年初の相場予想より大切なこと

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

年初の相場予想より大切なこと

 新年明けましておめでとうございます。本年も本コラムをよろしくお願いいたします。MUサイトでもご挨拶させていただきましたのでよろしければご覧ください(大納会の日にデジカメで撮影しました)。
http://www.monexuniv.co.jp/news_media/2007/01/post_47.html

 さて今年もまたDKAの池田さんにご協力いただき、恒例の年初予想調査を行ってみました。年初の相場予想を振り返って検証するのが目的です。昨年の1月3日の日経新聞朝刊のコピーには40人の有識者の予想が掲載されています。
■有識者の予想通りになった昨年の相場
 2006年の日本株式は日経平均で見ると高値が4月の17,563円、安値が6月の14,045円でした。年末にかけて株価は回復し、17,353円で引けています。有識者の年初予想では、年前半は軟調、後半に盛り返すという予想が多く、高値は17,000円から18,000円程度が予想の中心。なかなかの的中精度といえます。
 一方為替レートはドル円だけしか予想されていませんが、これも110円を超える円高を予想したのは少数派で、大方の予想は110円から120円というマイルドなものでした。実際の相場も112.65から119.07のレンジ相場でしたから、これも予想通りの動きです。

 昨年は全般的には波乱の無い、予想通りの相場だったと総括できるのではないでしょうか。奇をてらわない堅実な予想が的中した一年と言えるでしょう。
■1年前の予想は不調
 昨年も同じように1年前の新聞から予想の検証を行いましたが、今回とは異なり結果は散々でした。相場が予想以上に上昇し、個別の銘柄も好業績、大型株が市場平均に比べ上昇率が低くなりました。
http://www2.monex.co.jp/monex_blog/archives/006604.html

 例えば日本株であれば、一年で30%40%と上昇することを予想する人はあまりいません。確率から考えれば、日本株の変動率はインデックスで20%前後ですから10%からせいぜい20%くらいまでの変動に留まると考えるのが妥当だからです。
このように外さない予想をしようとするとどうしても過去のデータの延長線上になりがちです。

■今年も予想は例年通り
 本年も1月3日の日経新聞に相場予想が出ています。日経平均については、年初から春先に安値をつけ、年末にかけて18,000円から19,000円という予想が多いようです。つまりプラス10%くらいの上昇が想定されています。

 また今年の有望銘柄もランキングされていますが、有望銘柄はトヨタが6年連続トップで毎年比較しても大きな変動はありません。

<有識者が選ぶ2007年の有望銘柄ランキング>
トヨタ
キヤノン
信越化学
コマツ
新日鉄
松下電器産業
シャープ
ホンダ
三菱UFJ
三菱商事
武田薬品

 去年の有望銘柄からベスト10に新たに加わったのはシャープ、武田薬品くらいで後は常連の顔ぶれです。業績の良い大型優良銘柄というのが条件のようです。

■相場予想より大切なこと
 このような予想を鵜呑みにして投資を行うのは危険です。有識者の予想ですからロジカルな判断材料に基づいているとは思いますが、集めてみるとどうしても無難な最大公約数的な情報になりがちだからです。このような年初予想は、世の中の人が平均的にどんな考え方なのかを知るための参考にするという付き合い方が良いと思います。

 相場予想をするよりも大切なことは、どんな相場展開になっても困らないような全天候型の資産配分を考え実践すること。そしてもう一つは目先数年の変化にとらわれず、10年20年単位の構造変化を見通し、それに対応しておくことです。グローバル化、新興国の発展、資源問題、などが構造変化を考えるヒントになると個人的には思っています。

 本年も本コラムの読者の皆様が夢・目標を実現できるように資産設計の情報提供を続けてまいります。引き続きよろしくお付き合いください。

今回の話のまとめ---------
●有識者は昨年の相場をかなり正確に予想していた
●しかし一昨年のような例外的な相場になると予想は大きくはずれてしまう●相場予想は参考程度にして、構造的変化の中での全天候型の運用を考えよう
ではまた来週・・・。

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