投資をされる方はむしろ高いリターンをこそ期待しているケースが圧倒的です。分散投資をすればするほど、どんどん期待値には遠ざかっていくのです。つまり、投資常識と言われているものは、少なくとも現在において、決して実践的ではないのです。
もちろん、個別銘柄では直近においても史上最高値を更新したケースは少なからずあります。また、ホンダ株やセブン?イレブン株(現セブンアンドアイホールディングス)を上場時に購入していたら、現在価値はおよそ何十倍にもなっている、といった反論をされる方もあるでしょう。ですが、前者の指摘は「長期保有が投資のカギなのではなく、銘柄選択がポイントである」と言っているにほかなりません。期せずして、この言い分は投資期間の長短が重要ではないことを自ら認めてしまっているとも言えるのです。
また、ホンダ株などのサクセスストーリーについても、現在大きく成長した会社の過去を振り返った結果論に過ぎません。上場時に将来そこまでの優良企業になるなどとは誰もわかりません。実際に、せっかく綺羅星のように上場しても、数年で消えて行った企業はそれこそ星の数ほどあります。長期投資が成功を生むのと信じ込んでしまうのは実はとても危険であり、銘柄選択こそが成功を生んでいることは明らかなのです。
実際に、長期投資や分散投資の限界は、トレーダーの重要性を一気に高めました。株価低迷の長期化から、オーソドックスな投資スタイルでは期待運用リターンに届かないケースが多発したからです。株価がボックス圏で推移する中、十分なリターンを獲得するためには、タイミングよく売り買い(トレーディング)をこなしていくことが求められたのです。結果として、そのタイミングに長けたヘッジファンドや一部のデイ・トレーダーが市場の注目を集めるようになっていったのは当然の流れです。このことは「売り」がいかに重要かを示す証左でもあるのです。
ただし、「売り」は簡単ではありません。どの段階でよしとするかはまさに投資家個々人の感性・裁量に委ねられるうえ、心理的な重圧感も現実には加わります。経験的に、手仕舞い売りのタイミングを逸してしまったという経験はプロでもあるのです。
実はこの業種別投資法のコラムは、単に「買い」のタイミングを計るためのものではなく、「売り」つまり利食いのタイミングについても、読者の方の参考にしていただけるよう意図して書いてきました。業種別の株価特性を基にして、「いくらになったら利食いをする」「こんな種類のニュースが出てきたら、損が出ていようが、とにかく手放す」といったイメージを最初から持って臨んでいただければ、「売り」が重要な現在の相場状況における指針としてお役に立つものと確信しています。投資の参考にしていただければ幸甚の極みです。長期間のご愛読、ありがとうございました。
※2011年10月より、マネックスメールにて「外国人投資家目線でみたグローバル株式徹底比較!」をお届けいたします。初回掲載日は10月17日(月)です。
コラム執筆:
長谷部 翔太郎
証券アナリスト。
日系大手証券を経て、外資系投資銀行に勤務。証券アナリストとして、日経や米Instititional Investors 誌などの各種サーベイで1位の評価を長年継続し、トップアナリストとして君臨する。外資系投資銀行で経営幹部に名前を連ねた後、現在は経営コンサルティング会社を経営する。著述業も手がけ、証券業界におけるアナリストのあり方に一石を投じる活動を展開。著書は、『今どき、株で儲けるヤツは、「業種別投資法」を知っている』『今どき、株で儲けるヤツは、「業種別投資法」を使っている』その他多数
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