2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)
マネックス証券から「マネックス資産設計ファンド」が1月26日より販売開始されることが昨日発表されました。
マネックス資産設計ファンド
http://www.monex.co.jp/AboutUs/00000000/guest/G800/new/news7017.htm
12月のこのコラムで理想のバランスファンドについての4つの条件を書きました。分配金なし、販売手数料なし、信託報酬1%以下、投資理論に基づいたアセットアロケーションで配分されてそのファンドだけで投資を完結できるもの、という条件を書きました。このファンドはどうでしょうか。
究極の資産運用おまかせ定食
http://www2.monex.co.jp/monex_blog/archives/007358.html
■インデックスファンドの集合体
まず投資対象を見てみましょう。商品説明資料によれば投資対象は日本株式、日本債券、外国株式、外国債券、日本のリート(不動産投資信託)と外国のリートの6つの資産。すべて市場の平均値に連動するインデックス運用です。つまりファンドマネージャーの運用能力ではなく、市場全体の上昇であるベータ(β)を狙う投資と言えます。
■販売手数料と信託報酬は合格
次にコストです。販売手数料がかからないノーロードファンドになっています。信託報酬も0.95%と1%以内に収まっています。インデックス運用のファンドを活用してコストを抑えることが可能になっているようです。信託報酬がもっと低いバランスファンドが郵便局で販売されているようですが、販売手数料も合わせて考えるとこちらの方が魅力的です。
また信託財産留保金が0.3%かかるようになっています。これはファンドを解約するときにファンドに残していくお金です。つまり他の投資家に対する解約する人からの迷惑料のようなもので、手数料とは異なるものです。このような仕組みは長期運用の投資家にとって良心的な設計ということができます。
■分配金はDIAM次第
分配金に関しては2つのコースが用意されています。複利で資産を殖やすのであれば育成型になりますが、説明では「分配よりも効率的な運用、資産全体の成長を重視」となっています。実際に運用が始まってから分配金を払うのかどうかは運用会社であるDIAMの判断になります。分配金の額の大きさを競うのではなく長期運用の個人投資家にとって本当に有益な方法を選択して欲しいものです。
■最も重要なアセットアロケーション
アセットアロケーションの決定に関しては本格的です。米国の資産運用に関する実証研究の第一人者であるエール大学教授のイボットソン博士が設立したイボットソン・アソシエイツが資産配分のアドバイスをするようになっています。
過去の各資産のリスク、リターンの膨大なデータから将来の見通しを立て、その中で効率的な資産配分を決定するプロセスによってきめの細かい運用が実現するのでは、と期待できます。
いわゆるバランス型ファンドの多くは単純に資産を3つに分けているだけで、なぜそのような比率にするのか理由がよくわかりません。アセットアロケーションが投資の成果の約8割を決定するという研究成果からすれば、この資産の配分比率の決定に最大のエネルギーを使うべきで、専門家に任せることで他のファンドとは一線を画しています。
■ベターな金融商品
今まで見てきたように「マネックス資産設計ファンド」は理想のバランス型ファンドに近いといえますが、限界があるのも事実です。
例えば投資対象である6つの資産の中にはオルタナティブ投資やコモディティが入っていません。リスク・リターンの関係から組み入れる必要が無いという考え方もありますが、お任せファンドにするのであればこのような資産も一部に組み入れたいところです。
とは言え投資商品には完璧なものはありません。100%満足なものが得られなくても今までよりベターな商品であれば良いのです。今回のファンドは人生設計をはじめる最初の一歩の商品としての条件を充分満たした商品だと思います。
このファンドの活用法として毎月積立に使うことが考えられます。毎月積立をして資産残高が積みあがったら、その資金で今度は自分でオーダーメイドの分散投資をすることもできます。
■どのくらいのリスクとリターンが期待できる商品なのか
現時点ではまだどの位のリスクがあって、逆にどの程度のリターンが期待できるかは明らかではありません。高いリターンが期待できるならその分リスクは高くなりますから、このバランスがどのくらいかを知りたいところです。
例えば、拙書「資産設計塾」で紹介している「標準的なアセットアロケーション」は最悪の場合のマイナスが資産の20%以内、平均リターンが約7%を想定しています。同じように、このファンドに投資をした場合の最悪のケースがどのくらいで平均で期待できるリターンがどのくらいなのか。過去データで確認したいところです。
リスクとリターンを確認して、自分の資産運用に使えると判断できれば、投資初心者から分散投資実践者まで本格的な運用商品として人生設計に活用できるでしょう。
今回の話のまとめ---------
●「マネックス資産設計ファンド」は理想のバランス型ファンドに近い商品●ただしコモディティやオルタナティブなどは組入れられていない
●リスク・リターンを確認した上で長期資産運用に活用しよう
ではまた来週・・・。
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