究極の資産運用おまかせ定食

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

究極の資産運用おまかせ定食

9月のこのコラムで自分で作る分散投資の説明をしました。自分で組み合わせて自分の好みにアレンジした資産運用ができる方法です。レストランで言えばアラカルト(お好み)で注文する方法です。

定食とアラカルト
http://www2.monex.co.jp/monex_blog/archives/007216.html

 レストランで自分の好きなものを好きなように組み合わせて注文できれば一番ですが、勝手がわからないお店に行ったらなかなか難しいことです。はじめて行ったレストランでアラカルトで注文するよりは最初は定食あるいはコース料理を頼み、お店にお任せした方が安心でしょう。

 資産運用も同じことが言えます。自分で株式や外貨商品などを選んで組み合わせ、自分で分散投資すればオーダーメイドの資産運用ができます。しかし現実にはどの銘柄を選ぶのか、アセットアロケーションはどうしたら良いのか、など自分ではできない、あるいは面倒くさい、という人は意外に多いのです。それならば最初はバランス型ファンドからはじめる、というのは現実的な選択肢です。100%満足なものが得られなくても自分で選ぶよりベターな結果になれば良いのです。

 バランス型ファンドなら株、債券、外貨といった様々な資産に分散して投資することが簡単にできます。ただし商品によってどのような投資対象がどの程度組入れられているかは異なります。また販売手数料や信託報酬といったコストも違ってくるのです。バランス型ファンドではじめるといってもどれでも良いというものではないのです。

 そこで今回はどんなバランス型ファンドが良いファンドなのか。理想のバランス型ファンドについて考えてみたいと思います。

■分配金を出さない
 最近は毎月分配のような分配金のメリットを強調した投資信託が人気のようですが、年金型の生活をしている方はともかく、これから資産を殖やしていこうという方にとっては分配金は無い方が良いファンドと言えます。

 分配金には通常10%の税金がかかります。分配金を使わないで再投資する人の場合、分配金をもらわないでファンドの中で再投資してもらった方が有利です。分配金をもらって、ファンドは元本割れというような事態になるとトータルの運用リターンはマイナスなのに税金を払っているということになりかねません。お金が必要になったら自分でファンドを解約すれば良いのです。

■資産の組み合わせ比率に根拠がある
 バランス型ファンドの商品性は投資対象とその比率によって変わってきます。投資対象を日本株、外債、不動産というように決めて単純に3等分しているわかりやすいファンドもあります。しかしプロが運用している年金の世界ではこのような単純な等分商品はありません。資産配分自体にもリターンを決める価値があるからです。

 リスクを一定の範囲に抑える、最も効率的な資産配分をしっかり考えたファンドの方が長期で保有する価値があるファンドと言えます。

 また投資対象資産も日本株、日本債券、外国株、外国債券、不動産、コモディティといった幅広いものになっていれば他の投資をしなくてもそのファンドだけで投資を完結できます。本来バランス型ファンドの目的は1つのファンドにお任せできることですから、特定の資産に偏ったバランス型ファンドでは意味がなくなってしまいます。

■コストが低い
 低コストであることは投資信託選びの重要なポイントです。バランス型の運用ではリスクを抑えた運用をするため、ファンド全体の期待リターンは5%からせいぜい10%くらいになります。例えばリターンが5%で管理コストが年間2%だと利益の40%がコストになってしまいます。年間の管理コストである信託報酬はできれば1%以内に収まっているのが理想です。

 バランス型ファンドの中にはファンド・オブ・ファンズと言ってファンドがファンドを買う方式になっているものもあります。このような場合は手数料が2重にかかっていますので全体のコストを把握することが大切です。
■理想のバランスファンドの3条件
 今までの話をまとめると理想のバランス型ファンドは、分配金なし、販売手数料なし、信託報酬1%以下、投資理論に基づいたアセットアロケーションで配分されてそのファンドだけで投資を完結できるもの、という欲張りな商品になります。そして毎月1万円からの積立もできれば言うことありません。

 もしこんなファンドが出来れば、毎月の積立をこの商品で行い、ある程度の資産残高が積みあがったら自分で株式や債券を購入する、といった活用法も考えることができますし、そのままずっと元本を殖やしていくこともできます。

 残念ながらこんな究極の商品を提供している金融機関はありませんが、せっかくバランス型ファンドで運用するのであれば、少しでも理想に近い商品を使いたいものです。

 本当に満足できる「究極の資産運用おまかせ定食」はいつになったら出てくるのでしょうか。

今回の話のまとめ---------
●バランス型ファンドは資産運用のおまかせ定食
●選択基準は分配なし、低コスト、配分比率の決定方法
●究極のバランス型ファンドは残念ながらまだ存在しない

ではまた来週・・・。

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