マネックスメール編集部企画の特集コラムをお届けします。
今回も引き続き信用取引に関係する情報の見方をお話しします。今回お話しするのは、「逆日歩」と「回転日数」についてです。
「逆日歩」は、「品貸料」とも呼ばれるもので、株券を売り建てした投資家が支払う金利のことです。一方買い建てをしている投資家は逆日歩を受け取ることができます。
例えば「逆日歩」が1株に付き5銭付いたとしましょう。売り建て玉が5,000株だった場合、5,000株×0.05円=250円/日という計算になります。また、この金額の逆日歩が30日続くと25円×30日=7,500円となります。たいした金額ではないと思われるかもしれませんが、仮に50銭の逆日歩が発生したとしたらどうでしょうか?
「逆日歩」が50銭付いた場合
5,000株×0.5=2,500円 2,500円×30日=75,000円となります。通常は50銭などの高い「逆日歩」が発生することは稀ですが、一旦高い逆日歩が付いてしまうと、売り建てを行っている投資家は金利を払いたくないと考え買い戻しを急ぎます。そのため株価の下げ渋りや上昇につながることがあるのです。
では、なぜ「逆日歩」が発生するのでしょうか?これまでお話ししたように、信用取引の売り建ては株券を借りて行う取引です。通常は買い建てを行った投資家の株券が売り建てを行った投資家に貸し出されるのですが、買い建てを行った投資家の株数よりも売り建てを行った投資家の株数が多い場合、貸し出す株券が足りなくなってしまいます。
またこの時、不足した株数分だけ証券金融会社から株券を借りることになります。信用取引では、みなさんの知らないところでこうしたやり取りが行われているわけです。
ただこうしたやり取りが続くと、証券金融会社も保有する株券が不足してしまうことがあります。そうした時に、証券金融会社が当該企業の株券を、保有している生損保などの機関投資家に借りることになるのですが、この時に発生するのが逆日歩です。
説明が長くなってしまいましたが、売り建てがどんどん増加しても株価が下落せず、買い戻しができない状態が続いて信用倍率や貸借倍率が1倍を切ってくると、株券が不足し、逆日歩が発生する可能性が高くなるので注意してください。
続いては「回転日数」についてです。この「回転日数」は証券金融会社が発表する指標で、売り建てと買い建てを行ってから返済するまでの日数を表したものです。
例えば、「回転日数」が30日だった場合、買い建てや売り建てを行ってから返済するまでの期間がおよそ30日間かかっていることを表していることになります。
一方、「回転日数」が5日だった場合はどうでしょう。「回転日数」が5日だった場合は、返済までの期間がたった5日しかないことになります。この場合、市場では当該銘柄の売買が相当活発に行われていることと同時に、短い期間で売り買いが行われているため「過熱感」が出ていることを示唆していることになるわけです。
経験則では、「回転日数」が5日を割り込むと過熱感が高まっていることを示しているとされ、急落や乱高下することがあるので注意が必要です。
株の売買でよく高値掴みをしてしまうという投資家の方は、上昇時に回転日数を見て過熱感がないかをチェックすると良いのではないかと思います。
また、逆日歩の発生が原因で株価が上昇する場合もあります。特に中小型株では多く見受けられますので、売り建てを行う投資家は逆日歩発生で株価の下げ渋りや上昇に巻き込まれて損失を膨らませないように注意してください。
コラム執筆:福永 博之
株式会社インベストラスト代表取締役。IFTA国際検定テクニカルアナリスト。ビジネス・ブレークスルー大学 オープンカレッジ 株式・資産形成講座 講師。勧角証券(現みずほインベスターズ証券)、DLJdirectSFG証券(現楽天証券)、同証券経済研究所チーフストラテジストを経て、現職。現在、投資教育サイト《アイトラスト》の総監修を務める。ラジオNIKKEI、テレビ東京、TOKYO MXテレビ、CS日テレなどの株式関連番組にレギュラー出演。マネー雑誌の連載のほか、執筆多数。最新刊『めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った「株」チャートらくらく航海術』(ダイヤモンド社刊)では、チャート分析の基本中の基本、ローソク足に徹底的にこだわって騰がる株を見つける方法をわかりやすく解説し、好評を博している。
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