2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
資産設計には覚えておくと役に立ついくつかの数字があります。今回はそんな数字をまとめてみました。皆様いくつご存知ですか?
● 72
「72の法則」というのがあります。お金が2倍になるのに何年かかるかを計算できるというものです。72を運用する金利で割ると元本が2倍になるのにかかる年数がわかります。例えば金利12%なら72÷12で6。つまり12%のリターンで運用すれば6年間で元本は2倍になります。
日経平均の2004年9月末時点での1年間の上昇率は約6%。72の法則でいくと12年で元本が2倍という計算になります。
ちなみに多くの銀行の普通預金の金利は0.001%です。この法則を使うと預金の元本が2倍になるのは何年後でしょうか(すごい結果ですね)。
● 8%
今後10年間に予想される日本の物価上昇率です。これには計算根拠があります。日本国が発行する物価連動国債と同じ満期の普通の長期国債の金利を比較すると、現在0.8%程度の金利差があります。これは10年債券ですから10倍すると8%となります。つまり債券市場では今後10年で8%のインフレを予想をしているということになります。
マネックスではこの物価連動国債を組み入れたファンドを販売しています。最新のレポート(DKAが作成)はこちらから。
http://www.dka.co.jp/nav/monthly/m390060.pdf
● 77%
米国バンガード社の40年以上の調査では、アセット・アロケーション、銘柄選択、マーケット・タイミングといった運用結果を決定する要素のうち、77%がアセット・アロケーションの違いによるものという結果が出ました。
http://www.monex.co.jp/monex_blog/archives/003891.html
つまり投資を考える時間の8割はアセット・アロケーションをどうするかに割くべきであり、銘柄選択やいつ買うかを考えることは相対的に重要ではないということです。
個別銘柄を選んだり、いつ買うかのタイミングに思いをめぐらすより、自分のアセット・アロケーションが現在どうなっているか見直してみてはいかがでしょうか。リターンに良い影響があるかもしれません。
● 6つ
資産設計への道では3年前から分散投資をする場合のアセットクラスを6つに分類することを提案しています。
http://www.monex.co.jp/monex_blog/archives/002151.html
1.流動資産 預金、MRF、などリスクが低く換金性の高い円資産
2. 日本債券 個人向け国債、公社債投信など
3. 日本株 日本株(ミニ株も)や日本株式に投資する投信など
4. 外国債券 外貨MMF、外債、為替保証金取引など
5. 外国株 外国株や外国株式に投資する投信など
6. その他 どれにも当てはまらない商品
アセット・アロケーションはこの6つのアセットクラスを使って考えてみてください。
● 5%
長期の運用を考える場合の標準的な運用レートは5%で考えるのが良いでしょう。過去のデータで見てみると例えば日本株30%、日本債券10%、外国株20%、外国債券20%、流動資産20%で運用を行った場合、データが取れる最長期間である19年間(1985年〜2003年)の年平均リターンは5.0%になります。ちなみに同じ配分で運用すると過去10年では3.8%、直近1年は12.9%です。
過去の運用実績で将来のリターンを想定するのは無理があるという専門家の意見もありますが、分散投資をして運用を長期に続けた場合、年5%程度のリターンは取りあえず目安として使える数字です。
● 3ヶ月
長期の資産運用では毎日取引する必要はありません。手をかけすぎないで資産を殖やす方法を「サボテン投資法」として提案してみました。
http://www.monex.co.jp/monex_blog/archives/004798.html
資産の時価評価はそんなに頻繁に行う必要はありません。長期の資産運用であれば3ヶ月に1回で充分です。証券会社の取引残高報告書は3、6、9、12月の末に作成され送られてきますので、それに合わせて調べるのが良いでしょう。
今回の話のまとめ---------
●72の法則と物価上昇期待から預貯金だけだとこれからどうなるか考えよう●6つに分けた自分のアセット・アロケーションを3ヶ月毎に見直そう
●5%の運用で「いつまでにいくら」できるか計算してみよう
ではまた来週・・・。
(マネックス証券 内藤 忍)
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