その478 投資を考える前に人生の目標を真剣に考えよう

2002年1月11日から2011年8月19日までマネックスメールに連載した マネックス・ユニバーシティ代表取締役(※連載当時)内藤忍の資産設計コラム。(現在は更新しておりません)

その478 投資を考える前に人生の目標を真剣に考えよう

先週もお知らせしたように、8月にマネックスグループを離れることに伴い、このコラムも8月19日まで後3回で終了となりました。最後までよろしくお付き合いください。

マネックスメールの読者の皆さまは、資産運用に興味を持っている方がほとんどだと思います。投資のテクニック、銘柄選択の方法、今後の経済見通し・・・投資には様々な情報が必要です。

しかし、いつも書いているように、投資を始める前に考えておくべきことがあります。それは自分の人生をどうしたいかというライフデザインです。人生について考えることなしに、投資でお金を殖やす。これでは本末転倒です。

自分がどんな人生を送りたいのか、きちんと自分で考えているという人もいるかもしれません。私自身も自分では考えていると思っていたのに、実はきちんと考えていなかったことに最近気がつきました。

■人生の目標は時間と共に変わっていく

人生の目標はビジョンとミッションにまとめられる。ビジョンとは具体的な目標、そしてミッションとは究極の目標だと6年前のコラムで書いたことがあります。

ビジョンとミッションに基づく合理的投資を!(2005年02月14日)

http://lounge.monex.co.jp/column/shisan/2005/02/14.html

しかし、このミッションとビジョンが、今自分が本当にやるべきものとずれてしまっていては意味がありません。

実は人生の目標というのは変わっていくこともあります。だから、もし目標設定をもうやっているという人がいたとしても、せっかく作ったビジョンとミッションが今でも変わらず自分に必要としているものなのかどうかを常に確認する必要があります。

■周囲の人を巻き込んで考える

最近思ったことは、自分の目標を立てることは確かに重要なことですが、それは自分の世界だけのことを考えるより、もっと広く周囲の人も巻き込んで考えることが重要だということです。

ビジョンやミッションを考える時も、一人で考えるよりも家族や友人にも相談して一緒に考えてみる。そうすることで独りよがりの考え方や自分勝手な目標を修正することができます。

それに一緒に考える人がいれば、目標に向かって日々生活をしていく時も、協力してもらうことができます。何でも一人で完結しようとするのではなく、時には相談したり、アドバイスをもらったりできれば、続けるのも楽になり目標を実現できる可能性も高まります。

逆に皆さんの周りにいる人が同じようにビジョンやミッションを考えようとしているのなら、積極的にお手伝いをしてあげましょう。自分にとって周囲のアドバイスが役立つように、相手にも自分のコメントを役立ててもらえるかもしれません。

こうやってたくさんの人が人生の目標を考えるようになり、そのために必要なお金、という考え方で資産運用を始めるようになれば、世の中全体も少しずつ変わっていくはずです。

日本人は長期で計画を立てて人生を考えるのが苦手です。資産運用は本来そのような長期の人生計画があってはじめてそれに沿った方法を考えていくべきものです。

投資好きで計画の前にまずトレードという方法では、短期的に利益は出るかもしれませんが、無駄なリスクを取ってしまう可能性もあります。

計画もなく投資を始めるのは、旅行で言えば、地図を持たずに出かけるようなものです。迷子になってしまったら、取り返しのつかないことになってしまうのです。

既に目標を立てている人は、もう一度見直してみる。まだやったことがない人はまずビジョンとミッションを作ってみる。それを周囲に広げていくのは周りの人のためだけではなく、自分にも良い影響をもたらすと思います。

今回の話のまとめ---------

■ 投資の前に人生をどうしたいのかを真剣に考えるべき

■ 自分の人生は一人で決まるものではなく周囲の人との関係で決まる

■ 人生の目標を考えるなら周囲の人も巻き込んで

では、また来週・・・。

(本コラムは筆者の個人的意見をまとめたものであり、筆者の所属する組織の意見ではありません。)

内藤 忍
株式会社マネックス・ユニバーシティ

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