第415回 忙しい社会人必見!投資信託はまめにチェックすべき?

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第415回 忙しい社会人必見!投資信託はまめにチェックすべき?

<質問>

アラサ―男子です。投資信託は買っているのですが、忙しくて放置してしまっています。できればもう少し管理したいのですが、どうすればよいでしょうか?

<回答>

せっかく信託報酬等のコストを払って人任せにしているのですから、忙しい中無理に管理する必要はないと思います。日々の値動きをチェックする必要もないと思います。日々の値動きをチェックすると、どうしても売買したくなってしまいますし、日々の値動きには本源的なリターンの積み上がりがあまり見えず、誤解をしてしまいやすくなります。

債券の本源的なリターンはインカムゲインの積み上がりです。ところが、日々の値動きの中に含まれるインカムゲインはごくわずかで、ほとんどわかりません。例えば5%の利回りの債券でも1日に入ってくるのは5%の250分の1の0.02%です。日々の値動きは為替リスク等、短期間に大きく上下動するものの影響を受けて値動きしています。1日あたりではごくわずかなインカムゲインも、10年、20年と長期間に渡ってインカムゲインを積み上げていけば、とても大きく積み上げることができ、大きくインカムゲインを積み上げたあとであれば、多少為替部分で負けたとしても十分にトータルリターンをプラスにすることができます。ところが、インカムゲインを大きく積み上げる前にせっかく投資した債券ファンドを売却してしまって、短期的な値動きの為替によって左右される損益が決まってしまうという方が非常に多いのです。日々の値動きをチェックしていて、しばらくの間為替で負け続けるとこのまま永遠に勝てないのでは、ひどいものを買ってしまったのではと不安になるからです。もちろん、為替リスクは大きいのにインカムゲインは大して期待できない先進国の債券等を買ってしまっていたなら、長期的なインカムゲインの積み上がりはほとんど期待できないので話は別になりますが。

株式でも同様です。本源的なリターンは配当によるインカムゲインの積み上がり、企業利益の成長を反映した株価上昇によるキャピタルゲインです。ところが、株式でもインカムゲインの積み上がりには時間がかかり、企業利益が伸びるのにも時間がかかります。しかし、10%の利益成長が10年続けば利益は2.6倍にもなります。先進国株式でも長期的なトータルリターンの半分程度はインカムゲインによるものです。ところが、多くの人は短期的なバリュエーションの変化(PERやPBRなどが変化し、割高になったり割安になったりすること)や為替変動による短期間の価格変動を追うあまり、長期的な本源的リターンの積み上がりが目に入らず、短期売買をしてしまうのです。

投資先資産の投資魅力が変化したときや、前提条件が変わってしまったとき、考えが変わった時にはポートフォリオの見直しをしたらよいかと思いますが、普段からこまめに価格をチェックして管理する必要はないと思います。

コラム執筆:ジョン太郎

金融業界の様々な分野で経験を積んできた現役金融マン。投資・運用・金融・経済など、お金にまつわるトピックをわかりやすく解説しているブログ「ジョン太郎とヴィヴィ子のお金の話」は人気を博し、各種のサイトで紹介されている。著書に「外資系金融マンがわが子に教えたい「お金」と「投資」の本当の話」、「ど素人がはじめる投資信託の本」、「ど素人が読める決算書の本」がある。

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