2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
3年前のマネックスメールに投資には3つの運用方法がある、と書きました。
自分でやる、人にやらせる、市場に合わせる
http://mail.monex.jp/?4_64943_419095_11
今回は中国株に投資をしようとする場合、どの運用手法を使ったらよいのかを考えてみたいと思います。
個人的には中国株の個別銘柄を日本の個人投資家が売買して市場平均を上回る実績をあげることは難しい、と思っています。とすれば3つの運用方法の中で残る選択肢はアクティブファンドを活用して人にやってもらうか、あるいは市場平均を狙うインデックス運用です。
香港株式市場のETFを使えば中国株のインデックス運用ができます。2つの運用手法を具体的商品で比較してみましょう。
■投資信託を使ったアクティブ運用
市場の効率性があまり高くない市場ではインデックス運用より運用実績のあるアクティブファンドを活用するのが賢明だということになります。アクティブ運用の投資信託の代表商品としてHSBCチャイナオープンがあります。
運用実績は過去1年で59.41%(10月末現在、信託報酬控除後)、設定来では178.8%で、参考インデックスと比較しても高い運用成績を実現しています。
運用レポート(PDFファイル形式)
http://mail.monex.jp/?4_64943_419095_12
ただし年間の保有コストにあたる信託報酬が年1.89%、また販売手数料は12月29日までは実質無料のキャンペーン中ですが通常は3.15%かかります。
■香港上場のETFを使ったインデックス運用
一方のETFを使ったインデックス運用を見てみましょう。これは香港籍オープンエンド型ユニットトラスト(契約型)です。ユニットトラストとは投資信託とほぼ同じと考えてよいものです。マネックス証券で取引可能な商品としては次のようなものがあります。
02828 ハンセンH株指数ETF
02800 トラッカー・ファンド・オブ・ホンコン
02801 iシェアーズMSCI / チャイナ・トラッカー
02823 iシェアーズFTSE/新華A50チャイナ・トラッカー
その中でハンセンH株指数ETFを例に取ってみますと、取引単位は200口、香港ドル建で、時価は約90香港ドルですから日本円で30万円弱が最低投資金額になります。
国内取引手数料は約定代金の0.2999%(税込、ただし最低手数料は70香港ドル)、それ以外にも印紙税や決済費用などがかかります。マネックス証券のWebに掲載されている具体例では、約定金額84万円に対して3,463円という手数料になっていますがこれだと売買手数料は比率にして0.5%弱です。また配当などの権利取得には大きな金額ではありませんが別途費用がかかります。
また年間の管理コストはマネジメントフィーとトラスティーフィーで運用会社であるハンセンインベストメントのWebに掲載されていますが0.6%となっています。
月次レポート(PDFファイル形式)
http://mail.monex.jp/?4_64943_419095_13
ETFにかかるコストは項目が多くわかりにくいですが、ざっくり言うと手数料は投資信託の3分の1程度といえるでしょう。
運用実績は香港ドルで過去1年のリターンが34.59%。H株インデックスにほぼ連動した数字です。この数字は香港ドル建てです。過去1年で見ると1香港ドル=約15円でほぼ横ばいですから円ベースのリターンもほぼ
同じになります。ただし投資対象やリスクが違うので投資信託のリターンと単純比較はできません。
ちなみに為替レートはサーチナ社の画面で過去のレートを参照できます。http://mail.monex.jp/?4_64943_419095_14
■どちらを買うべきか
アクティブ運用の投資信託は平均よりも高いリターンが期待できる半面コストが高い、インデックス運用のETFはコストは下げられるが、リターンは市場平均になります。市場の効率性の低さを考えるのであればアクティブファンドという選択ですが、インデックスを常に上回れるとは限りません。その点ではETFの方がベータを狙う堅実な投資と言えます。
一方でETFは日本と同様最低投資金額が投資信託よりも大きくなってしまう欠点があります。また積立で1万円ずつ買っていくようなドルコスト平均法も使うことができません。
どちらにも一長一短がありますが、ETFは中国株の口座開設、買付金額入金など手間がかかります。また注文方法も香港市場独自のものがあり、ある程度投資経験のある方でないと取引しにくい商品です。投資にある程度経験があり、まとまった資金の一部として中国株への投資をされるのであればETFは選択肢として検討できるでしょう。
個人的には中国株式投資はHSBCチャイナオープンで行っていますが、中国株口座を開設し、自分でETFの運用も並行してみることにしました。2つの運用方法を併用して、将来の結果を比較してみたいと思います。
■どちらにしてもエマージング株式はハイリスク
早いもので2006年も残り1ヶ月を切りました。今年は外国株その中でもBRICsをはじめとする新興国の株式市場が好調に推移しました。日本株が良いパフォーマンスだった去年とは様変わりです。
このような好調な市場を見て新興国の株式市場への投資を検討されている方も多いと思いますが、日本株以上にリスクの高いマーケットであることを認識しておきましょう。また急激な相場の上昇は株式の割安感が薄れていくことでもあります。こんな格言があります。
「強気相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、幸福の中に消えていく・・・」
投資は皆が始めてブームになった頃ピークを迎えることが多いのです。
今回の話のまとめ---------
●香港市場のETFを使えば中国株式のインデックス運用が可能
●インデックス運用は低コストであるが、初心者向きではない
●どちらの運用であっても新興国の株式市場はハイリスク・ハイリターン
ではまた来週・・・。
マネックスからのご留意事項
「資産設計への道」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。
商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。