第284回 今年のマーケットの振り返り、2013年に向けての心構え

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第284回 今年のマーケットの振り返り、2013年に向けての心構え

<質問>

あと1ヶ月で2012年も終わります。今年のマーケットの振り返りと2013年に向けての心構えなどがあれば教えてください。

<回答>

2012年の振り返りとしては、私の全体観としては、2011年までの問題が更なる深刻化をしてしまうことを避けることには成功したものの、大きな反転や問題解決に向けての大きな進展を見ないまま1年を終えようとしている、という感じです。

主要先進国の多くが抱えている問題は成長率低下と財政難です。先進国の成長率は低位推移しており、今後大きな伸びを期待するにはあまりに材料に乏しい状態が続いています。こうした低成長状態がもたらす先進国資産のリターン低下と先進国通貨のイールド低下は、先進国投資のリターンの直接的な低下だけにとどまらず、リターン低下による投資先として魅力の低下が需給悪化を招いて間接的に更にリターンが低下するという構造にあります。

また、主要先進国は財政難により、低成長下での財政政策がとれず、金融政策への依存度が非常に高くなってきています。その金融政策も金利が最低水準に達してしまい、量的緩和へと進んでいます。量的緩和の実態経済への効果は疑問視する声も多く、一方で通貨価値低下や中央銀行への信認低下、低成長下でのインフレ進行といったマイナス面も懸念されています。

これらの問題は一朝一夕に解決できる類のものではなく、2013年以降もくすぶり続けていくと考えられます。こうした状況下で相対的に高い成長が期待できるのは内需が大きく他国経済への依存度の低い国、財政政策や金融政策の余地の大きな国、ということになると思います。2013年の注目市場はこれらの条件を満たす国ではないでしょうか。先進国よりも新興国の中にこうした条件を満たす国が多く含まれているというのが現在の世界ですが、新興国は多種多様な国の集合体であり、新興国の中にも成長率の低い国・財政難に苦しむ国はたくさんあり、注意深く選別する必要があるでしょう。

非常に暗い印象を持たれるかもしれませんが、こうした時期というのは投資をする良いチャンスでもあります。チャンスと考えて前向きに対峙するのが良い心構えなのではないでしょうか。ただし、先進国で大量に供給されるマネーが向かう先はリターンの期待できる場所、あるいは安心して置いておける場所、という二極化が進んでいます。いずれも、小さな市場がその場所として選ばれた場合には需給バランスが大きく崩れてひどい価格形成がされる場合もありますのでその点にはご注意を。


コラム執筆:ジョン太郎

金融業界の様々な分野で経験を積んできた現役金融マン。投資・運用・金融・経済など、お金にまつわるトピックをわかりやすく解説しているブログ「ジョン太郎とヴィヴィ子のお金の話」は人気を博し、各種のサイトで紹介されている。著書に「ど素人がはじめる投資信託の本」、「ど素人が読める決算書の本 」がある。

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