第283回 海外の株式個別銘柄投資の注意点とは?

今知りたい!投資の悩みやお金に関する質問に資産運用の熟練講師がお応えします。

第283回 海外の株式個別銘柄投資の注意点とは?

<質問>

ここ数年、海外に投資できる商品が増えてきたように感じます。
米国株や中国株などなど、日本にいても海外の個別銘柄取引をできる環境があるように思いますが、日本株への投資と比較して、注意しておいたほうが良い点などはありますか?

<回答>

海外の株式個別銘柄投資についてお話しさせていただきたいと思います。今では、以前では考えられなかったくらい海外のマーケットが身近になってきており、個人投資家が海外の証券取引所で取引される海外企業の株式やADRなどに手軽に投資できるようになりました。このこと自体は個人投資家として非常に歓迎すべきことかと思います。投資の選択肢が飛躍的に増えたわけですから。

一方で、海外株式の個別銘柄投資を行う場合に注意しておきたい点もあります。もちろん日本の株式に投資する時と同様に、以前もお話しさせていただいたような「潰れない会社の株の中から選ぶ」「今後業績が伸びる会社、利益が今よりも伸びる会社、自分がそう思える会社の株を選ぶ」というのは海外の銘柄を選ぶ際にも第一として挙げられると思います。

次に、海外企業においては日本とは異なる会計制度を採用しているところもあれば、法人税制やビジネスを行う上での規制などのビジネス環境が日本と大きく異なることもあります。こうした違いは米国株と中国株で同列に扱えるものではありません。新興国においては特にこうした部分に日本との大きな差が存在しやすいことは最も注意すべき点のひとつだと思います。新興国の中には企業に対する国の関与や規制が非常に強い国もあります。また、突然の税制や投資制度、ビジネス規制が行われることもしばしばあります。一概にこういう点に注意、とは言い切ることができないのがこうしたリスクの特徴とも言えると思います。

こうしたリスクは投資先企業が突然何らかの規制を受けるリスク、だけにとどまらず、投資をしている日本の個人投資家が規制の対象になるリスクもあります。新興国においては回金(投資した資金の回収)の停止や遅延が発生することも珍しくありません。税制の変更などは発生しても驚かないくらいの覚悟は必要だと思います。

もちろん、そうしたリスクをとってでも投資する価値のある魅力的なリターンを提供してくれる可能性のある国が新興国には含まれていることも新興国投資の魅力ですが、投資にあたってはそうしたリスクを十分に認識しておく必要があると思います。

先進国であれ、新興国であれ、外国への投資を行う以上はそうした様々な違いがあることを認識する必要があります。新興国の場合にはより一層の注意が必要、と言えると思います。

コラム執筆:ジョン太郎

金融業界の様々な分野で経験を積んできた現役金融マン。投資・運用・金融・経済など、お金にまつわるトピックをわかりやすく解説しているブログ「ジョン太郎とヴィヴィ子のお金の話」は人気を博し、各種のサイトで紹介されている。著書に「ど素人がはじめる投資信託の本」、「ど素人が読める決算書の本 」がある。

マネックスからのご留意事項

「お金の相談室」では、マネックス証券でお取扱している商品・サービス等について言及している部分があります。
マネックス証券でお取引いただく際は、所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。お取引いただく各商品等には価格の変動等による損失が生じるおそれがあります。また、信用取引、先物・オプション取引、外国為替証拠金取引・取引所株価指数証拠金取引をご利用いただく場合は、所定の保証金・証拠金をあらかじめいただく場合がございます。これらの取引には差し入れた保証金・証拠金(当初元本)を上回る損失が生じるおそれがあります。

商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、詳しくは「契約締結前交付書面」、「上場有価証券等書面」、「目論見書」、「目論見書補完書面」又は当社ウェブサイトの「リスク・手数料などの重要事項に関する説明」をよくお読みください。

マネックスメール登録・解除

コラム一覧