2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
今週月曜日に発売された「週刊ダイヤモンド」は新富裕層特集です。メリルリンチなどが調査した結果によると居住目的の不動産を除く金融資産を100万ドル(約1億2千万円)以上保有する世界の富裕層人口は2005年末で870万人。日本人はその中の141万人と16%を占めているそうです。
最近のお金持ちがどんなライフスタイルなのかを取材していますが、ライフスタイルよりも、記事の中にお金との付き合い方のヒントがいくつか隠されているのが参考になると思います。
●お金持ちほどリスクを取る傾向
野村総研が富裕層の資産配分をヒアリングしたところ、資産規模が大きくなるにつれリスク資産の比率が高くなっているという結果が出ています。サンプル数が少ないので鵜呑みにはできませんが、純金融資産が5,000万円から1億円の人は株式、投資信託などの預貯金以外のリスク性資産を57%保有しており、5億円までの資産規模になるとその比率が67%、5億円超の超富裕層になると71%にまで達しています。
資産が大きくなるとリスク許容度が高まりリスク資産を増やせるので当たり前の結果とも言えるのですが、富裕層になればなるほどお金に働いてもらってさらにお金を殖やしていこうとしていることがわかります。
●新富裕層の合理的な行動
またこのような富裕層にも旧世代と新世代があるようです。新世代は忙しく時間の無い中で毎日を過ごしている合理的な考え方をする人たちです。比較してみると旧世代はメガバンクをメイン金融機関にする人が多く、新世代は外資系銀行・証券をメインにする人が多いという明らかな差異があります。
メガバンクの安心感のあるブランド力、店舗や営業担当者を介した親密なアプローチは忙しく、手数料や商品性によって取引の意思決定をする新世代には受け入れらにくくなっているようです。イメージだけではなく実質的にメリットのある金融機関を選択しているのです。
今まで付き合ってきたから、近所にあるから、宣伝しているから、といった受身の姿勢で金融機関を選ぶのではなく、自分に一番メリットのある金融機関を選別する積極的なスタンスが重要なのです。選択に必要な情報としては、例えば銀行や証券会社を評価するゴメスのような評価機関の結果も参考になるでしょう。
ゴメス
http://www.gomez.co.jp/
●プライベートバンクは資産が1億円になったら考える
記事の中で意外だったのは、あるコンサルタントがプライベートバンクは金融資産10億円以下の人は相手にしないというコメントしていたことです。
10億円とはいかなくても、1億円くらいまでの金融資産なら自分で運用できると思っています。富裕層向けのプライベートバンクでしか買えない商品があるのも事実ですが、自分で投資信託などの一般に販売されている商品を上手に選択すれば、誰でも「自分で作るプライベートバンク」を実践できるからです。
もし1億円以上の資産規模になったら、その時にプライベートバンクのような専門の金融機関に相談することを検討すれば良いでしょう。リスク許容度が大きくなり、分散投資の配分比率も変わってくる可能性があるからです。
●お金を貯めるのではなく、お金に堅実に働いてもらう
もう1つ興味深かったのは本田健さんが書いている富裕層の成功要因についてのコラムです。富裕層に共通な価値観として誠実である、健康である、勤勉である、配偶者がいる、リーダーシップ、収入の範囲内で生活するといったポイントをあげています。意外に堅実な富裕者層の行動パターンが見えてきます。
お金持ちにとって難しいのはお金持ちでありつづけることだと思います。過去の歴史を見ると長期的に没落してしまうケースが意外に多いからです。
単なる節約で資産を残そうという縮小均衡ではなく、無駄なものにはお金を使わず、必要なものには出費を惜しまない。メリハリの効いたお金の使い方が大切なようです。
つまりお金の使い方をしっかり管理できる能力がお金持ちの条件なのです。お金に働いてもらうという発想でお金を管理できること。ここにお金との付き合い方のヒントがあると思います。
今回の話のまとめ---------
●新富裕層の合理的な投資行動は参考になることが多い
●お金持ちはリスク資産を持ち、お金に働いてもらう仕組みを作っている●メリハリの効いたお金の使い方をする堅実さが資産を守る
ではまた来週・・・。
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