第399回 今からでも遅くないマネープランとは・・・?

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第399回 今からでも遅くないマネープランとは・・・?

<質問>

30代会社員(女性・独身)です。結婚や老後などなんとなく将来に不安を感じているのですが、今からでも遅くないマネープランがあれば教えてください。

<回答>

この国では2%のインフレ目標が掲げられ、預金など安全資産の利率はそれを大きく下回っています。この状況下では安全資産のままではお金が目減りしてしまい、同じものが買えなくなってしまう可能性があります。そもそもお金には絶対的な価値というのはありません。1億円が大金なのではなく、1億円で何が買えるかが、1億円が大金かどうかを決めているのです。1億円で消しゴム1個しか買えなければ1億円は大金ではありません。いつかここで結婚式をしたいと考えている結婚式場で結婚式をするのに100万円かかるとして100万円を貯めていたとしても、結婚式を挙げるまでに110万円に値上がりしてしまえば、結婚式を挙げる前に100万円を110万円に増やしておかなければそこで結婚式を挙げることはできなくなります。また、ハワイで100万円で結婚式をしたいと考えている場合、1ドルが75円から125円まで円安ドル高が進んでしまえば、100万円の予算で13,333ドルの結婚式が出来たのが8,000ドルの結婚式になってしまいます。このように、たとえ年齢が何歳であれ、将来の出費に備えるため、あるいはお金の価値を減らさないためには預金以外の資産運用、投資の必要性はあるのですから、何歳になってから始めても遅くないと思います。

するとすぐに、無駄遣いを控えて節約を、という話になりがちですが、節約をして貯めたお金を預金などの安全資産だけにするというのはあまり良い方法とは言えません。インフレ率以下の金利の預金は小さな穴のあいたバケツのようなものです。雨が降っているとき、小さな穴のあいたバケツでも雨水を貯めることはできても、小さな穴の開いたバケツで雨水をとっておくことはできません。自分が稼いだお金の中から節約した分を預金に貯めることはできても、その価値は徐々に失われていきます。国債の利回りも10年までの期間の利回りがすべてマイナスとなってしまった現在では、金融機関が国債で運用してそこから手数料や費用が引かれる構造の保険などの比較的安全性の高い金融商品の利回りはインフレ率には遠く及びません。つまり、お金をインフレ率以上のペースで運用して増やしたり、お金を減らさないようにするためには、安全資産においておくだけでは十分ではなく、リスクをとって投資をする必要があるということです。

また、私たちが生きる資本主義社会の特性を考えても、投資の必要性は明らかです。資本主義社会は資本を持つ資本家が、労働者の労働力を買って利益を生み出してお金を増やす社会です。労働者は働くことで給料をもらい、つまり、労働力を売ってお金を得ます。働かなくてはお金を得ることはできません。資本家は働かなくてもお金を得られます。私も自分が勤務する会社では労働者であり、働かなくてはお金を得ることはできませんが、株式を持っている別の会社では資本家であり、そこの会社では私は働いていませんが、そこで働いている人たちが生み出した利益の一部を株主として得る権利をもっています。誰でも、自分で働いて稼いだお金のうち、使わなかったお金は資本として使うことができるのです。節約して貯めて作ったお金を資本として活用せず、預金にしておくのは資本の無駄使いです。自分が働いて得たお金から節約した分を預金に貯めるだけでは、自分の稼ぎ以上のお金を貯めることはできません。

考えるべきマネープランは、節約して貯めたお金を資本として使い、資本を目減りさせないように運用すること、あるいは資本を増やすために投資をすることです。投資の目標としては最低でもインフレ率の年率2%で実質的に減らないようにすること、将来の出費のために実質的に増やすためにはインフレ率+αのリターンが必要です。その際、くれぐれも金融資産全体で考えるようにしましょう。100万円の金融資産があるなら、そのうち1万円を投資してこれを年率2%で運用しても1年後には10,200円にしかならず、残りの99万円を預金にしておいた場合、1年後の金融資産は1,000,208円程度にしかなりません。金融資産全体を1,020,000円にして、インフレ率2%で実質的に減らさないようにすることができます。そのためには金融資産の半分をインフレ率の2倍で運用する、あるいは金融資産の1/3をインフレ率の3倍、1/4を4倍で運用する必要があります。これでも「減っていない」状態で、「増やす」ためにはもう少し高いリターンが必要です。簡単なことではありませんが、大切なお金を減らさないためにも、ぜひ投資のことを考えてみてください。

コラム執筆:ジョン太郎

金融業界の様々な分野で経験を積んできた現役金融マン。投資・運用・金融・経済など、お金にまつわるトピックをわかりやすく解説しているブログ「ジョン太郎とヴィヴィ子のお金の話」は人気を博し、各種のサイトで紹介されている。著書に「外資系金融マンがわが子に教えたい「お金」と「投資」の本当の話」、「ど素人がはじめる投資信託の本」、「ど素人が読める決算書の本」がある。

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