ミニ小説【三度目の正直】 企業再生:明治スタイル 第二章

シブサワ・アンド・カンパニー渋澤健が綴る「オルタナティブ投資」の世界。「オルタナティブ投資」が目指す絶対的収益の根源とは?(現在は更新しておりません)

ミニ小説【三度目の正直】 企業再生:明治スタイル 第二章

第二章

 三井の工業化戦略を図る中上川彦次郎は、藤山雷太を王子製紙に送りこみ、経営を支配することに成功しました。

 ところが、数年後、明治34年に中上川彦次郎は47歳で死去します。その後は、三井物産初代社長の益田孝の影響力が強くなりはじめました。三井は、中上川の工業化戦略から益田の商業化戦略へと転換します。

 益田孝は渋沢栄一と明治政府の民部省(現在の財務省の前身)で井上馨の部下として机を並べていた存在で、三人は役所の現状にしびれ切らして日本の財界の確立に挑むために明治6年に同時に退官した仲間でもあります。明治11年には益田は渋沢と一緒に東京商法会議所(東京商工会議所の前身)を設立しています。

 中上川というバックを失った藤山雷太は翌年、明治35年に業績不振を理由に退陣を迫られます。このときに渋沢栄一は相談役として王子製紙に復帰しました。

 藤山雷太の浪人生活は長くなく、明治36年には東京市街鉄道の専務に就きました。東京電車鉄道との合併を図りましたが、社長の雨宮敬次郎が反対するために、株主総会を開き強引に合併を決議させてしまいます。王子製紙に続き、藤山は上司にとっては、かなりやっかいな人物であったようです。

 しかし、社長側が議事の手続きを無効として訴訟を起こし、合併は決裂してしまいます。藤山雷太は、また企業の再生に失敗します。

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