外貨投資の通貨分散

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

外貨投資の通貨分散

米ドルが安くなっています。日本人は為替に関してはドル円だけを見ている人が多いので誤解があるのですが、最近起こっていることは円高ではなくドル安です。円は米ドル以外の通貨に対してはそんなに高くなっていないのです。
●外貨投資の考え方
「外貨投資は円高リスクがある、のではなく円安リスクを回避するために必要」というのは繰り返し主張していることですが、では具体的に外貨の中でどの通貨を選択するか、というのも重要なテーマです。

これは資産全体のアセットアロケーション同様、唯一の正解はありません。最終的には自分で考えることになりますが、ここで考え方を整理しておきましょう。

●外貨のリスクは株と債券の合計
外貨投資は外国株式と外国債券が主な投資先になりますが、為替リスクという点では2つのアセットクラスに違いはありません。例えば米国株式ファンドと米ドル建債券と保有している場合は、2つの合計金額が米ドルの為替リスクということになります。

●外国株式の資産配分
例えば日本以外のグローバル株式にインデックスファンドを通じ投資を行うトヨタアセット・バンガード海外株式ファンドの場合、地域別の基本配分比率はこのようになっています。
 米国株式           約 65.0%
 欧州株式           約 30.0%
 エマージング・マーケット株式 約 5.0%

これは世界各国のGDP比率に近似させた配分比率です。基本的にはこのような配分を決定し価格変動に応じてリバランスをすべきです。最近のようにドルが安くなっているからと言ってドルは保有しない方が良い、と考えるのは短絡的です。

●変動する地域別配分比率
しかしこのような配分比率は将来見直しをする必要が出てくるかもしれません。例えば今後ユーロのプレゼンス(存在感)が上がればドル・ユーロの比率を2:1ではなく1:1近くまで変えることも考えられますし、BRICsに代表されるエマージングマーケットを対象にした投資の比率を高めることもありうる選択でしょう。中国株、インド株などの投資をすれば人民元(投資通貨は香港ドルですが中国企業への投資になる)、インドルピーなどの為替リスクを持つことになります。

●外国債券の資産配分
外国債券の場合は外国株式とは少し投資対象が異なります。外債投資の基本は信用(クレジット)リスクは取らないことです。国債や世界銀行が発行するようなAAAの高い信用度のある債券を選びましょう。

投資通貨としてはドル、ユーロなどのメジャーな通貨もありますが、債券投資として高金利に注目した豪ドル債なども検討できると思います。
http://www.monex.co.jp/visitor/shohin/saiken/gaisai/index.html

外債の投資目的の1つが海外の相対的に高い金利を享受するという点からすると金利動向についてはよく考える必要があります。外債投資は投資期間中の受取金利を確定できるというメリットがあります(為替リスクはありますが)。損益分岐点計算を参考にすれば、どの程度の円高に耐えられるかをイメージすることができます。

●結論
外国株式、外国債券を合わせた通貨配分を考えると、例えば米ドルが50%、ユーロが30%、その他通貨が20%といった配分が考えられます。その他通貨には株式で投資をする中国、インドといった投資対象もあれば、債券で投資をするオーストラリアドル(豪ドル)やニュージーランドドルのような通貨もあります。

いずれにしてもアセットアロケーション同様、1つの通貨にリスクを集中させるのは避けるべきです。

今回の話のまとめ---------
●外貨の通貨配分は外国株式と外国債券を合わせて考える
●ドルやユーロが中心となるがそれ以外の通貨もある程度は配分しよう
●相場観から1つの通貨にリスクを集中させるのは避けるべき

ではまた来週・・・。

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