新しい投資先に安心して投資できる環境を

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

新しい投資先に安心して投資できる環境を

世の中には個人投資家を狙った悪質な投資詐欺事件がまた頻発しています。この手の話に騙されてしまう人が無くならないのは、手口が巧妙であることに加え、甘い話に理解もしないまま安易に大きな資金を出してしまう個人投資家がいるからでもあります。

しかし個人投資家が限られた時間で商品の仕組み上の問題を分析するのには限界があります。とすればこのような新しい金融商品は取扱いをしている会社が信頼できる会社がどうかが判断のポイントになるでしょう。

今年に入ってからも新しい投資商品が日本の投資家向けに次々と紹介されています。例えば先週取材を受けたSPA!では、今週号で新しい投資先としてベトナム、海外ETF、といった先進的な商品を取り上げています。

●新しい投資の可能性
例えばベトナムはポストBRICsとして興味を持たれている方も多いと思います。マネックスの勉強会でも受講者の方から、マネックス証券では取り扱わないのか、と質問されることがある人気の地域です。

また海外ETFとは外国の証券会社に口座を開き、そこから外貨建てのファンドに投資を行う方法です。香港の証券会社に行って口座開設する方法を解説した書籍などは最近増えており、実際に口座開設をするために企画されたツアーも登場しているようです。

残念ながらこれらの商品は私の知る限り、日本の大手金融機関で取扱を行っているところは無く、投資するとしたら自分で海外での投資方法を調べて、商品選択の判断をしなければなりません。

●2つのリスク
BRICsのような新興国への投資は高いリターンが期待できる半面、リスクも大きくなります。ベトナムのようなさらに経済規模の小さな国への投資となるとリスクはBRICsをさらに超える可能性があります。株式市場の規模が小さく、政治体制や経済の安定性などが問題になるからです。ブームになって小さな市場に大量の資金が流れ株価は急上昇する可能性もありますが、逆の事態になれば短期間に大きく下落するリスクもあります。

そしてもう1つのリスクは、投資する商品のスキーム(仕組み)です。国内の証券会社で投資信託を購入してBRICsに投資するのであれば、商品の仕組みには不安はありません。販売会社も運用会社も管理会社も日本にオフィスを持ち、万一の事態にも対応をしてもらえます。そのためのコストが信託報酬と考えることもできます。

海外に直接申し込む場合、取り扱っている会社の信用力を自分で確認する必要があります。また口座開設などの手間も国内に比べれば煩雑です。現地にいかないと開設できない場合もありますし、万一の場合のやり取りは英語で行うのが基本です。何かあった時の体制はやはり不安になってしまうのです。

●日本の金融機関の役目
新しい商品を積極的に取り入れていくことは投資のリターンを向上させるために大切なことです。例えば為替保証金取引もBRICs諸国に投資する投資信託も登場したのはここ数年のことです。これらの商品は個人投資家のリターン向上に大きく貢献しました。分散投資に取り入れることができる優れた商品です。
新しい投資対象を広げることによって個人投資家のフロンティアは広がります。市場の変動によるリスクは個人投資家それぞれが判断していくことですが、投資商品の仕組みについては金融機関にしっかり判断してもらい安心して投資ができるようにしてもらいたいものです。新しい投資商品をいち早く紹介し、個人投資家に安心できる環境を提供する。これが日本の金融機関が提供できる付加価値です。

マネックス証券は今までゲームファンド、プレミアム・ハイブリッドなど多くの新しい投資ホライズンを個人投資家に提供してきました。今後も例えばロシア株ファンド、ポストBRICsと言われる国々の株式に分散投資するファンド、海外の上場ETF(インデックス運用のため)、海外のREIT(世界の不動産に分散投資)など、個人投資家のニーズを迅速に商品化して欲しいと思います。
個人投資家がこのように安心して新しい投資商品にアクセスできる方法が無ければ、海外の証券口座などでしかアクセスできないわけですが、そのような新しい金融商品への投資には仕組みのリスクがあることを認識すべきです。
今回の話のまとめ---------
●BRICs以外にも新しい投資先はこれからも広がる
●投資先のリスクに加え、商品スキームのリスクもしっかり考える
●自分が信用できない会社の取扱商品には投資しない

ではまた来週・・・。

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